百合ミステリーの傑作
百合モノとして見ると、女性同士の複雑な関係性だったり、気持ちのすれ違いが分かりやすく表現されていたので各章の登場人物に感情移入しやすく、章ごとに起承転結と伏線回収がしっかりしているので、ダレずに読み進めることができ、とても面白かったです。最後にリルヤの描いた絵を見て世界が変わった瞬間（感動した姿）はよかったですね。また、各章違ったカップリングの登場人物が出てきたので、それも飽きなかった要因の一つだと思いました（切符さんのイラストがとてもきれいで、すごくよかったです）。また、文学作品から引用したセリフや哲学的なセリフが頻出しましたが、天才リルヤさんの解説があったり、おさらいの時間があったので、読み手に取ってすごく親切で、置いてけぼりになることもなかったです（知らない知識が増えました）。
最終章まではショートストーリーの連続だと思ってましたが、最後の最後ですべての出来事を伏線回収していく展開にはしびれました。全然そんな感じはなかったので、怒涛の展開にただただ圧倒されました。推理モノとしてみても、すごく完成度が高かったです。
登場人物が全員集合するシーンやリルヤとナツカのキスシーン、他カップリングの仲直りした姿、白鳥の湖のオリジナル解釈など、自分が期待していた展開がすべて見られたので、大満足です。欲を言えば、アフターストーリーもっと見たい！
「真実の愛はお互いを信じること」これに尽きます。