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MGNさんの家出少女と泊め男 ~少女の願いと男の欲棒~の長文感想

ユーザー
MGN
ゲーム
家出少女と泊め男 ~少女の願いと男の欲棒~
ブランド
ノアールソフト(NOIR)
得点
66
参照数
879

一言コメント

「家出少女を泊める」という設定にひかれて購入したが、立ち絵とCGが違いすぎる、雰囲気は良いのに背徳的になり切れておらず中途半端、良エンドがあっさりし過ぎている、などあと一歩突き抜けていない作品だった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

「クソゲーでも絵と声優が命」という主義の自分にとっては、ライドオンワークスの一連のブランド・作品群は実に魅力的である。
本作もクソゲーとしては中程度の出来であり、余裕でプレイ可能だった。

●椎名凜生(しいな・りお) CV:月永りと
セーラー服・黒髪ベリーロングの、一番最初に出会う女の子。
礼儀正しく落ち着いているがどこかおびえている。処女。父親のDVがひどすぎて家出。自宅に帰れない事情を抱えている。
一箇所に長く居ると居心地が良すぎてかえって動けなくなるという危機管理意識を持っており、物語の途中で主人公宅から出て行ってしまう。
ただし、ルートの選択によっては再び登場し、良エンド・悪エンドへ展開する。
汗をかいたまま裸にして脇の下のにおいをかぎながら主人公がアレをこすりつけてぶっかけるシーンが秀逸だった。真面目な子なので反応が初々しかった。
CGの当たりはずれが大きいが、一部のCGが劣化版「さより」みたいで個人的に気に入った。

●小早川晶菜(こばやかわ・あきな) CV:唯香
金髪ロング・サイドテール、いかにもビッチギャル風な着崩した学校制服の子。
凜生の退去後に主人公宅へ押しかけて来た(凜生と面識があることが判明)。
一番遊んでいる風で他の男のことを知っている様子であり、非処女か。
しかし、この子もまた凜生同様に一箇所に長く滞在せずに、しばらくして主人公宅を退去する。
貧困な母子家庭の子であり、母親が倒れて入院するなど、良エンド・悪エンドとも中途半端で後味が良くなかったのが残念。
背徳的になり切れないストーリー展開にわざわざする必然性がどこにあるのかが、疑問である。
CGの当たりはずれが大きいが、一部のCGが劣化版「さえき北都」風だった。

●浅間凪(あさま・なぎ) CV:藤沢美月
凜生・晶菜の退去後に、家出少女が居ない独居状態に戻った精神的に不安定な主人公が街の中で、行く宛ての無さそうにしている凪に声をかけた。
ピンク色ボブカットの女子大生風・お嬢様。
凪は「籠の鳥」であることに嫌気がさして、家出。どのくらいお嬢様かというと、スーパーマーケットにも行ったことが無く、料理は他人が自分のために作ってくれるのが当たり前、というずれた感覚を持っている。
ところが、Hに関しては聞きかじりの偏った知識を持っており、朝起きたところで主人公に足コキをするなど、そのずれた感覚が面白かった。
この子に関しては陵辱への展開が一番良かったが、良エンド・悪エンドともにストーリーとしては唐突に終わってしまうのが残念だった。
やはりCGの当たりはずれが大きいが、立ち絵が今いちのためか逆にHなCGの出来が良いものが多かった。
CVの藤沢美月という人は本作で初めて声を聞いた。上手いとは言えないため新人かと思ったら、つるみくやWaffle作品などに20本以上の出演歴があるキャリア10年以上の方だった。

総じて言えるのは、各ストーリーの終わり方をもっとちゃんとすれば評価は上がるはずなのにそれをなぜかしていなかった残念な作品、である。
どこか、作品制作を請け負っている編集プロダクションが「契約のため、締切りに間に合うようにやっつけ仕事で作り上げた」風なところを感じてしまった。
それとも「抜きゲーに作り手の愛着なんてない」のだろうか。
プレイヤーの立場としては、このあたりがかみあった作品がいつか登場することを願っているのである。