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MGNさんの家出した俺の娘が公衆トイレで神様を募集しているらしい!?の長文感想

ユーザー
MGN
ゲーム
家出した俺の娘が公衆トイレで神様を募集しているらしい!?
ブランド
劇團近未来
得点
80
参照数
782

一言コメント

今回は褐色ギャル子や関西弁の子が登場するが、一番良かったのは2時間推理ドラマのような良く練ったシナリオだった。まさか同人抜きゲでぐっと来るような軽い感動シナリオを味わえるとは・・・。今までプレイした劇団近未来作品では一番面白かった。劇団近未来の新しい方向性みたいなものを感じた。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

【ネタバレしてます。閲覧はご注意願います】


「売春リアル」から続けてプレイすると、まずヒマリの役柄(演技)の違いに吹き出してしまった。
いきなり『チョリーッス!』とか言われても「お前何者だ!」状態で笑わせてもらった。
主人公にも「自分が風俗に行ったときには絶対に指名しないタイプ」「ゲテモノ少女」と思われてしまう。こういう褐色のギャルはエロゲでは居るようであまり見かけないので貴重かもしれない。
「トイレの神様」以来、この援交シリーズも3作目だが、本作でようやく琴葉が主役で登場したところに、まず興味をひかれた。意外と謎の子で、キャラが立っているようで立ち切れていなかったので、今回はどんな子なのかがようやく明かされそうで楽しみだった。

推奨攻略順があるかどうかは、確認しなかったので不明。
今回は琴葉がメインであると予想したので、そもそも最初に攻略するつもりがなかった。
本作ではいつものマップ移動のほかに、クイズやアナグラムと言った「遊び」が登場するが、これがちゃんとストーリー展開への布石になっているところが良かった。
別れた前妻から家出をしていると知らされた、主人公の子供の花子か?と予想して追いかけたハナが残したヒント。これを解き明かすあたりからストーリーの進行速度が上がったような気持ちになった。
褐色ギャルのモカが琴葉の後輩(学校の部活での先輩後輩の関係)である、という実に都合の良い展開はさておき、主人公が琴葉に直接会って親子なのかを確認するくだりにはひきつけられた。
そして、琴葉の名前自体が旧名のアナグラムであることを解き明かすところや、最後の選択肢、エンディングテロップが流れ終わるところまでは、大変に感銘を受けた。
なぜ俺は劇団近未来作品をプレイして感動しているのだろうか、と良い意味で呆然としてしまった。

ところが、この感動的なエンディングの直後にワンエピソード入っており、おや?と思ったら、ハーレムルートのストーリーが始まったところにはガクッと来てしまった。
このエンディングで一回終了でいいじゃん! それで、タイトル画面に「ハーレムルート」のアイコン追加じゃダメだったのか???
うっかり感動してしまったので、その落差には参った。しかもこのハーレムルートがまた、それほど面白くないのである。
何か、感動ストーリーのままで終了すると劇団近未来的にまずいことでもあったのだろうか、と勘ぐりたくなってしまったほどだった。
せっかくTVの2時間ドラマみたいに盛り上げて、伏線の回収や解説まできっちりこなしての満を持してのストーリー終了だったのに、ハーレムルートとつなげてしまった、このただ一点で名作認定は出来なかった。
そういう意味で、実に惜しい作品である。

抜きゲに感動するストーリーがあったっていいじゃないかと思うし、現に実行してくれたのに、それを自分たちの手でわざわざぶち壊す意味がわからなかった。
ただ、前作の「売春リアル」から見ても、本作は劇団近未来の新しい方向性は示していると思う。
ひとりのファンとして、劇団近未来の次回作を楽しみにしたい。