なつめ → サチ → いちか、の順にプレイ。満足度が高い作品だった。ひとりクリアした段階の感想が『Hシーンが多すぎる上に、尺が長い』というものだった。今どきはHシーンの尺が長い作品が珍しく思えた。もともとは3分割して発売する計画が大人の事情により1本にまとめられてしまったような作品。porori氏による母性が強い黒髪ヒロインの、主人公をぎゅっと抱きしめるシーンが忘れられない。吉田誠治氏の印象的な背景に溶け込むヒロインの構図も素晴らしい。そして、起動すると毎回始まる、どこか渋谷系っぽい印象的なOPを飛ばすことなく毎回見て(聞いて)いた作品でもある。
ブランド名コール後に始まる渋谷系っぽい可愛らしいOPを毎回見ていた。
3人のヒロインが登場するが、3人には接点が無いどころか、主人公自体が(デフォルト名が同じであっても)別人だった。共通するのはおしゃれで綺麗なアパートとデフォルト名だけだった。
主人公の名前を決められる設定に今さら感があり、名前を変更せずにデフォルトのままにしてもヒロインが名前を呼ばない仕様(「お兄ちゃん」はともかくとして「あなた」はねーだろ)が非常に残念ではあった。
最初に選択肢が登場してヒロインを決めるが、いわゆる「共通シーン」が存在しない一本道シナリオだとは思わなかった。
既発売のひとりずつの廉価版作品を3つまとめた編集盤、と言われたら信じそうな仕様だった。
3分割して発売するとかえって資金調達が難しいなどの大人の事情があったのかもしれない。
各ヒロインともHシーンにたどり着くまでの時間が長いものの、一回Hをし始めると延々とHしまくる上に一回あたりの尺が長いという、昨今では珍しい作品に思えた。
主人公の自室でのHシーンが本編の大半となるが、一緒にお風呂・M字開脚・フェラ・手コキ・69などが完備しており、自慰視姦(机の角オナニー)・放尿視姦などの珍しいプレイがあった。
主人公のアレが太くて長すぎるのが本作も気になったが(根元まで飲み込むフェラシーンがあるが、そもそも口に入るとは思えない大きさをしている)、こういう仕様を制作側は変える気が無いのか文句を言う客の声が少ないのか、と思うのであった。
とは言え、それぞれのヒロインが可愛く、主人公のことが大好きで、Hに対して貪欲なところはエロゲとしてのポイントを十分に押さえており、CGの良さ・声優の適合度・破綻しない程度の整合性があるシナリオと相まって、良く出来ている作品だった。
キャラの表情が豊かなところも見逃せない。萌え抜きゲーとは良く言ったものである。
なつめが、Hなプレイ一覧をネットで閲覧時に、アナル・フィストファック・スパンキングなど変なページばかり見ているところや、大人のおもちゃに興味津々で一緒に買いに行ってしまうところが面白かった。
ただ、せっかく水色のマイクロビキニ姿で足コキするシーンがあるのに主人公のアレがCGに出て来ない(ヒロインの足だけしか映らない)のは不自然だった。
キバ子であり、楢崎あんずという初めて名前を見るCV(もしかして「くすはらゆい」?)も良かった。仲良くなるまでに時間がかかるものの、一旦Hする仲になったとたんにやりまくるシチュエーションは痛快だった。
最初はよそよそしかったサチが段々主人公になついて来るさまには微笑ましいものがあった。
しかし、サチシナリオにシリアスな展開は必要だったのだろうか。単に、主人公宅に堂々と同棲出来る理由付けにしかなっていないように思えた。
仲が悪い、主人公と主人公の父親の関係改善につなげているあたりは悪くなかったが、借金返済のくだりで支援者が簡単に集まってどうにかなってしまうところ、そして『実の妹』という展開には『起承転結』の『転』を感じられなかった。
そもそもサチの母親公認であり、また、BL同人からプロのエロ漫画家になるくだりなどの意表を突く展開で十分にストーリーを引っ張れるのに、シリアス部分をわざわざ入れているところには『水増し』感しか無かった。
ピンク髪のサチのビジュアルや蒼依ハルのCVが好きだっただけに、残念である。
そして、個人的な本命と言える黒髪のいちかのシナリオがporori氏。印象的な背景の吉田誠治氏とともに、同人サークル「夜のひつじ」のすごさを商業作品(本作)を通じて改めて感じた。
特に、いちかの母性の強さには絶対にかなわないなとすら思えた。ここまで母性が強いエロゲヒロインはほかに居るのだろうか(「夜のひつじ」がかかわっている作品は別として)。こういう子が居ると、主人公は人間性がダメになるのではないかとさえ思えた。歩サラの、他作品に比べると高めのCVがヒマリ風に思えて良く合っており、俺得だった。
いちかが自分の胸に主人公をぎゅっと抱きしめるシーンが複数あるが、このシーンが忘れられない。
こういう、心の中のやわらかいところを突いて来るところが「夜のひつじ」らしく、ゆえに本作『こいのす☆イチャコライズ』の私の最終評価は上がったのである。
私は、なつめ → サチ → いちか、の順にプレイして大満足だった。もしプレイ順が違ったら評価は多少変わっていたかもしれない。
発売前に公式HPを見た時の私の印象が『HシーンのCGのいやらしさが良い』だった。
そして、Hシーンに関しては期待を裏切らない仕上がりだった。
シナリオに関しては、いちか>なつめ>>>>サチだったが、全体として一定水準以上ではあったと思う。
本作をプレイ出来て本当に良かった、と思える作品である。