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MGNさんのくるくるくーるの長文感想

ユーザー
MGN
ゲーム
くるくるくーる
ブランド
アクシス
得点
80
参照数
1041

一言コメント

TSゲーなので購入。クリアしたが、予想以上に面白い作品だった。バカゲー枠ながら、ちゃんと作ってあるところが良い。特に伏線の回収など、細かいところを気にしている。さりげなく戦闘シーンのあるルートもあり、燃えて胸踊らせてくれたのも印象的。主人公役の奥山歩がなかなか良く、特にあえぎ声が素晴らしい。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

TS(性転換)ゲーの旧作として探してプレイ。
ストーリーがちゃんと作られているだけでなく、伏線の回収など細かいところを気にしているところに好感を持った。バカゲー枠ながら、銀聖ルートの戦闘シーンなど予想外に燃える展開もあり、ドキドキワクワクさせてくれた。
特に、80人という具体的な数字がセリフとして出て来たくだりでは「50人+30人=80人、か!」と直感してしまい鳥肌が立った。
性転換が自在に出来てしまうという点において他のTSゲーとは世界観が異なるが、主人公以外のキャラが性転換したり(女性だけでなく男性キャラも!)など実験的要素が大きい。
特に、主人公の親友である銀聖が性転換してそのまま女性化して戻らないストーリーには非常に驚かされた。ある種のBLであり、最後には子供が出来るシーンもあって強烈だった。これこそがTSゲーの持ち味かもしれない。

主人公・ユキ役の奥山歩を本作で強く意識した。特にあえぎ声が素晴らしい。2013年作品の「LOあんぐる!!」でも〇学生のボクっ娘を演じているが、今後も奥山歩出演作品はチェックすることにする。
青葉りんごは自分がプレイする作品にはあまり登場しないが、本作のようなマッドサイエンティスト役は実に良く合っていると言える。電波ソングとも言える主題歌も耳に残る。
ヒマリはロリキャラから大人キャラまで幅広く演じる人だが、本作のようなクールで皮肉屋で低い声メインの役は珍しいと思えた。
白井うさぎという方、今回初めて声を聞いたがお姉さん役が実によく合っていると思う。秀島史香というDJの声を軽く聞きやすくした感じ。出演作品がそれほど多くない様子だが他作品もプレイしてみたくなった。
問題なのが逢川奈々。それなりにキャリアのある方なはずだが、どうしてこうなった・・・。奇しくも「あい♂まい♀みすと」にも出演しているがそっちもやっぱり(以下自粛)。
サブキャラのちとせ役の杉原茉莉は好演。意外とセリフが多かった。いっそHシーンを描いて欲しかった。バッドエンドでいいから。

他にあげるとしたら、電波ソングの主題歌は別として音楽がエロゲらしくなくて逆に良かった。テレビ番組の劇伴音楽みたい。特に紗姫先生のテーマはスキャットが入ったりなど古いTVドラマを思い出した。
EDの「カタオモイ予報」にしても意外に真面目な内容でやっぱり古いTVドラマっぽい。音楽の飯塚博という人の名前は覚えておくことにする。

その他、気が付いた点を少し。
キャラの私服のバリエーションが少な過ぎる。せめてユキは主人公なのだからもっと可愛い服をたくさん出して欲しかった。
面白かったのでそのままにしておいたが、NGボイスがそのまま残っていたり誤字脱字誤読が結構あった。パッチを当てると修正されそうなのでやめた。
本編とはあまり関係ないミニシーンがアイキャッチとして登場したが、個人的には楽しめた。ただ、こういうシーンの登場は好き嫌いがあるだろうな、と思えた。
「北の空に向かって、敬礼!」には吹き出してしまった。CROWDへのリスペクトをこめた作品ということか。やはりTSゲーを語る上では「XChange」は無視出来ないのだろうか。