現状で最新のTS(性転換)ゲーをクリア。ハッピーエンドも心に残るバッドエンドも見事。オカルト風味な点も俺得だった。システムや声優や音楽の今イチ感を別としても久々にのめりこむことが出来たTSゲーになった。
何とも地味に発売されたTS(性転換)ゲーだったが、フタを開けてみたら、オカルト風味で悲壮感漂う佳作だった。
ノアールソフトというマイナーなブランドが、この時期にTSゲーを発売している意義は大きいと思えた。
学校の社会科見学で出かけた美術館で「呪いの壺」なるうさんくさい展示物を壊してしまった翌日、その場に居た4人の中身が入れ替わるところからストーリーが始まる。
自分にとっては「マイくろ」(「かいわれっ!」のリメイク作品)以来の複数入れ替わり物をプレイした。
「女体淫換」は一見お気楽なストーリー展開で進むかと思いきや、『心と体』と『攻略キャラ』の選択肢で意外な方面へと進むのである。
入れ替わる4人のうち、男は主人公(太一)ひとりであり、あとの3人(沙希・真理子・絵梨)は女である。毎日、日付が変わる午前零時を境にランダムに入れ替わってしまうのである。
主人公の心が女性化してきたり、主人公に入れ替わった3人がそれぞれ男の心を持ち始めるなどの描写はTSゲーならではだった。
入れ替わってしまった後の、それぞれの家庭での過ごし方や、オナニー・お風呂・トイレなどのお約束のシーンが、主人公寄りではあるもののひと通り描かれていた。
鏡の前でのM字開脚オナニーや、裸になってのスマホによる自撮りなど、見ていて痛快だった。こういうシーンを見るのも「ちぇ~んじ!」以来かもしれない。
3人の女子が実はみんな主人公が好きということ(何ともご都合主義ではあるが)が発覚してからの入れ替わりが、それまでの共通シーンとは違う意味を持ってしまうところに悲壮感のようなものを感じた。
「心と体」のどちらが好きなのか?という点と混ぜ合わせた結果でストーリーのラストが変わって来る。
しかも、ある期限の場で「戻りたい人間の左手を自分の右手でつかむ」という道筋を見つけながらも、入れ替わったままで『私は〇〇よ!』と噓をつく者が出たり、『このまま入れ替わりを続けたい』と願う者が出たりと、簡単には元に戻れないところがTSゲーらしくて感心してしまった。
それから、ひとりの体にふたり入ってしまったり(誰かひとりが抜け殻になる)するシーンはなかなかきつかった。複数入れ替わり物だと必ずしも1対1にならないところが興味深かった。
もう、いったい誰が誰なのかがわからなくなって来たころにストーリーは終了するのであった。
ストーリーはちゃんと作られているようで実は穴だらけだったり、録音状態か音声不良なのか演技力なのか声優は今イチだったり(一応著名な人たちなのに・・・)、主題歌もなければBGMも今イチだったり、学校が主な舞台なのにスクール水着も体操服も出て来なかったり、メッセージウィンドウの濃淡変更不可やメッセージ表示速度やスキップの不備が気になったりと問題点はいくつもあったが、それでも私は本作が好きだ。久しぶりにのめりこんでしまった。
やっぱりTS作品っていいよね、と久々に思えた作品だった。