ErogameScape -エロゲー批評空間-

MGNさんのどれみで始まる教師生活 ~せんせい気持ちいいですか~の長文感想

ユーザー
MGN
ゲーム
どれみで始まる教師生活 ~せんせい気持ちいいですか~
ブランド
ピーキー
得点
80
参照数
1245

一言コメント

岩本鮪氏原画作品としてはようやく快心の一作と言えるピーキー作品が登場。特にTrueルートが素晴らしい出来であり、散々シナリオライター氏への文句を表明して来た甲斐があった(と個人的に思う)。Hシーンのいやらしさも秀逸であり、素直に「面白かった」と思えた。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

まず、失礼な言い方をすると『このシナリオは本当にこごめさくら氏が書いたのか?』というのが最初の印象だった。
前半は同人の「夜のひつじ」風の甘やかされ展開、時間が優しく流れる優しいシナリオ。
全然今までのピーキー風じゃない。
しかし、中盤以降の展開の『女の子のはかなさ』『世界観のもろさ』が、岩本鮪氏の描く細くて貧乳ではかない系ショートカットの地味な女の子の良さを実に上手く描写していたと思えた。
今までのこごめさくら氏シナリオ作品と全然違って良かったのは、定価が3300円に上がっているからだけではないなと思えるくらいの真剣さを感じたからかもしれない。

10本以上こごめさくら氏のシナリオ作品をプレイして来たが、ようやくこのErogameScape -エロゲー批評空間-にファンとして登録出来る作品に仕上がっている。
制作スタッフがいちいちエロスケに書き込む個人の批評を読んでいるとは思えないが、自分としては今まで散々こごめさくら氏のシナリオを酷評して来た甲斐があったと思っている。
それほど本作のTrueルートは良く出来ていた。

抜きゲーにシナリオの良さを求めるのは違うという向きもあろうが、自分としては岩本鮪氏という才能ある絵師を起用するならばそれに見合うシナリオライターを起用するのが当然だと思うのである。
もはやいい加減な造りではエロゲが売れなくなって来ている昨今、プレイヤーを馬鹿にするようななめた作品は売り出す意味が無いのではないか。
ピーキー作品として本作は、そのバランスがようやく見合った記念すべき一作である。



その他、気が付いた点を記す。

1.バッドエンドの終了の仕方が唐突過ぎる。たとえば画面がフェイドアウトするような余韻の残し方をするなど出来なかったのだろうか。

2.定価が3300円に上がったからか、過去作品よりもストーリーが長くなり、Hシーンも豊富に登場していたのは良い傾向だと思う。このくらいのレベルの作品が出せるならばパッケージ背中の『低価格PCゲーム』の表記も無くして良いのではないか。

3.ヒロインのCVは今回も計名さや香で良い感じだった。Hシーンのささやくようなろれつの回らないボイスの素晴らしさには往年のまきいづみを思い出した。

4.タイトル画面からの回想で見返せるCGは29個、Hシーンは25個あり。一応主題歌がストーリー途中に挿入されており、ピーキー作品としては今までで一番お金がかかっていると思われる。