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9791さんのはなマルッ!の長文感想

ユーザー
9791
ゲーム
はなマルッ!
ブランド
TinkerBell
得点
50
参照数
4501

一言コメント

コメディ風味の純愛系と言えるシロモノになって“は”いるが、・・・ある特定のキャラが、歴戦のエロゲーマー達ですら、震え上がらせるモノに仕上がっている。・・・エンドの判定が妙なところにあるなど、とにかく、ライターの意図が良く分からない作品。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

 現実世界を背景としている恋愛系ゲームの場合、主人公又はヒロインの諸問題を、恋愛の障害として、日常生活を通して浮き彫りにすることが多い。いわば、それを正面から捉えるか、コメディで乗り切るかが、純愛系とコメディ系の違いと言っても良いだろうと思う。

 さて、本作品「はなマルッ!」は、その区分け方で言えば、コメディ風味の純愛系と言えるシロモノになって“は”いる。総じて、ギャグタッチの一枚絵を含め、グラフィックのレベルは高く、立ち絵の表情パターンは、この手のゲームの他メーカー大作と比べても、多彩である。・・・ただ、まぁ・・・立ち絵のアニメーションとかはしない・・・と、言うか、菫のリボンが動く「だけ」なので、いろいろと開発間に合わなかったな・・・と、しみじみしてしまう部分も多い。

 サウンドは、タイトル画面のBGMでもある「春風寮カーニバル」が、マンボで、ちょっと面白い。クリア後に「声優もーど」があって、声優陣のトークが聴けるなど、結構、凝っている。

 システムで特筆すべきは、イベントシーンの演出。イベントシーンに一枚絵を表示するだけでなく、文字アクションが入る。バラエティ番組で多用される、字幕スーパー(テロップ)と同じ演出で、良い味を出している。このAVGに動的描写を挿入しようとしている試みは、他にもいくつかあって、代表的なのは、向日葵の「しろタン召喚~アルティメット超絶必殺パンチ」、桃ちゃん先生の「桃ちゃん先生におまかせあれ」は、わざわざ、MPG-MOVIEで表現されている。このど~でも良さそうなところに力を入れて、仕上がりは良いので、システム製作陣は、頑張ったんだろうなぁ・・・と思う。一つ、文句を言わせてもらえば、セーブ&ロードのダイアログが、最新の場所を最初に表示しないので、一々、セーブする度、ロードする度に、スクロールさせるのが、面倒だった。


 だから、問題は、シナリオ。

 ・・・ある特定のキャラが、歴戦のエロゲーマー達ですら、震え上がらせるモノに仕上がっている。

 ・・・「純愛系と言えるシロモノになって“は”いる」と、前述したのは、そのためだ。シナリオは、実は重い。・・・いや、正確には、シナリオは全く重たくないのだが、扱っているテーマが重い。何しろ、「遺伝性疾病」、「養父による性的虐待」、「性同一性障害」・・・とゆー、特に一番最後は、エロゲーで・・・男性向け18禁で・・・扱ってよいシロモノかなのどうか・・・個人的には、駄目。

 同性愛を否定するわけではないが、趣向的には“ストレート”なユーザーな方が大多数ではありませんかね、エロゲーマーは。LESBIANISMは、とりあえず、見るだけならば、容認できるが、HOMOSEXUALITYは・・・ちと。別ジャンルで「女性向け」とか「ボーイズゲーム」という区切りあるので、そちらで存分にやっていただけると、有難いと思うのだが・・・。

 あと、ライターの意図が良く分からないのは、エンドの判定。

 向日葵・椿のBADの判定&桃のエンドにおけるダーク面露出の判定が、どうも、Hの「中か外か」の選択肢らしい。中だとBAD、外だとOK・・・っぽい。キチンと確かめたわけではないが。・・・正直、何を考えているのか、不明。“中”に恨みでもあるか・・・あまり、意味不明の選択で、プレーヤーをやり直しさせるのは、いい趣向とは思えないと思う。