ErogameScape -エロゲー批評空間-

MGNさんのボクがワタシになった理由 ~女装計画~の長文感想

ユーザー
MGN
ゲーム
ボクがワタシになった理由 ~女装計画~
ブランド
暁WORKS‐黒‐
得点
80
参照数
1184

一言コメント

個人的に重要な作品となった。「無かったこと」にされるにはもったいない。最初からもっとはっきり抜きゲだと宣言するなり、主題歌を作るなり音楽面に力を注げば違う結果が出たのかもしれない。桜ロマ子のいやらしい絵柄、SMへの妙なこだわり、著名な声優の演技など、異色作品として印象深かった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

本作をプレイしたきっかけは、
・「女装」というキーワード
・ダイナマイト亜美の声が聞きたい
・別名義ながら個人的に好きな声優が出演している
・桜ロマ子という原画家の絵柄がいやらしいのが気になる
だった。

結果的には「当たり」だった。
SM的な要素多数(桜ロマ子の肉感的な絵柄が実に良く合っている)、著名声優の演技力、主人公のゆがんだ性癖、女子校というお決まりの閉鎖空間など、抜きゲとしての条件がちゃんと満たされていた。
それを著名ブランドの名前が入った傘下ブランドが発売してしまう(新たな方向性を模索しようとする)姿勢が良かった。
また、特筆すべきは主役の民安ともえがSキャラとMキャラとで微妙に演技を使い分けているところであり、感銘すら覚えた。Sキャラの民安ともえは鬼気迫っている感があった。
ヒマリの狂気とも言える演技は他の萌えゲでは聞けない貴重なものだった。
野宮香央里はほぼSキャラだがルートによってはMキャラとなり、その落差にはぞくぞくするほどだった。
出演声優のファンには、別の意味でプレイする価値があると思える。

しかし残念ながら著名な親ブランドのファンの方々には当時受け入れられなかったらしく(当たり前と言えば当たり前か)、その後に同ブランドから「HOTEL」などの印象的な作品を発売しながらも、結果的にこのブランドは解散、他のブランドへ統合されてしまった。

もはや「なかったこと」にされてしまった感が強いが、個人的には異色作として忘れられない作品である。