岩本氏の原画としては珍しく黒髪でないヒロインであり、全体的にPOPで明るい画面に仕上がっているのが印象的。岩本氏の原画が目当てで買い続けている自分としては、本作の絵が出色の出来ばえであると思えた。対して、こごめさくら氏のシナリオはと言うと、氏が書いたシナリオに登場する主人公の中では1、2を争うくらいのダメな主人公であり、「ふれあい」の次の作品がこれかよ、というのが正直な感想である。「おままごと」という題名自体が主人公のクズさ加減を示しているのだろうか。どうせクズ主人公にするならば徹底的にクズにしてもらいたいものだが、そこまでクズになり切れない中途半端なところがこごめさくらシナリオの(もっと言うなら「低価格PCゲーム」の)限界なのだろうか。シナリオライター・こごめさくら氏の真価を問われる作品なのに、それどころか退化してるじゃねーか。だめだこりゃ。
私は岩本鮪(いわもと・まぐろ)氏の絵柄が好きで本作を購入した。これで9本目である。そしてシナリオライターが今回もこごめさくら氏であり、こごめさくら氏のシナリオ作品もまた岩本氏とのコンビでは9本目となる。要するに、こごめ氏がシナリオを書く作品の絵師はみんな岩本氏なのである。しかもそのシナリオは『面白くない』ものであり、岩本氏の才能を単に消費消耗無駄遣いさせるものでしかなかったのである。この流れに気が付いてから私はこの批評空間では散々文句を表明しているつもりだが、制作者側からはほとんど気にされていない様子である。
本作では先のレビュアーの方が、主人公のダメさ加減について実に的確に評していて笑ってしまった。
こごめさくら氏の9本の作品の中でも丙丁付けがたいダメっぷりであり、前作「ふれあい」の『夜のひつじ』的な甘々な雰囲気から一気に『たぬきそふと』クラスのクズ主人公に突き落とされている感があった。
主人公≒プレイヤー、という構図が多くのエロゲの姿である以上、クズ主人公をいやがるプレイヤーが多数存在するということは考えればわかることであり、今回はまたどうして先祖がえりしちゃったんだろう?もしかして初期のボツシナリオを拾って来たのか?、と思ってしまうほどだった。
こごめさくら氏シナリオ作品が基本的にクソゲーであるという事実を理解すると、逆にクソゲークズ主人公であるという事実を楽しめるようになる。
その視点で見ると本作は変態Hシーン満載であり、岩本氏のPOPでロリな絵柄に十分に萌えることが出来る。
クズ主人公は引きこもり童貞なのでロリ母親との初めての正常位Hシーンでうまく穴に入れられずに、スマタ状態で母親のおなかの上に精液をぶちまけてしまうシーンがある。このシーンには妙な懐かしさがあり、「そうそう、最初はうまく行かないんだよなぁ」的な味わいを感じるのである。
また、メイドコスチュームを母親に着せたシーンでの複数のHシーンでは、スパンキング・後背位・騎上位・アナルなめまであって実に変態的で良い。
裸エプロン姿で、エプロンのすそを使ってのエプロンコキ(初めて見た)、騎上位もポイントが高い。
母親を縄で縛っての拘束セックス、電マ・ローター・アナルパール・アナルバイブを使うシーンには燃えるものがあった。
このように、実は抜きゲとしてのHシーンは意外にも高得点を付けたくなるほど充実しているのである。
ところが、本作は終盤で変なシリアスシーンが入った結果、方向性が一変してしまう。
母親が過労で倒れ、主人公は「働く/働かない」の選択肢選定を迫られてしまい、それまでに作り上げられたPOPでカラフルな世界観が一気に灰色になってしまうのである。
近未来の、生活保護が廃止されベーシックインカムが導入されたあとの世界を描いた結果、一気に現実に戻されてしまうのであった。
このシーンを経て主人公が(必要に迫られながら)働くようになるのだが、この展開は果たして本当に必要だったのだろうか?
いわゆる『起承転結の「転」がダメ』という作品に分類されるように思う。
ここでどんなに主人公が現実に気付こうにも時すでに遅しですしお寿司なのである。
どうせクズ主人公ならば「たぬきそふと」作品のように徹底的にクズになってもらいたいものだが、本作はそこまでクズになり切れない中途半端なところがこごめさくらシナリオの(もっと言うなら『低価格PCゲーム』の)限界なのである。
そして、もうひとつの本作での致命的な失敗は、冒頭の、せっかく裸エプロンでのひざまづきフェラという美しくも大胆で美味しいシチュエーションを一瞬で『納豆フェラ』にしてしまったことだろう。こごめさくら氏は関西人にうらみでもあるのだろうか。食べ物は大事にせなあかんよ。
この冒頭のつまづきを挽回するには、際立つ主人公のクズさ加減をもう少し早くに解消するしかなかったのではないか。
シナリオにおける、エピソードの配置(作品構成)の問題が多々あったのではないかと思えた。
要するにひとことで言うと『プレイヤーをなめるのはいい加減にヤメロこの野郎』ということである。
大事なことなので2回どころか何回でも言う。『岩本氏という稀有な才能の持ち主の無駄遣いはヤメロこの野郎!』である。
岩本氏は今後、ピーキーと極フェロの仕事は、シナリオライターが誰なのかを確認してから受けるべきではないだろうか。