尊い、ただひたすらに尊い...。ゆっくりとプレイしたから数日持ったけど、がっつりやれば一日で終わる内容でした。でも、最高に尊い作品。
女の娘同士による日常がとても尊くてとても癒されました。
CGこそ少ないものの立ち絵や背景に細かい変化があって楽しめた。
内容自体はとても短いけど、作品の空気がとても心地よくて尊くてゆっくりと時間をかけてプレイしてしまいましたね…。
誰と誰が恋人になっても、もう1人との関係が変に拗れることも登場回数が減る事もなく今まで変わらない風景が見られたのも良かった。
初めての恋愛、しかも同性ということで戸惑いながらも距離を縮めていく姿がありえんくらいに尊かった…。
えっちシーンは触れ合う程度のソフトなものだったけど、それがより尊さを強調していました。
追加感想
女の娘同士による日常風景、部屋や学校でのかけあいがとても優しくてとても尊くその光景をずっと見守っていたい...そう思える内容でした。
登場人物としては
・明るく活発で裏表なく面倒見がいい部分もありながら子供っぽさが抜け切れていない「夏目 陽菜」
・一見するとクールな印象が強いが、陽菜や文の前ではだらけたり甘えたりする「緒方 倫」
・言動も見た目も天使にしか見えない。天然な部分も多いが3人の中ではしっかりものの「浅生 文」
物語としてはこの3人の中からカップルが出来ていく話ですね。
ここに寮の管理人である「鷹岡 祥子」が加わるのですが、この人は3人の尊い世界を壊すようなこともなく出てきてくれてましたね。
【共通】
作品として特に大きな山場があるわけでもなく、ただひたすらに3人の日常風景をゆったりとした時間の中で楽しむ内容でした。
ひとつの部屋に三人で住んでいるので「今日の晩御飯どうしようか」とか「買い物しておかないと」みたいな何気ないやりとりがありそれがただただ心地良い...。
登場人物も少ないが、三人の日常を描く場所もまた少ない。
狭い空間の中で女の娘同士による日常が繰り広げられるのですが、
寮の部屋、教室、チャペルという閉ざされたような世界だからこそ三人が日常を過ごしつつ、
自分自身の心の変化に気が付き、時には戸惑いながらもその気持ちと向き合って、
新たな一歩を踏み出すのがより強調されて描かれていて余計なことを考えることなくそれを眺める事ができていました。
3人の関係性も倫が陽菜をからかい文がそれを宥めるといったように既に完成されているようなものでした。
そのなかで誰と誰が恋人になっていくのか3人の関係性にどのような変化が訪れるのかプレイしている側としてはそれをただ見守ることになるのですが、
見ていてとても優しい気持ちになれました。
言ってしまうと誰と誰が恋人になっても“3人”という部分には大きな変化は特になく今までと同じような日常風景があり、
そこもまたこの作品の世界観を素晴らしいものにしていました。
同性愛がテーマになっている為、その葛藤などの描写があるのかと思っていましたがそんなこともなく3人の友情が壊れるといったシリアス展開も全く無かったこともポイントが大きいです。
初めての恋愛でしかも同性なのですから、何かしらの葛藤のようなものがあると思うかもしれませんが、あったのは“恋”という初めての感情に戸惑いつつもそれを受け入れる姿のみでした。
恋人にならなかったもうひとりも他2人のことを応援してあげたり、今までと変わりのない態度で接してきてくれたりして、そこにも3人の強い絆というか友情を見ることができました。
同性で恋人になった2人に対して何の偏見もなく今までと変わらない態度でいてくれるのには安心しましたし、前述のように強い友情を感じることができて尊さが溢れてきました。
CGと立ち絵とBGMは本当に少なかったですが、その少ない中で背景や立ち絵の細かい違いを上手く使って物語の演出を生み出していました。
その例として、誕生日会での部屋の装飾の変化がありましたね。
誕生日イベントこそエロゲではよくありますが、誕生日を祝うための部屋の装飾の変化はCG以外ではあまり見られないのではないでしょうか。
なのでそういったところも短い内容の中で丁寧に作り込まれてました。
【個別】
・夏目 陽菜の場合 【倫×陽菜】
恋に疎い陽菜がバレエのポーズを取る倫に見惚れてしまい、そこに女の子としての綺麗さを感じ自分の気持ちに気が付く瞬間はとても尊かったですね。
倫もクールに陽菜のことを引っ張っていこうと振舞ってはいるけど実際のところ自分自身も人を好きになることが初めてでいっぱいいっぱいだったっていうのも凄く可愛かったです。
倫のバレエを辞めた理由を聞いても「それでも私が見てるから!」と励ましたりと陽菜の真っ直ぐな性格が凄く良いルートでした。
陽菜が倫への気持ちを隠そうともしないでかまってかまってって感じに甘えてようとじゃれつく姿はほんと可愛かった...。
陽菜がとあることで勘違いして家出しちゃったときの倫のセリフが凄く心にきました。
「どれだけあんたのことで、どれだけあーでもないこーでもないって悩んでた、分かる?」
「あんたみたいな“天使”じゃないのよ、こっちは・・・・」
「こっちだって初めての恋愛で、どうすればいいのか分からなくて無茶苦茶戸惑ったんだからね!」
陽菜のことが本当に大切で...
だからこそ、それと同じくらい強い悩みを抱えていたんだなって...。
その後の陽菜が倫からまだ「好き」って言われてないということでここで初めて倫から陽菜に「好き」って言葉が出てきたのがよかったです。
言われてみれば言ってなかったなって思いましたけど、言ってなかったとしても二人の気持ちは通じ合っていたし、とても尊かったので気が付きませんでした。
そして初めて「好き」って言ってもらえて「好き好き好き倫大好き!」って言う陽菜がもうありえない可愛さでした...。
これからも倫が陽菜のことを基本的に引っ張っていくのではないかと思うのですが、倫がふとした瞬間に不安になっても陽菜のどこまでも明るい性格があれば何も問題が無さそうな気がします。
・浅生 文の場合 【陽菜×文】
この√はどっちかが引っ張っていくという感じではなく、お互いがお互いに持っていない部分を求めて認めていくものでした。
陽菜は文の持つ“女の子らしさ”が文はそんな陽菜の持つ真っ直ぐさ、一生懸命なところが羨ましいと言い、互いに持て地なかったとしてもそこが良いんだと認め合える良い関係でしたね...。
熱を出してしまった陽菜のことをとても心配そうに看病する文の姿はとても献身的でした。
これからはお互いに名前で呼び合おうねと会話するシーンは尊さが振り切れてました...。
他にもチャペルでえっちなことをしちゃってそれを倫に遠まわしに指摘されて「ぎく」って言っちゃったり、
倫に付き合っていることを報告するところも倫が初めから気が付いていた事を知らずに「実は・・・」って感じに報告する二人が可愛かったです。
「なんだ、このかわいいいきものたち・・・・」
最終的に陽菜が王子様であり旦那さまで文がお姫様であり妻という関係に落ち着くのですが良いチョイスだったなと思います...。
この√の倫が親友感が強くてすごく好きでした。
2人のことを影で見守っていて、祥子さんが二人がいちゃつく所に行こうとしても止めていたり、結婚式の真似事をする際に神父役をやってくれたりと凄く良い立ち位置でした。
これからも2人のことを影から見守りつつ、三人でも遊んだりしていてほしいです...。
・緒方 倫の場合 【文×倫】
普段は天使のような文ちゃんが普段は無自覚な小悪魔的要素を強く押し出してきていて他のルートとは違った楽しみ方が出来ました。
そんな文ちゃんに翻弄される倫が可愛くて可愛くて...。
部屋ではぐーたらにしつつもクールな部分が強い倫が文ちゃんに良いように扱われているのがもうね...それぞれのギャップが凄くてカップルの中で特に好きな組み合わせでした。
文の小悪魔な部分に戸惑い、それに対して文の余裕な態度にこっちはもうニヤニヤが止まりませんでしたよ!
倫が攻めていく関係になるのかと思っていただけに文のエロシーンでの攻め攻めな感じには凄くギャップ萌えしました...。
倫が攻めのパターン見たかったけど、これはこれであり!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
いやむしろこっちが好き!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
エロシーンでのスパンキングはつい笑っちゃいました。
攻め攻めな文の言葉攻めとSっ気たっぷりの表情が凄く良くて...
文「まだ触ってもいないのに?見られているだけで倫は感じちゃうんですね」
倫「い、いじめないで?」
・
・
・
文「だって、いじわるされるの倫は好きですもんね?」
倫「す、好きなんかじゃ・・・・ないし」
って感じのやりとりがもう...もうね!!!
最高なんですよ!!!!これなんですよ!!!!!!!!!!!!
いや、ほんとここのシーンの文ちゃんの表情と言葉攻めが最高なんですよ!!!
何度でも言うけどね!最高なんですよ!!!!
最後に陽菜にも2人の関係を報告して認めてもらって...からの、三人でのクリスマスというオチよかったです。
その時の「今だけは目を瞑ってあげる(だからさっさとキスしろ)」って言い目を瞑る陽菜がまたよかった。
・天使の場合
このルートは物語の裏側を見せてくれる内容でした。
実はこのやりとりのあとこういうやりとりがあったんだよって感じに見せてくれて、
実は、こちら側つまりプレイヤーは天使目線で3人の尊い日々を眺めていたのだということでした。
そして祥子さん自身もまた地上に降りることを選んだ天使でした。
彼女たちが恋に落ちたのは、天使である自分が観測した為ではないか…そんな悩みを祥子さんが
「すべて偶然さ。世界を変える?傍観者《てんし》にそんな力はないよ。人間を無礼《なめ》るなよ」
「どの箱を開けたって、猫たちは幸せに暮らしているよ」
このセリフを元天使の祥子さんが言うところが良いですね...。
まさにシュレディンガーの猫。
“箱”の中は誰にもわからないしどのように捉える事ができる。
【エロシーン】
えっちシーンは触れ合う程度のソフトなものばかりでした。
批評空間に登録する際の「おかずに使えた?」って項目で「おかずじゃないんだよこれは...。きみはねのエロシーンは尊さの一部なんだよ!!!!」ってなりましたね。
あ、でもしつこいようですが文×倫の文の言葉攻めと表情は最高に最高でしたよ!!!
いやほんとに!!!
【全体の感想】
百合作品興味あるけど...って人に強く強くオススメ出来る作品。
自分がそうでしたし、初百合作品としてきみはねをプレイ出来てよかったなと思えます。
作品として『きみはねCouples 彼女と彼女の恋する2ヶ月ちょっと』というのがあり、きみはねに新作続編の「きみから」と新規CGや追加シーンを加えた完全版となっていてこれひとつで全てを楽しめるようになっているようです。
なのでプレイされるならそちらをおススメします。
自分はまだやってないのでプレイできる日を楽しみにしています。