夏コミ新作をプレイ。Cosmillica作品は初めてプレイしたが、共通→主題歌→選択肢→各キャラエンド/総合エンド、の作品構成がしっかりしていた。ちゃんと作ろうという意識がその辺の商業作品よりもずっと上であり、手馴れた印象を受けた。絵柄は良く魅力的だったが、立ち絵・服装のバリエーションの少なさが残念。この辺が同人の限界か。ストーリーは結構上手く作られており引き込まれたが、イザベルの出番の多さはどうなんだろうか。メインキャラ全員女の子という全年齢向け百合作品であり、女性プレイヤーの感想を聞いてみたくなった。
もともとは柊真冬(椎那天)出演作品のために購入したが、結果的にプレイ出来て良かった作品となった。
全年齢向け(エロシーンがない)は普段あまりプレイしないのだが、たまには良いかなと思えた。
共通→主題歌→選択肢→各キャラエンド/総合エンド、という構成であり、同人作品と言えどもちゃんと考えて作られているところに感心した。
これは商業でも出来ていない作品を見かけるため、こういう意識は大事だと思える。
キャラ別には、のあのストーリーがTrueなのかなと思えたが、個人的にアリサのストーリーが印象的だった。あやめのストーリーは悪くないのだが、なぎさがあやめを好きになる理由付けが今ひとつ弱い(同情以外は無いのではないか)と思えた。
構成上、途中に主題歌が入りキャストがテロップで明かされるが、各キャラのエンドはセピア色のCGの後にいきなりタイトル画面に戻るために、一瞬『バッドエンドなのか?』と思えるところがあった。この各キャラエンド後でも簡単なエンディングテロップを流すくらいの手間をかけて欲しかった。
全員攻略すると総合エンディングとなり新たなテーマ曲を聞くことが出来るが、こういう構成になっていることは、全キャラがんばってクリアしたプレイヤーにしかわからない点である。いきなりタイトル画面に戻る各キャラエンドは中途で放置するギブアップユーザーを増やすことになるため、今後の作品では考えて欲しいと思えた。
それから、パッケージや公式HPや通販サイトでも存在が明かされていないイザベルというサブキャラ(通称:○カマ)についてであるが、何気なく重要な立ち位置であり、しかも出番やセリフ数がそれなりに多いのが何なのかが気になった。
もしかしたらCosmillica作品では、こういうキャラを登場させることがお約束なのだろうか。
全年齢向け百合作品の本作にしては『綺麗な世界観』からは明らかに離れる存在であり、18禁でない全年齢向けを掲げていること自体がちゃんちゃらおかしく思えてしまった。イザベルのようなキャラを登場させるなら、間を取って15禁くらいにして欲しいものである。
隠しキャラ的な扱いかもしれないが、ギャグ担当で登場させるには役柄が重要なキャラをマッチョな○カマにする意味がわからなかった。しかも立ち絵が1枚しかなく差分はサングラスのみである。
せめて、食堂のおかみさんと恋仲になる、とか、誰とも結ばれないバッドエンドでなぎさと一緒になる(バッドエンド要員)、などの関連付けがあればまだ納得出来たのである。
本作は『終わり良ければ全て良し』という世界観で「全ての恋に、花束を。」という題名の意味が最後に展開される良作であると思うし、不覚にも涙があふれてしまった。
だけど『イザベルって結局何だったの?』と振り返ると、「全ての恋に、花束を。」をプレイしたという記憶につなげるための記号でしかないように思えてしまうのである。それがCosmillicaの狙いだとするならば壮大なるユーモアであるが、せめてもっと見映えが良いキャラにして欲しかった。
なにしろ、イザベル役の声優の○カマしゃべりのレベルが高すぎて、柊真冬(椎那天)ですらかすんでしまう勢いだったのである。サブキャラの声優が一番上手くて印象に残るというのもどうなのだろうか。
イザベルの存在がイヤでギブアップするユーザーが少ないことを祈る限りである。
・立ち絵+CG 12点/20点
・設定(作品世界観) 14点/20点
・シナリオ 16点/20点
・音楽 14点/20点
・声優 14点/20点