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ACiD8926さんのアイよりアオい海の果ての長文感想

ユーザー
ACiD8926
ゲーム
アイよりアオい海の果て
ブランド
AXL
得点
70
参照数
1413

一言コメント

久々のAXL。内容は平均レベルをきちんと保っていて悪くはないのに、最近のAXLはクソだとか、もうこのブランドも終わりやね。みたいな意見が多いのはちょっと悲しい。少なくとも「いつものAXL」といえるだけのクオリティはあると思う。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

プレイしていつも思うのは全力で70点を取りにきているブランドだなってこと。
際立っていい作品とはいえないけど、駄作とも言えない。毎回平均点をぴったり狙ってきている感じ。
まあ安定しているってことなのだが、悪く言えば中途半端だとかマンネリなわけで、AXL好きからしたら良作になるのだろうけど、そうじゃないひとからしたら良くても佳作どまりなんだろうなって感じがする。
実際、昔の作品に比べたら最近のはぱっとしないところはあるし。そういう意味でもいつもののレベルが下がってきてる感じはある。
いつものAXL!とか安定したAXL!っていうけど結局代わり映えしないってことなんだし飽きられたらそりゃ買う人少なくなるわって感じ。

自分はAXLが好きなので、これからもちょくちょく買っていくとは思うのだが、そうじゃない人はどうなんだろうって感じはする。
せのぴー絵が気に入らない限り、新規でこのブランドの作品買う人いるのか??って思ってしまう。
AXLといったら、せのぴー絵(SD絵も含む)。青山ゆかりさん。個性的で面白くたくさん出てくるサブキャラクター。バカップル。ご都合主義。成長物語。ほんわかした雰囲気。って感じだと思うのだけど、結局外からぱっと見えるのはせのぴー絵しかないわけで、それを気に入った!!絵買い!!!ってならない限り、最近ヒット作もあまり出していないパッとしないブランドをAXL好きの人以外が買うとは思えない。ただでさえせのぴー絵はちょっと癖が強くて万人受けするとはいえないのだし。まあそのあたりは作品のデータ数が年々落ちてきていることからもわかる感じはする。
言い方悪いけど今のAXLは信者って呼ばれる人が買い支えているのかな・・・って思う。

ただ出している作品自体は、マンネリ感はあれど毎回こちらを満足させてくれるクオリティになっているのだし、ここいらで一発、最近で言うと百花繚乱エリクシルみたいな、みんなが良作って言ってくれるような、平均点をポンと超えてくる作品を出して欲しいよね。
内容は平均レベルをきちんと保っていて悪くはないのに(人によってはよくもないんだろうけど)、最近のAXLはクソだとか、もうこのブランドも終わりやね。みたいな意見が多いのはちょっと悲しい。
別にそこまで言うほど悪くないでしょ・・・って個人的には思う。エロゲ全体で見てみたら普通に佳作レベルはあるんじゃないかなと。


内容はいつものAXL。
サブキャラも濃くて、みんなで賑やかワイワイって感じのゲーム。ただ、最近は作品をだすごとにサブキャラが段々薄くなっていくな・・・って感じはする。
他には今回は設定が結構気に入った。閉鎖的な空間で生きているわけで、周りのみんなが小さい頃からの知り合いっていうのがいいよね。特にヒロインとかに至っては全員が幼馴染。
昔から知っているからこその遠慮のなさというか、絶妙な距離感がとてもよかった。
設定だとかに関しては細かくみていくと、ん?って部分もあるけど、神経質な人じゃなければ気にならないと思う。実際自分も別に気にならなかった。AXL自体ご都合主義物語みたいなところあるしね。
ヒロインもかわいい。性格だとかもいいし。ただその中でもシオンがダントツで可愛すぎる。みんなの前ではキリっとしてるけど、実は泣き虫で誰もいない時だけ主人公に甘えまくってくるとか最高すぎる。言葉遣いが幼くなるとことか神。CV:青山ゆかりなのもいい。個人的には今までやったAXL作品の青山ゆかりキャラの中で一番好きかも。
せのぴー絵も相変わらず可愛い。表情豊かでいいよね。SD絵もかわいいし。なにかあったとき立ち絵の顔をアップしてあわあわしている演出も相変わらずいい感じ。
他にもいつもみたいな過去作キャラがちょっと出てくるファンサービスとかも良かった。
あといつからか知らないけどチャート機能なんて出来たんだね。滅茶苦茶便利。

ただ、若干ダルいシーンが多いなと思った。人物関係がめんどくさいシリアスシーンだとか。
シリアスシーンは別にいいんだけど、人間関係がめんどくさくなったり、周りから責められたりしてヒロインがかわいそうって思えるようなのはすごく嫌い。んでそういった展開がちょくちょくあってそれがだるかった。
あと、あんな空間で暮らしていて、生きていく事が第一で新しいことに挑戦しなくなっちゃったっていう背景があるから仕方ないとは思うんだけど、新しいものに対しての閉塞感みたいなのもダルイ。田舎は陰湿!!みたいな話をたまに聞くけどまさにそれって感じ。
アイが街に受け入れられるまでとか。勝手に起こされて記憶もなく、文化からなにから全く違うところに放り込まれたのに、周りが微妙な反応とかほんとかわいそう。
ほかにも何をするにしても町の住人の反応がネガティブから始まるのがめんどくさい。学校にしてもライブにしても。
AXLはハートフルストーリーみたいなイメージがあったのでそれが結構だるかった。

まあそういったことに立ち向かっていく時に、みんなで立ち向かっていくってところがAXLらしくていいなとは思った。個別ルートとかでそういったことが起こると、そのヒロインと主人公の二人三脚で・・・って展開が多いと思うけど、AXLはそういったときに絶対に他のヒロインだとかサブキャラクターを絡ませてくれる。


まあそんな感じで若干不満はあるものの、いつものAXLといえるだけのクオリティはあったと思う。普通に面白かった。
ただ、年々薄っぺらくなっている感じはする。シナリオのボリュームだとかそういった部分。
次回作は誰しも良作と呼べるようなものになってほしいなと思う。