せつなさの斜め上を行くはかなさが味わい深かった。
萌えの仮面をかぶりながら実はエロエロ。
バカゲーの仮面をかぶりながら実は軽い狂気の世界観。
2012年になってからプレイしたが、もっと早くやれば良かったと後悔した。
特に、車の人のエロゲ初出演作品としては、後続のどの作品とも違う役柄・演技という点で傑出した出来と思える。
もともとは、みるの声が聞きたくて購入。
ところが、みるの期待を裏切らない安定感を茶谷やすらのせつない系ボイスが上回り、さらに車の人のエロエロボイスがその上を軽く超えて行ったのには参った。
そして、柏木るざりんによる電波主題歌を見事に自分のものにして歌いきる民安ともえにも脱帽。
特に民安ともえは、サブキャラながら重要なキャラである部長を見事に演じている。
ストーリーは荒唐無稽ながら、随所に軽い「狂気」と「孤独感」と「死生観」とでも言うべきものが挿入されており、バカゲーの範ちゅうにある作品にもかかわらず、夢から覚めて現実に戻ってしまう点がきちんと描写されている。
特に、とばり・こよい姉妹の抱える孤独感、物理的に破壊されることで夢の中に抱き枕たちが誰も登場しない世界観、主人公が夢から覚めない結末があり得そうなストーリー展開などに、シナリオライターの力量を感じた。
難点を上げるとしたら、収録音声の音量が小さすぎるところか。
キャラクター全員の音量が小さいなら、ゲーム側だけでなくPC側のスピーカーの音量調整まですれば何とかなるが、蛍とこよいの声だけ音量が小さすぎる。このふたりの音量を最大にして他のキャラの音量を下げるなどいろいろ試してみたが、収録音声のマスター音量が小さいのはユーザー側ではいかんともしがたかった。ここだけが残念だった。