「女体淫姦」に続くノアールソフトのTS(性転換)ゲー第2弾「混濁の心魂」をクリア。例によってキーボードのEnterキーが過敏に反応したりテキストウインドウの濃度が調整不可だったり音声の再生がクリックから一拍遅れたり立ち絵が少なかったりと、システム上の問題はほぼ解決されていないが、珍しい憑依TS作品を世に発売してくれた功績は大きい。いろいろと足りないので高い点数は付けられないが、Trueエンドとも言える幼なじみルートに感じられた「切なさ」こそがTS(性転換)ゲーでしか味わえない真骨頂と思えるのである。
学校の昇降口から外へ出ようとした主人公の頭上に、屋上から飛び降りた幼なじみが激突・・・。しかし死人は出ずに、入院先で治療を受けるのは主人公と幼なじみのふたり。ところが、目覚めるのは主人公のみ。女になった主人公のみだが、中にふたり居ますよ状態・・・。幼なじみの身体は抜けがらに。
こうして、女になった主人公の中に幼なじみの雪音の精神が同居している状態となった。それなのに、周囲の人は主人公が急に女になったのではなく「元から女だった」という認識をするのである。
何とも、前例があるんだかないんだかわからない状態で始まる憑依TSゲーである。ところが、女になった主人公の身体を操るのは男である主人公であり(身体の中に幼なじみの精神がが同居)、男になってしまった主人公の身体を操るのは女である幼なじみである(身体の中に主人公の精神が同居)。
これがまた、法則性がなくランダムに入れ換わるので訳がわからないことこの上ない。
せめて立ち絵があれば『今は男か女か?』がわかるのに、本作は立ち絵が無さ過ぎでテキストウインドウだけがサクサクと進むのである。
第1弾の「女体淫姦」をプレイしていると流れが似ていることに気が付くが、主人公が女になってからの初めてのおしっこイベント、お風呂イベント(オナニー)はお約束である。
本作ではマッドサイエンティストと言える綾香先生が登場するところが前作との違いである。ところが、この先生のルートは単なるレズENDと言うのか、先生のペットになるENDしかない。先生が主人公を元に戻してくれるENDは無いのである。この先生って居る意味があるのか・・・?
と思っていると、クラスメートで委員長の美久ルートで先生が活躍(暗躍?)するのである。「私は母親になりたい」と言っていた美久の願望を叶えるのがこの綾香先生である。このあたりは上手く作っていたと思う。
もうひとりの幼なじみ、響(ひびき)のルートはちょっと痛々しい。複数の不良男子に校内で凌辱されてしまうシーンが登場。このあたりもTSゲーのお約束と言えるかもしれない。
そして、主人公の親友・啓太のルートは啓太とのハッピーエンド(精神的なBLルート)と凌辱バッドエンドに分岐する。啓太の立ち絵があれば受ける印象はまた違うと思うが、本作はそもそも立ち絵が少ないのである。
啓太とのハッピーエンドで妊娠・出産した主人公は生まれた女の子に「雪音」と名付けるのである。このルートの何とも言えない息苦しさは、TSゲーのプレイヤーの登竜門みたいなものだと意識した。
そして、Trueエンドとも言える幼なじみの雪音ルートは、女性化した主人公と幼なじみの女×女エンドとなる。
主人公と雪音が、二心同体とも言える姿で「デート」に行くのである。そして、雪音と似た髪形のウイッグを買い、アダルトショップでローターを買って雪音と似た姿でオナニーをするのである。この状態で2回絶頂する。その後、綾香先生に『明晰夢が見られる』という謎のクスリをもらい、夢の中でようやく主人公と雪音は出会えるのである。しかし、男女入れ換わった姿で。この状態でふたりはセックスし、タイトル画面にもなっている女体化した主人公のCGが登場。2回目の明晰夢にて、ようやく本来のお互いの姿となりセックスする。しかしこれが最後であるという予感がしているという状態で主人公は言う。「消えないでくれ、雪音。ずっと一緒に居よう」 このあたりの死生観には涙を隠せないものがある。
ミドルプライスのTSゲーながら、死生観漂うストーリー展開には自分は涙を流してしまうのである。
2月24日に、ノアールソフトから第3弾のTS(性転換)ゲーとなる「性反転症の「俺」が「私」になるまで」が発売される。
今度はふたなりキャラが登場してさらにカオスとなる世界観が予想されるが、TS(性転換)ゲーの発展のためにも見届けなければならないという使命感のような物を持っている自分でもあるのである。