ErogameScape -エロゲー批評空間-

Fastactionさんの女装学園(妊)の長文感想

ユーザー
Fastaction
ゲーム
女装学園(妊)
ブランド
脳内彼女
得点
76
参照数
11

一言コメント

ぶっ飛んだ世界観に序盤から笑い、後半は意外とまともな恋愛ものになっていることに少々驚いた変な作品。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

まず序盤は共学と思っていた学園が実は男子校で女子の格好をしているのは全員男の娘であり、男の娘の是非を巡るストーリーがあまりにも常識を無視していて笑った。特に葵は男の娘の周知を理念としている学園の創設者の令嬢(令息)であり、幼い頃から男の娘は男と結ばれることが常識であり、それ以上の喜びはないという教育を施されており、葵にとっての常識と一般人にとっての常識や生物学、倫理との乖離により生み出されるギャグで笑えた。特に伊月ルート(最初にプレイしたルート)では男遊びを繰り返して穢れた自分を受け入れられない伊月に対してそれでも受け入れるというクライマックスシーンで主人公が伊月に「俺の子供を産んでくれ」と言った時には脳が理解を拒んでシーンの重さと言動のギャップでかなりツボに入った。そのぶっ飛んだ「常識」に慣れた中盤以降は茶道部の活動を介しての四角関係が進み、意外と?まともな恋愛ものになっているのが少々驚いた。衝撃だったのは男の娘ヒロインが全員可愛いと思えて、その献身的な奉仕で「アリ」と思わせられたことだった。男の娘主人公が少女ヒロインと結ばれるタイプの作品は『つり乙』『おとボク』シリーズなどで既に私の好みであることは実感しているのだが、主人公意外の男の娘に萌えを感じたのは初めてだった。有名キャラで言えばアストルフォや秀吉のような男の娘には一切惹かれなかったが、本作の葵、暁、伊月はそれぞれビジュアル、性格、(それぞれ異なるアプローチでの)献身的奉仕、声の様々な要素が私に合致して好きなキャラとして見れるようになり、新たな扉が開いた。特に男女のやり取りでは見られない男の娘だからこその葛藤が伊月や暁で見ることができて満足。葵に関しては最初から性を超越したかのような存在でそのような人物も他作品ではなかなか見ることができないため、新鮮だった。ただ、ストーリーがシナリオゲーと比べて薄いので、腰を据えてじっくり楽しむような作品ではない。キャラ同士の掛け合いを作業BGMや横になっている時に気軽に楽しむことができるものとして扱うべきである。ヒロインとの掛け合い、あるいはヒロイン同士の掛け合いが(でもこいつら全員男なんだよなぁ…)と念頭に置けば口角が上がってクスッと笑えるシーンが続く作品。ヒロイン全員が男の娘の美少女ゲームという非常にニッチなジャンルの作品ゆえに他の作品では滅多にみられない掛け合いがウリとなっているという(性癖が合えば)気軽にスナック感覚で楽しめる作品。