ここ2~3年くらいの萌えゲ業界はそれなりに「ゲーム性」の導入に意欲的であるが、この作品はそのあんまりな完成度によって「紙芝居エロゲなんて時代遅れ」という風潮に挑戦状を叩きつけるような熱血反面教師エロゲだと言えよう。その体たらく詳細は長文にて語るにしても、例えば「ジャンプ機能」を搭載しながらそれを使うと正解の選択肢を選んでも攻略不可とか鬼畜トラップが満載なので素直に攻略サイトを見るのが賢明ゲー状態。こんな糞ゲーム性に反して、恋愛描写やらエロは凄くイイから困る。特に友達以上恋人未満の微妙な関係の上での、こそばゆい恋想のさわり合いがとても上手く書かれており、さんざんそこらへん焦らしてからお兄ちゃんをメイド服を誘惑する由羽子とか、恋愛無自覚100%なのにクリティカルヒットを連発する唯華とか「このヒロイン、どこまで誘っているのか?」とか妄想しながらニヤニヤしたい又はホビらじAPスキー向けの萌えゲだ。
・総CG枚数(差分無し)87枚 総回想数21枠
・キャラ別CG(エロCG)&回想数
唯華 22枚(13) 5回
アリサ 18枚(11) 4回
陽葵 18枚(10) 4回
由羽子 19枚(11) 5回
その他 6枚 (6) 3回
(備考:その他は亜衣子×由羽子の3P一回(妄想エチ)と 涼の君の女の子verエチと男の娘verエチ(両方とも妄想エチ)となっております)。
・クリック数
簡単な説明:クリック数つーのは、既読スキップオン+テキスト速度ノーウェイト環境下で計った、ゲーム開始時から作品を終えるまで各シナリオ毎のクリックの合計回数のこと。以下そのメリットについて。
(1)初回プレイ時の「共通」+「個別」のシナリオの総容量が分かる
(2)2周目以降の、共通シナリオを除いた個別シナリオの総容量が分かる。
(ゆえに、一周目のヒロインルートはクリ数が多く、二周目以降はたぶん半減するが、一周目の「個別ルート」が他よりも長いというわけではないので注意)
(3)エロテキストのクリ数と。それを含んだ全シナリオのクリ数を比較すれば、両者の割合もある程度はわかる。
(4)テキスト速度の環境さえ同じなら、プレイ時間と違ってユーザーによる計測誤差は少ない。
といった四点が指標として役に立つとバッチャが言っていたような気がしないでもない。
(5)BCは主人公とヒロインが恋人になる前までのクリック数で、ACは恋人になったあとのクリック数ね。
「その恋人になった「まえ/あと」ってどう定義するの?というのはなかなかにむずかしい話であるが、大抵のエロゲには告白CGなるものがありますからそこを基準にします
そういうCGがなかったり、なんかズルズルだらしない感じでずっこんばっこんなシナリオの場合は、まぁ僕がテキトーに判断しますが、その場合は「?AC6992」みたいに?をつけまつ。
そういや「誰とも付き合わないシナリオ」っていうのもあらわな。そう言う場合は特にACとかBCとかは書きません。
1周目 唯華 「22740」 BC17056 AC5684
2周目 アリサ 「8097」 BC4065 AC4023
3周目 陽葵 「10380」 BC3848 AC6537
4周目 由羽子 「8496」 BC4011 AC4485
(備考:いろいろと途中分岐ルートはあったりするんですが、それも全部共通ルートの内のミニ分岐だし、しかも攻略のためにはそのミニ分岐を最初に潰さないとキツイ為に、分岐テキストは殆ど唯華一周目に含まれています)
・各キャラのHシーンのクリック数
――恋想リレーション
・唯華 1:689 2:582 3:906 4:724 5:801
・アリサ 1:762 2:522 3:1089 4:852
・陽葵 1:902 2:1205 3:942 4:778
・由羽子 1:874 2:768 3:821 4:723 5:655
・涼 1:358 2:605
・十羽子&由羽子 1:874
☆作品の大まかな評価。
簡単な説明:これはもうそのまんまですな。一応Z~SSSまでの評価基準が存在するらしいのですが、大抵はC~Aの間に収まっているようです。
「C」がだいたい「やってもやらなくても別にいいんじゃね」。「B」が「やればけっこう面白いんじゃね」。Aが「やってないヤツは人生つまないんじゃね」。
といったかんじになっております。あと「全体評価」っていうのは、その項目における「作品全体」から感じる何となく駄目だとかイイとかそういう評価です。
あと、これは当たり前すぎて却って説明しにくいものですけど、僕の定義による「シナリオ評価」ってヤツは「感動させなきゃダメ」とか「深いテーマが無きゃダメ」とか、
そういうヤツではなくて、基本的には「その作品が目指していると思われるものが、どれくらい達成されているか?」というような「完成度」評価に近いものかも知れません。
ですから、原理的には抜きゲであろうと萌えゲであろうとシナリオゲであろうとも、その作品が目指しているものが完成されていると判断すれば、シナリオ評価は高くなるって話です。
・シナリオ評価
唯華 B+
アリサ B
陽葵 B-
由羽子ー B+
全体評価 B
・エロ評価
唯華 A-
アリサ B+
陽葵 B-
由羽子 A-
全体評価 A-
・イチャラブ評価
唯華 B
アリサ B
陽葵 B-
由羽子ー B+
全体評価 B
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「1」ゲーム性について
本題に入る前に、エロゲ言説に未だに少々残る、少なくとも僕にとっては意味不明な、本人達にとっては「(1)ゲーム性リスペクト」なんだろうけど、僕にとっては単なる「惰性的ゲーム性崇拝」みたいなモノを少々批判しておこう。
別に特定のレビュアーを差して言うわけではない(というのは、この手の言説はある種の常識論となっているレベルで、特定のレビュアーが「主張している」ものでは無いからだ)のだが、その手の言説をやや戯画的に言えば、
こういったレビュー口調に要約させられると言える。
>「○○作品は本当にゲーム性と物語が合致した、昨今のエロゲで見られない素晴らしい作品です。その反面、難易度はもの凄く高く、私も攻略サイトを見なければ全くクリア不可能でしたが、
攻略サイトを見れば誰にでもクリアは可能だと思いますので、是非是非色んな方にプレイして欲しい作品ですねー」
むろん、このような言説が「即悪い」とか「即矛盾している」と言うつもりは全くない。以下に分析するように、このような言説に対して整合的な読みをすることは可能であるし、まぁもっと言えばこの種の言説は「軽い」言説であって、
語り手としても特に深く考えてこの文章を綴ったものではないと考えるのがベターで、そこまで僕のような粘着レビュアーが「(2)ガムテープで肛門を縛って白状する」まで監禁し続けるぞゴルぁ!ってやるのは不適当だと言われたらその通りである。
とはいえ、この手の文章が「誰からも違和感を覚えることなく、誰からも突っ込まれることない」ような状態にあるとしたら、そりゃまぁ「紙芝居エロゲが当たり前になるのも当然だよなぁ」と思うのも、また事実だろう。
上の文章の矛盾点というか、おかしい点は何処か。それは「どーして、攻略サイトを見なければクリア出来なかったあなたが、そのゲーム性の面白さを理解出来るのか?」とか
「単に難易度が高いってだけで、ゲーム性が優れているかのような言い分はおかしいのではないか?」とゆった点だ。もちろん、この「矛盾点」をクリアするのは前にもゆったように可能ではある。
別に「攻略サイトを見たからとゆって、そのゲームの面白さが薄れるような作品ばかりではない」と言えるし、難易度の凄く高い作品でも面白いとゆってる時点で、そのゲームは(論者にとっては)「(3)作業ゲー」ではない、
ということを示しているとも言えるわけだ。なので、この種の言説や発言が「それ自体悪いものなのか?」と言われたら、それほどは悪くはないと言えるだろう。別に良くも無いとは思うけども。
だが、このような言説があまりにも無批判に流通してしまうと「ゲーム性の攻略の面白さとその難易度の関係」や「(4)ゲーム性とその物語の関係性」とゆった、ゲームにとっていちばん重要なポイントが、
単に「難易度の高いゲームであればあるほど面白い」とか「難易度が高くても攻略サイトがあるので、基本的にどんな無茶なゲームシステムを導入しても、ユーザーは最終的に楽しめる」とでもいうような、
エロゲにおけるゲーム性というものがその「作品のゲーム性と物語の面白さの関係性とは何か?」という「本質論」を欠いた形骸化された常識論の「(5)成れの果て」に辿り着くのではないか?という疑問がある。
そして、この作品からは、間違いなくその徴候を僕は感じ取る。このような作品が出続ける限り、ゲーム性エロゲのミライは暗いし、また紙芝居エロゲに舞い戻ったとしても、それは正常な進化だと言えてしまうのだから。
さて、本題に入る前に「未プレイ」のユーザーのために「なんだかKoosleパッチなるものが出ているけど、コレで本当に攻略が楽になるの?攻略サイト必要なの?」的な疑問に答えておこう。
基本的には「攻略は楽になるけど、攻略サイトは(無駄に時間を潰したくないなら)絶対に見た方が良いレベル」だと言える。攻略サイトを見たら見たで、ずいぶん面倒くさそうな選択肢が並んでいるが、
これをハズして自分で攻略しようとすると「下手を打つ」とその2倍くらいの時間とストレスを喰らう可能性があるので、コンプリートを目指す人は素直に攻略にしたがったほうが良い。
結論から言えば、Koosleパッチはこの攻略の「手間」を減らすことはできるが、このゲーム性の厄介なところは減らしはしないので、Koosleだからラクだぜーと思って舐めてて掛かるとあなたもループ地獄に嵌まること……
この作品のゲーム性をまずは「Koosleパッチ」抜きの「Doosle」システムの攻略性から説明してみよう。このゲームをやった人ならば、僕がこのシステムを説明するために、このレビューに撒いた伏線はもう御承知だろうが、
そう、僕が上の文章でやや不自然に書いた「(1)ゲーム性リスペクト」とか「(2)ガムテープで肛門を縛って白状する」とゆった、テキスト中に強調されている文字がキーポイントになる。
この作品にもそのように、テキスト中に強調される、とある単語が存在する。そして、ユーザーはその単語を「三つまで」登録することが出来る。三つ以上に登録すると、最初に登録した(1)は(4)に上書き保存されていく。。
そして、ゲーム中の選択肢が現れて、先の単語保存(今回で言えば(1)~(5))の中に「ヒットする選択肢があった場合」には、新しい選択肢が登場する。このレビューで例えると、単語保存を何もしない、または単語ヒットしない場合には、
(A)やはりランプ作品は紙芝居作品で充分だ。
(B)ランプのマジチャは奇跡だったんや……
という選択肢しか登場しないが(2)または(5)を単語保存している場合には、
(C)ガムテープでちんこぎゅうぎゅう締めにしてると面白い作品だお
(D)タユタマ2ってタユタマアペンドと同時に発売したら、モエギーの画風の変化が分かりやすすぎるほど……
とゆったような選択肢がでるわけだ。と、このように「システムだけ」聴くとそれなりに面白く聞こえるし、なんだか「新しげなシステムに思えるんじゃね……」と思ってしまったアナタは、少なくともエロゲでは紙芝居以外の作品を作ってはいけない。
まず、この「単語保存のめんどくささ」というところから説明した方が良いだろうか。僕の上の擬似ゲームシステム説明だと「文章自体は短く」また基本バックログに「単語保存できる文章が何処にあるのか?」を探すのは比較的容易ではあるだろう
それでは「エロゲ」の場合は?
少なくとも、この作品は普通の萌えゲとだいたい同じ(ちょい多め)の分量である。そして、さきの「単語保存」できる文章は、まぁこのゲーム性は共通ルートにしか発生しないのだけど、
そこで限定しても、少なめに見積もっても、せいぜい「ラノベ三冊分」くらいの中から、単語保存できる文章を探さなければならない。比喩的に言えば、マルセル氏の長文を「10回」くらい読み直す必要があるレベルだ。
実際的に言えば「特に最短クリアを意識しない」やり方においては、たぶん、一度読んだ共通ルートを既読スキップしながら、単語保存ワードに引っ掛かったらそこでストップして保存し、保存ワード上限に達するまでそれを繰り返し、
保存ワード上限に達したら、選択肢イベントまでジャンプする(実はこれも一つの罠なのだがまぁあとで説明する)といった手法を取るだろう。
これは効率化することも出来る。単語保存ワードが出る複数のところで「セーブ」しておいて、最後までその単語セーブポイントを作ったら、あとはそのセーブポイントから選択イベントに直行ジャンプして総あたり爆撃を仕掛けるわけだ。
まぁどちらの手法を取ったとしても、基本的には非常に面倒くさい攻略方法を取らなきゃ行けないので、先にもゆったように未プレイユーザーは攻略サイトに始めから頼った方が正しいだろうが。
このような「結局総あたりゲーなんだからゲーム攻略性なくね?」的な議論をすると、たいてい「いや、総あたりゲーじゃなくて、推理出来るポイントをお前は無視してるだけだろ?」みたいな反論が基本となる。
しかし、たいてい「推理できるポイントを無視してる」的な議論をする人は「その作品をやっていないか」または「単に始めから答えを知っている製作者レベル」の人が多くて、
なぜ、そのゲームシステムにおいて「推理して攻略しようとする」のではなくて「総あたりゲー」をユーザーが選んでしまうか、または選ばざるを得ないのかという「現実の推理過程」をたいていスルーしてる場合が多い。
まずこの作品のゲームシステムにおいて面倒くさいのは「正解の選択肢が何時まで経ってもわからない」または「選択肢の正否を知るのに非常に手間が掛かる」というところだ。例えば、先の例題選択肢において、
(A)から(D)の選択肢の(C)が正解で、他は全てバットエンドだということが「すぐにわかる」作品的に言えば5分後にバットエンドという話なら「正解はすぐにわかる」と言えるだろう。
ところが、もしも(C)が正解という条件は同じでも、それが「2時間後の分岐点」まで明らかにされない場合は? その場合、C以外の選択肢を選んだ人間は、その分岐点に辿り着くまで既読スキップをしないと正否がわからない。
ここで「いや、このゲームにはジャンプシステムがあるんだろ?。それを使えば良いじゃん」と思ったアナタは、もう少し世の中の不条理を味わった方が良いかもしれない。
そう、この作品には「ジャンプシステム」はあるにはあるが、その「ジャンプシステム」を使った御陰で「正解の選択肢を選んだのにバットエンド」という凄まじいトラップが仕掛けられていたりするんだから。
フラグ的に言えば、この作品は「正解の選択肢を選んだ」ことが攻略フラグになるのではなくて、「その選択肢を選んだことによって起こる、あるイベントを見ることが攻略フラグ」になっているといえる。。
つまり、正解の選択肢を選んだところで、その正解の選択肢によって発生する未読イベントを「ジャンプ」によってスキップしてしまったら、正解の選択肢を選んでいても見事に攻略不可でバットエンドになってしまうのだ。
結局はこの作品の「ジャンプ」機能はそういう意味で使えずに、伝統的な既読スキップに頼るほかはない。本来ならジャンプで1分で終わるモノが、既読スキップの15分を何回も繰り返さないとイケナイこの苦痛。貴様らも味わうといい!
もちろん「だからこそ」そういう面倒くさい繰り返しを回避する為に「真剣に考えて選択肢やら単語ワード保存を選ぶべきだ」という考えもあるだろう。如何にも最初から答えがわかってる人間が言いそうな他人事の戯言ではあるが。
そういう「攻略性」というか「推理性」の観点から言ったら、まずこの作品が最初からそういうことを考えていたのか?って言う疑問はあとで語るにしても、このゲームにはそんなの殆ど存在しないということをまずは明らかにしよう。
まず「Doosle」システムが関係する選択肢イベントは3つしかない。これは以外に簡単そうに見える。
しかし「Doosle」によって一つの選択肢イベントによって増殖する選択肢は8個だ。これだけでも結構大変ではある。
そして単語保存ワードは厳密には調べないが、たぶん25個である。多めに見積もってもたぶん30個くらいあるだろう。
もちろん、選択肢の数は推理にとって問題にはならないとは原理的には言える。それが正解まで導くちゃんとしたヒントが隠されているという前提ならば。
とはいえ、この作品にはそんなものは「ありそうで実は全くアテにならない」ところが、これまたストレスが異様に溜まるところなのだ。
正確に言えば、まぁキャラによっていろいろ濃淡はあるんだが、基本的に三つの選択肢イベントのうち「1~2」くらいは物語中の記述と単語保存と選択イベントが正解に結びついているところはある。
ただし、そのうち「1~2」くらいは、基本的に総あたりしなきゃ(あるいは総あたり過程でヒントがわかる)正解がわからないような「ノーヒント攻略性」である。
だからキャラによっては、わりと偶然的に物語とリンクした正解ワードや正解選択肢を選べば「偶然で」攻略出来るので、このゲーム楽勝じゃんだと思えるのだが、その後に別キャラをそのノリで攻略しようとすると無限ループ地獄になる。
最後に、直接ルート攻略には関係しないモノの「ヒロイン攻略後のおまけエチシーン開放」攻略性というか、僕にはもうこれ「嫌がらせレベル」にしか思えないものについてちょっと語っておこう。
まず端的に説明すると、ヒロイン攻略後にこれまた、とある「単語ワード」を保存しておいて、それが「ヒロイン攻略後のオマケエチシーン開放」にヒットしているならば、その状態で選択肢イベントまで行けばエチシーンが開放される……
因みに、これは一応は本編のヒロインルートと関係はしていると言えるのだが……
だが、こんなものを「素晴らしいオマケシステムだ。遊び心があって良いナー」と思ってしまったアナタは、これで二度目になるが、少なくともエロゲでは紙芝居以外の作品を作ってはいけない。
いちいちこんなことを説明するのもバカらしいと思うのだが、僕が今まで説明してきたようなゲームシステムの上で、このような「オマケ開放」をやるというのは「効率的プレイ」をしてる人ならしてる人ほど正解が見つからないわけだ。
上のような「単語保存セーブ&選択肢総あたり爆撃」をかましている人間にとっては、既に「単語保存ワード」の分岐的意味合いは全て「しらみつぶし」状態である。選択肢が8個出た時点でもうそれはわかったと思い込んでしまう。
だから「おまけエチ開放のために単語保存とその状態で選択イベントに直行」というのは、普通は思いも至らないのだ。あの歴戦の勇者「誠也」氏も流石にこのトリックには気付かなかったらしい。もうその時点でクソゲ扱いしてたけども。
因みに最初に書いた通り、上述のゲーム性の酷いところはKoosleパッチによって全面的に解消はされない。解消されるのは「単語ワード保存」と「おまけエチ開放」のところだけで、
確かに「手間」は随分と減ると思うのだが「正解の選択肢を選んでもジャンプすると攻略不可能」とか「結局は八つの選択肢を総あたり」ってところまでは解消されないので、
まぁはKoosleパッチの配布は英断だったと思うが、それでこのゲーム性を「作ってしまった責任」は消えるものでは無いと思うし、さらには「残ったゲーム性」も批判の対象としては残り続けるのは否めない……
さて、ここまで基本クソミソにゲームシステムを貶してきたわけだが、ここまで説明した以上、貶すだけつーのもなんだか勿体ない気はするので、
なんでこんな意味不明なゲームシステムを組み込んでしまったのか、そこらへんについて少々考察を加えてみよう。なんだか考察という名の追加攻撃になりそうな気もするが。
まずは、この「連想システム」は作品物語の「恋想リレーション」にある程度は絡んでいると言える。とはいえ、この点については後述で物語との関係性について述べるし、
この点を勘案したとしても、上の「ゲームシステム」が果たして必要不可欠だったのか?と考えると、せいぜいKoosle状態の妄想選択肢を半分にしてジャンプ攻略不可を排除すれば良いレベルなので本質的にはあんま関係ない。
おそらくこの作品のゲーム性は、この手のよくワカメゲーム性の擁護の際には良く言われる「遊びゴコロ」というのが、まず第一にあるだろう。しかも本人達だけが楽しいと思っているいつものアレである。
その「遊びゴコロ」の狙いとしてはたぶんこうだ。
まず基本的に「共通ルート」の既読スキップタイム、または二周目以降の既読スキップを何とか楽しませたいとでも言うような製作者の意図は感じられる。
普通だったら、この区間は正解の選択肢を選んでそのミニイベントを見たら(またはそれを何度か繰り返したら)、あとは個別ルートに入るまで基本的に既読スキップ状態である。
だから、この作品の製作者は、その「選択肢」に至るまでの既読スキップ時間と「すぐに選択肢の答えが出る」選択肢に対して、先のゲーム性でくさびを打ち込んだと言える。
「既読スキップ」の間に選択肢攻略の鍵になる「単語保存」を何個か仕組んで、ユーザーがそこを参照せざるを得ない仕組みを作れば、なるほどユーザーは確かに何度も「イヤイヤながら」共通ルートを見直すことになるし、
「選択イベント」の中の選択肢を増やして、その正否が最後の個別ルート分岐までわからず、ジャンプしたら攻略不可って事になれば、なるほどユーザーは確かに何度も「イヤイヤながら」共通ルートを再体験しなきゃいけないわけだ。
もちろん、作り手としては、その共通ルート再体験が「楽しいものになるに決まってる」と思い込んでいる。言い忘れていたが、このゲーム性の中で色んな妄想バットエンドを踏むと「新しいアイキャッチイベント」やらが増えていくので、
ユーザーとしては、例え殆ど代わり映えのない共通ルートを何度も既読スキップ地獄をしても「新しいアイキャッチイベント」を拝めれば、うわぁエロゲのゲーム性の遊び心が感じられて楽しいなぁと思う人はエロゲ会社に就職してはいけない!
えーっと、これに関して、これ以上の突っ込みは個人的に不要だと思うのだが、とはいえ、WHOの天然痘撲滅運動に敬意を表して、この手の「既読スキップルートを楽しませるゲーム性って必要だよね!」に対して批判を繰り返しておこう。
これに対しては、基本的にこう「断言」してもいい。既読スキップルートが詰まらなきゃジャンプ機能をつければ良いし、ユーザーにジャンプして欲しくなかったから、新しい未読テキストが生まれる仕組みを作らなきゃダメでFAだ。
まず最初の「既読スキップルートが詰まらなきゃジャンプ機能」っていうのは、要は共通ルートの機能性を「共通ルートテキストを最初に読ませることと、個別ルートへの分岐目的」だけと「割り切る」のであれば、選択肢なんて一つでも良い話だ。
このように書くと「いや選択肢が一つだけなんてゲーム性が少なすぎる」と反論する人がいるが、こういう人こそ「ゲーム性」というものを全くわかっておらず、単に先例に惰性的に従って知ったかぶりしているだけである。
「ゲーム性」というものは、何か「コレをやればゲーム性が優れている」とゆったようなものでは無い。ゲーム性とは紙芝居エロゲだけに限って言えば「物語との関係性」によって生じるモノで、その機能評価は常に作品の目的によって変わり得る。
もしもその作品における「選択肢」の機能性が、単に「ヒロインのルートを分岐させること」だけが目的だとするならば、そのまま一つの選択肢を用意すれば良いだけの話だ。マルセル氏の長文のように多ければ良いと言う話ではない。
とはいえ、現実的には「ユーザーに既読ジャンプして欲しくなかったから、新しい未読テキストが生まれる仕組みを作らなきゃダメ」というところが問題になるのだろう。
これが問題になるのは、結局のところ、この作品のように「共通ルートの既読スキップ期間をどーにしかしたい!」要望っていうのは何度も定期的に出てくるのは避けられないからだ。
なんで、こういう問題が何度も噴出するのか?っていうのを語り出したら切りが無いわけだが、大きなところを言えば、作り手としてはたぶん「共通ルートのテキスト空間」を維持したまま個別ルートに向かって欲しいというのはあるだろう。
共通ルートで好感度が100になるようなシナリオの場合、一周目は兎も角、二周目以降に共通ルートを既読スキップまたはジャンプして個別ルートに入ったら、いきなりヒロインの好感度が100でなんか変っていうのはありうる。
んで、これを回避するために、今回のような「遊び心」で何とかその辺を綺麗にクリアしようと試みるのだが、僕から見ると「新しい未読テキストを物語に絡ませる労を、
なんだか怪しげな新システムの妄想エンドとかの、遊び心で誤魔化しているんじゃないか?」と思えるところはある。
まず、その共通ルートにおいて「新しい未読テキストが生まれる仕組み」というのは、具体的にどんなモノなのか?と言うところを一応明らかにしておこう。
これは単純に言えば「新しい選択肢を選べば新しいイベントが生まれる」ようなフラグ構成だと言えようか。単純な図式で説明すると、まずは選択肢がひとつしかないケースの場合
>共通ルートテキスト→→→選択肢イベント→(1A)を選択→→(1Aイベントテキスト)→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→(個別ルート分岐)→(Aヒロインルートヘ分岐)→→→→→→→→→→→→
となる。んで、この上のモデルの選択肢自体の数を3倍にしてみよう(基本的な攻略フラグは変化無し。たくさん選んだヒロインが個別ルート分岐)。
>共通ルートテキスト→→→選択肢イベント→(1A)を選択→→(1Aイベントテキスト)→→選択肢イベント→(2A)を選択→→(2Aイベントテキスト)→→選択肢イベント→(3A)を選択→→(3Aイベントテキスト)→→個別分岐A→
実際のところ「選択イベント自体」の数を増やすだけで、もちろんそれに対応したイベントテキストは必要になるわけだが、基本的に共通ルートの未読テキストは増やすことは出来るわけだ。無論これをさらに発展させることはできる。こんな感じに、
>共通ルートテキスト→→→選択肢イベント→(1A)を選択→→(1Aイベントテキスト)→→(1Aイベントテキスト2)→→共通テキスト→→(1Aイベントテキスト3)→→共通テキスト→→選択肢イベント→(2A)→
とゆったように、選択イベントの結果の反映をその直後だけに留めることをせず、その後の共通ルートのテキストの中にも「イベント程度のテキスト量」として反映させるような仕組みを作れば、共通ルートでも未読状態を生かすことは出来る。
しかし、ここでこのような疑問を浮かべたあなたは、意外にゲーム作りの才能があると思うので、エロゲ会社に就職希望をして欲しい。「でも、この作品も選択肢はたくさんあるんじゃね?」とゆったような疑問を浮かべた人は。。
これに関しては「選択イベント自体」と「選択肢の数」を混同している。「選択イベント自体」というのは「選択イベントの数」そのもので、「選択肢の数」というのは、その選択イベントの中の選択肢の数である。
この作品の場合「選択イベント」自体は基本的に少ない(4個)だが、その選択肢の数は多い(基本8個)と言える。この違いが何をもたらすのか?少し考えてみよう。
まず、選択肢の数が多いといっても、その大半はダミー選択死であったり、馬鹿妄想エンドとゆった「本筋には関係ない選択肢」で本筋には関係ないテキストに分岐するという点は抑えておこう。
さらに、選択肢の数は多くても、その選択肢によって共通テキストは全く変化せずに、変化する正解の選択肢を選んでも、それは部分的に変化するだけである。つまり基本的に選択肢によって共通テキストはあんま変化しないのだ。
むろん、これは原理的にゆって「選択イベントの数が多い方が、共通ルートでの未読テキストを発生しやすい」ことは意味しない。このゲームの選択肢構成でも、選択肢によって共通ルートに未読テキストをいろいろ挟み込ませるのは可能だろう。
とはいえ、一般的なレベルでは、選択イベントの数を増やす、またはその選択イベントに関連させた選択イベント増やす方がやりやすいと言えばやりやすい。
基本的にユーザーは攻略ヒロインに関係しない選択肢をチョイスする意欲は薄いので、特別に物語を捻らない限り、選択肢の数はヒロインの数と同数になるのが一般的だ。だからそのぶん「選択肢の数」よりも「選択イベントの数」が求められる。
つまり、ヘンテコなゲーム性をチョイスしなくても、あるいはヘンテコなゲーム性をチョイスした場合でも、共通ルートで新しいヒロインの未読テキストがその共通テキストの中で見られるような構成でないものは、失敗する可能性がきほん高い。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「2」ストーリーについて
さて、この作品のゲームシステム批判はここまでにして、作品の物語について語る前に、一応はこの作品のゲームシステムと物語の関係性について述べておこう。
まぁ「一応」はとの言葉通り、実のところはそんなに大した関係性はないんだけども。
この作品の「物語」は、主人公の「想像」やもっと言えば「恋愛妄想的」な「未来への夢」が、とある理由によって次々と叶えられていくといったプロットを伴っており、
そのプロットと「単語保存」システムや「色んな妄想エンド」的な物語分岐が、関係していなくもないとは言える。ある想像を持っていれば、その想像に関係した未来の物語が作られていく……といったようなレベルで。
とはいえ、この関係性が上手く働いていないことは、前述のゲームシステム批判を見れば良くわかるとおもう。一応、手短に説明すれば、
「ある想像を持っていれば、ある未来を切り開くことが出来る」と纏めれば聞こえは良いものの、しかし実際にその想像(単語保存)に対応した全ての物語分岐が語られるわけではなく、それは限定されているとゆーか、
基本は普通のエロゲと同じように1ヒロインには1ルートの正解ルートしかなく、普通のエロゲと比べたら単に「途中退場エンド」が多く用意されれているだけである。
つまり、このゲームシステムは、ユーザーの(単語保存から)想像した物語を叶えていくと言うよりも、実際にはヒロイン攻略のためのユーザーにとってはどうでも良い「バカ妄想エンド」を駆逐していくものでしかなく、
また後述するように、ユーザーが物語から(単語保存のレベルではなく)想像する物語の実現すら奪っているようなところすらあるんだから、見かけ倒し以上のものでは無いというのが基本だろう。
どちらかというと「ゲームシステム」的な関係性よりも、作品の物語そのものに「恋想」的なプロットが含まれると言った方が良い作品だと思う。
言い換えると、ぶっちゃけこの作品の「ゲームシステム」は「邪魔」だと言えてしまうようなところすら多い。
まずプロットそのもので言えば、最初は「マジチャ」的な大がかりなプロットをつい連想しちゃうかもしれないが、途中でまぁきほんはリアリズムの範囲内に収まるものだとわかるし、
前述の「ゲームシステム」的な物語分岐を可能にする「魔法」的なファンタジー能力があるわけでもなく、そういうものが物語に関係してくるわけでもないとわかってくる。
要はこれ、細かい部分を除けば、少なくともヒロインルートの物語は「普通の恋愛物語」として充分に成り立ってしまう物語なのだ。
もちろん、作品の狙いとしては「魔法のような物語に見えて、実は登場人物たちの意思によってその恋愛(環境)は生じている」ってことを語りたいわけなんだけど、
その「魔法のような物語に見えて」というところもゲームシステム以外のベタ物語によってちゃんと語られているので、ますますこの作品のゲームシステム部分の存在意義がワカメちゃんに思えてくる。
基本的にこの作品は、そういう「ゲームシステム」部分を除いた「恋想リレーション」物語だと思ったほうが、楽しめる作品だとはおもう。
ここらへんはOHPでも「丁寧な日常描写だからこそエロイ妄想が高まる」とゆったような、ことがちょい書かれてはいるが、それが製作者の意図通りにゲームシステムに上手くリンクしてるかどうかはさておくとしても、
また実際には「エロい妄想」よりは、主人公の恋愛フラグ妄想と実際の人間関係のギャップがよりよく表現されていると言った方が正しい、というところはあるにしても、
丁寧な日常描写の中から「いろんな恋愛妄想」の期待が生まれていくところが、この作品のキーポイントであるというのは、製作者の意図通りの作品にはなっているだろう。
この作品の共通ルートが面白いのは、最初にプレイした時の感じでは、主人公と各メインヒロインの距離感が、まぁ選択肢によって多少は変わると言っても、明らかに不均等なところだ。
主人公と陽葵ちゃんの距離と相性は明らかに「良すぎる」し、アリサに関しては唯華の言うとおりに何か「浮いてる」感じはする。
由羽子と主人公は昔からの従姉妹関係で安定はしているものの、学園では積極的に絡んでこないし、唯華は「物語のキーなんだろうなぁ」とは思わせるものの、それ以上には特に発展しない。
えっ?それでどこに「色んな恋愛妄想の期待が生まれていくところなんだ?」と思ったアナタは、結構この作品の物語に嵌まれるかもしれない。
まず表面的に、その問いに答えるならば、日常描写が結構丁寧なので、特に恋愛関係が発展するようなイベントが少なくても、陽葵ちゃん以外のヒロインとどーやって仲良くなるのか?
とゆった妄想が自然に膨らんでしまうようなところはあるだろう。なにせ、個別ルートに入るまでは、陽葵ちゃん以外のヒロインは、恋愛感情の素振りを殆ど見せないので、逆にその妄想が高まるようなところはある。
この不均等なキャラとの関係性は、実は個別ルートが、あるキャラクターを……まぁ、ここの部分はネタバレ状態で語るのは難しいんで、ネタバレ解禁すると
唯華ルートを前提にして作られている所が結構影響している。アリサ以外のヒロインは、個別ルートの前半部分で唯華ルートの事実に向き合うお話になって、
そのうえでヒロインとの恋愛が進むような感じになるんで、そこで物語としては「本来は縁の無かった」あるいは「本来の縁があった」ヒロインとの関係性が進んでいくことになるのだが……
まぁまずはその「全ての縁を作った」唯華ちゃんから語ろう。この唯華ちゃん、前にも書いたけど、共通ルートでは全くデレの片鱗も見せないところが、後に続く伏線としては中々に素晴らしい。
なにかこの物語のキーを握っている人物だとわかるし、本気で主人公のことを嫌っているわけではないこともすぐにはわかるんだけど、積極的に主人公に近づこうとはあまり思っていないことも明確にわかる。
いや、正直にぶっちゃけると、個人的にはあんまりそそられないヒロインではあった。「嫌い」とかじゃなくって「好きになる」ところがあんまし無いという意味で。
このヒロインを最初に攻略したのも、基本的には上の変則的な攻略フラグのせいで「偶然」唯華ルートを最初に入ったに過ぎない。しかもその後「うげアリサルートじゃないのかよ?」と思って、
何度かアリサルートを狙ったものの、どーしてもそこに入れなかった為に「一周目は唯華固定なのかなぁ」と思って「諦めて」このルートに入ったに過ぎない。今から思えば、かなり酷いことをしたものだ。
とはいっても、ルートに入ってからは、さほど印象は変わらなかった。実のところ、もちろん威張るわけではない当たり前レベルの予測として、唯華の正体はわかったし、
たぶんその時の印象からしてみたら、僕がここまで彼女の正体をネタバレにしている理由がよくわからないハズだ。僕はきほんこの手のネタバレを元からあまり気にしない人間であるし、
だいたい全ルートでどのみち唯華の正体はバレルので、ここまで隠す必要は本当に無いのだ。
だけど、僕としては、このヒロインが好きになりそうな人には、出来るだけ彼女のネタバレを読まないで欲しい思っている。
別に彼女のネタバレがそれほど衝撃的なのではない。ただし……以下のような台詞は、
>主人公「こんなに心配してもらって、俺はいい友達を持ったと思って」
唯華「人間的堕落に磨きがかかったな、正体を明かしてしまったことを後悔したぞ……」
主人公「……そう言えば、隠し通そうと思えば隠し通せたはずなのに、どうして唯華は自分の正体を明かしてくれる気になったんだ?」
(中略)
唯華「慎之助が満ち足りない想いを抱えていたことは事実だ。正直に言ってくれて感謝している」
主人公「ん、それで?」
唯華「ぼくなりに慎之助が満ち足りていない理由を考えた」
唯華「その末にひとつの考えにゆきあたったんだが……」
主人公「……だが?」
唯華「……笑うなよ」
主人公「え?」
唯華「足りないのは……ぼくなのか、と考えた」
主人公「…………」
唯華「慎之助の理想とする学院生活の中に……僅かであったとしても、僕が含まれていたならば……」
彼女のネタバレを知った直後だと、相当破壊力があったことを告白しておこう。上の台詞で僕は完璧に堕とされたといってもいい。
いや、その前から「以外に可愛いヒロインじゃないか」とは思っていたんである。自分から正体をバラしちゃったあとに、少しずつ態度を軟化させることもお約束だけど可愛いなぁーと思ってはいたけども、
だけど、これまた彼女のネタバレな理由で、完全なところまではデレはしないというか、ある一線だけは強烈に守るというか拒絶する。
そして、その拒絶の台詞のあとに、上のような告白を平気でしたり、ストーカーまがいの性癖を無自覚にバラしてしまうんですから、この温度差ギャップ攻撃がたまらないつーか、
いや本人にとっては全ては「主人公のためにやっていることだ」と言う理由や感情が少しずつ此方に染みてきちゃって、無愛想なボイスすらもデレデレボイスに脳内変換されていくところが溜まらない!
それにしても、こういうキャラに上手く嵌まった時のモエギーゲンガーは神がかっている。
唯華が本当の自分の思いを自覚してしまった時に、始めて……いや「二回目」に見せる表情があって、この表情がねぇ。
ほんと、始めて唯華に対して「可愛いなぁ」って言葉をストレートに向けるのを許されるような開放感があるんだよね。
別に「初めての笑顔」ってわけじゃなくて、たぶん唯華にしては三回目の表情なんだろうけど、この心臓を射貫かれたような唯華の表情はプレイヤーの心も確実に射貫くくらいに可愛いんだから。
最初はあまり自分の好感度は高くなかったけど、進めれば進めるほど思っていた以上に良いヒロインだなぁと思ったのはアリサもそうだ。
彼女の場合、攻略難易度が普通にやったら鬼畜クラスっていうのも多少はあるんだけど、最初はなんだか掴み所が薄いヒロインだなーっていう印象が強かった。
基本的にフランクであまり空気を読まずにどんなことでも友達感覚に接するようなヒロイン……の割には友達がいないとかゆってるけど、あまりそのことにも悩んで無さそう。
主人公に対しても、多少Hなハプニングも許すぐらいには、友達感覚で接してくるけど、いざ色々あって主人公がアリサの事を友達って認めるともの凄く嬉しがる。
なんだろ。僕はこの手のヒロインは好きな方だし、別に嫌悪感は全くないんだけども、なんだか色んなことが軽すぎる割には、実は妙なところで重さを感じさせるところが、妙に距離感図りにくいよなぁみたいな感じの。
とはいえ、僕もそれなりにチョロい人間なので、個別ルートに入ってから、物語的には夏休みに入って、毎日まいにちアリサが主人公に友達として遊んでいるような描写を、
それこそ一時間くらい見させられると、ああ、この軽いようでいて、ちょっと自分にはタマに本音や重いところをチラリと見せてくれるヒロインっていうのはエロイなぁとは思ってしまうのだった。
ここらへんの描写は凄く良かった。
主人公もそれなりにエロい人間なので、アリサに対してちょっとスケベ心を見せても、アリサはそれを真っ正面から否定もせずに、また上手く受け流すわけでもなくて、
もー、エッチなんだからぁ♪ でも、そういう正直なところもちょっとスキかも……とちょいデレたうえで半分笑って受け流して、半分デレてエロ好意を受け止めてくれる。
だけど主人公もアリサも基本的には「いっしょに遊ぶのが楽しい」ってところがきほんにあるので、そういう異性愛だのは今のところはふたりとも真剣に追わずに、
そんなことよりも今はこの夏休みを思いっきり楽しもうぜ!といっしょにはしゃぎ回っているような、恋愛感情とは決して矛盾しないけど恋人になる前でしか味わえない爽やかなドキドキ感を上手く描けていると思う。
気になる女の子に自分の好きなゲームを貸して、その女の子がそのゲームを好きになって嵌まってくれて、徹夜でそのゲームしながら何故か次の日にプールでふたりきりになってるとか、シナリオ重視エロゲの100倍以上の神展開だと思う。
でも、夏休みはいつかは終わって、二学期が始まる。
そこでちょっとしたゴタゴタイベントはあるんだけど、基本的には主人公とアリサの中は離れないばかりか、もっと親密になるようなイベントが進んでいく。
だけど、そのイベントが終わりに近づくなか、アリサの当初の目的は達成されちゃって、いつの間にか主人公は勝手にアリサとの距離感が広がって行くような思いを感じてしまう。そこで――
>アリサ「これが片思いなんだね……でも……」
アリサ「あたしは、片思いなんて嫌だよ、だから……」
アリサ「慎之助……あたしのこと、好きに、なりなさい……」
真っ直ぐに俺を見つめ、ひと言ひと言噛みしめるように伝えてくる。
とても真剣で、とても力強い言葉
主人公「それって……」
アリサ「命令しているんじゃないよ?」
アリサ「でも、あたしはこんなに好きなのに、慎之助が好きにならないのは不公平だから」
主人公「不公平って……滅茶苦茶言っているよ」
アリサ「あたしの気持ち、むちゃくちゃにかき回しているのはそっちだよ」
さっきの唯華の台詞もそうだけど、この作品はこういう「ヒロインなりの論理なり感性なりの真髄をここぞという場面で告白させる」のがかなり上手いんだよなぁ。
この告白シーンにも僕は完全にやられてしまった。なに、この倒錯した論理の告白。「好きに、なりなさい……」とか弱音で命令しておいて、すぐあとに命令しているんじゃないよ?とか言いながら、
自分勝手な思いを相手に押しつけておいて、さらにはちょい泣きが入っている演技で、自分が屁理屈扱いているのもぜんぶアナタが悪いんだからぁ……って感じで正面から見つめられたらいろいろ崩壊しちゃいますぜ!
妙に積極的に自分からガンガン気持ちを伝えておきながら、そこに自分なりの遠慮なり若干逃げみたいのを残ししつつ、最終的に自分の思いが上手く伝わらなかったら、相手にその責任を弱々しく擦り付けちゃうところ
っていうのがアリサの「友達の出来ない」ところなんだけど、もうここまで全部見せつけられちゃうと、別に友達なんかどーぜもいいじゃん、とっととケッコンしちゃおうぜ!って感じになるからエロゲって超最高ですよね!
ここらへんのアリサの「直球なようでちょいずるいところ」っていうのは、告白以降も絶妙なシーンで披露されちゃっている。
例えば主人公がキスをするシーンで、これからもキスをして良いか?って尋ねると「わたしを良い気分にさせてくれたら、いいよ」とか言うんですよね。ここでもやっぱりアリサちゃんは責任を取りません!
そのくせ、主人公の方から正直に気持ちやら欲望やらをぶつけられると、本人としてはこの作品の中で一番嬉しがってしまうエロっ娘ちゃんなわけでして、その肝心なところまでは誘惑しておいて、
肝心なところは相手から誘って欲しい、みたいなドヤ顔屁タレ脆さをチラチラと見せつけながら普段は正面からスキンシップしてくるアリサちゃんは最高でしたよ!
逆に最初の好感度はMAXだったんだけども、まぁ相対的に他のヒロイン評価が高いので、別に悪い評価とまでは言わないまでも、最初の評価よりは高まらなかったナーっていうのが陽葵ちゃん。
陽葵ちゃんは共通ルートまでは良かったんですけどねー。陽葵も唯華シナリオに関連しているキャラで、基本的には「主人公の理想通りの」ヒロインって役回りなのよね。
人当たりが良くて、主人公のちょっとしたエロ発言も困ったなぁって感じで軽く受け止めながらも、基本的には主人公と同じく思いやりの深い人間だから、主人公のちょっとアレな行動も陽葵ちゃんだけは認めてくれて、
自然に主人公との行動の接点も増えていき、共通ルートではもう友達を超えて「あなたと出逢えて本当に良かった……」とまで言わしめている
明らかに主人公は陽葵ちゃんだけには女性として接しているし、陽葵ちゃんも主人公だけには頼っているところを見せちゃったりして、この「ふたり最初から相性が良すぎるんじゃね?」とわざと強調しているテキストなんだもの。
もちろん、これには先にもゆったように、シナリオ的な理由があって、それが陽葵シナリオの前半のキーポイントになるんだけども、ここらへんは結構イマイチ。
というのも、そのネタバレは唯華シナリオクリアしている人には、もうご存知なのでそんなに引っ張らなくても……っていうのは「共通個別テーマ」のシナリオの弱点としてはあるんだけど、
それ以上に……これは後に展開を知っている自分だからそういう感情が強化されちゃうってところはあるんだけど……陽葵ちゃんがワガママ過ぎるなぁと素朴に思ってしまったわけだ。
いやぁ、あの状況で主人公にも唯華にも上手くものが言えないつーのはわからんでも無いし、主人公も主人公で屁タレだからイーブンだっていうのはあるし、このエピソードの狙いは、
主人公も陽葵ちゃんも性格が合うだけで、実は肝心なところでは臆病だつーのを示すところだとは思うんだけど、なんかこう普段は普通の人よりも優しいのに、大切な人のことになると普通の人よりも自分に甘いつーのはなんだかなぁと。
まぁそこまではそんなに悪くはなかったのだ。そのあとのお互い上手く告白出来ないで、悪戯に時間が過ぎてゆくところなんかは良かったし、
陽葵ちゃんの匂いフェチあたりからのエロシーン導入も結構良かった。たぶん、印象と評価を悪くしているのには、最後の展開だろう。いや、このネタを持ってくるのは良くわかるというか、まぁ予想済みだったけど、
まさか「そのネタで終わり」とはねぇ。こういうの悪い意味で「昔のエロゲかよっ!」と突っ込みたくなる。
だってヒロインが主人公の理想通りに振る舞おうとして失敗してブチ切れ!って、まぁそういうゴタゴタネタを用意するのは別に良いんだけど、そこを解決して終わりじゃ、
こいつらいったい何時間掛けてイチャイチャしていたんだ? そんな理想通りのヒロインなんて望んでいないことくらいわかるだろ? つーか陽葵ちゃん主人公信用しなさすぎじゃん!で終わってしまうわけ。
そもそも、主人公は陽葵ちゃんの食いしん坊なところを共通ルートからずーっと見て「そういうところも可愛いよ」とか何度も行っているわけで、今さらダイエットがどーこーで理想通りの女の子につー話を持ち出すの端的に痴呆症レベル。
そこから更にイチャイチャが深まるとか、陽葵ちゃんがもっと自分の素を出してくれるようになりました!って話しに繋げるならそれでもいいんだけど、
最後のオチが「実は今まで遠慮してたり、主人公の思い通りに振る舞って意だけでスタ」みたいな話を持ってこられると、なんだか今までのイチャラブやらキャラ萌えやらが「悪い意味」で全部裏切られたような気分になって胸糞悪いんですけど。
ただ、ここらへんの「イチャラブ」関係のイマイチなところつーのは、前にもちょっこと書いたけど、実は先のゲーム性ともちょい関連しているんですよね。
この作品には、本編とは直接的に関係しない「妄想オマケH」つーのがあって、そのエチの評価については後述するものの、基本的には本編エチと同数又はそれ以上のエチがオマケエチに回されていたりする。
んで、本編のイチャラブシーンがうえのように短かったり、変な形であっさり終わってしまうのも、たぶんこれが原因だと思うんだよね。
つまり、通常だったら、エチ4~5回分を本編に入れる前に、遇えて悪い表現を使えば「イチャラブシーンの水増し」が必要だったところを、
今回はそれが無くてだいたい2回のエチしか無いから(あとはオマケエチだから)本編のプロットに必要なイチャラブシーンしか書いていないんじゃね仮説。
こういうことを書くと、エロ助的な「シナリオ史上主義」的な価値観だと「余計な水増しイチャラブ描写なんて要らないからイイコトじゃないか?」と反論されるかもしれない。
僕もその点は10%くらいは認めてはいいんだけど、ただし、実際に「そのような作品」をやってみると、1ユーザーとしては「結構キツイよなぁ」とは思ったりするのも事実だ。
まず先にもゆったように、陽葵ちゃんシナリオみたいのは、昔の「エロイッカイズツ」がデフォルトの状態なら、それはそれで特に不満に思わなかったかもしれないけど、
今のイチャラブ前提シナリオだと「そんな下らない痴話喧嘩をして恋人として成長しました話で終わりなんて恋人描写としておかしいよ!」と思ってしまう所が強いし、
さらに言うと陽葵ちゃんシナリオだって「ラストのオチ」以前は基本的にイチャラブ前提シナリオの甘ったるい描写がベースになってしまっているので「ラストのオチ」だけ「エロイッカイズツ」シナリオつーのは整合性キツイわけだ。
ここらへんは後段の「エロについて」というところでも詳しく語る予定で、最近少しずつ「本編とエロシナリオを分離させよう」という動きが高まっているようだけれども、
ゼロベースで「シナリオとエロを完全に分ける」シナリオが描けるなら兎も角として、今のエロゲから部分的に「エロだけ」抜いたような形にすると、きほん碌でもないことが起こるんじゃないのかなと。
イチャラブというか「オマケHでイチャラブ損している」のは唯華シナリオも陽葵ちゃんほどじゃないけど、そういうところは結構つよいのよね。
メインシナリオ自体は陽葵ちゃんシナリオよりも悪くはないと思う。こちらはこれまた演劇を通じて、主人公と唯華の関係性を見つめ直すようなお話なんだけど、
そのなかで唯華が主人公の家に演劇の練習のために長期間泊まるような展開になるのだが……驚く事なかれ、こんなイチャラブやらエチに持ってこいの美味しい展開を、
しかもその美味しい展開だと匂わせておきながら、そういうイチャラブやらエロシーンはそこで殆どカットなんですよ! もちろん、それは先の「オマケHの為」であるのは言うまでもない!
これってさ。本編の中では「物語展開を優先したい為にHはあとでね♪」って話なんだろうが……馬鹿野郎! エロゲというかイチャラブゲの真髄は物語のなかでエッチが自然に行われるからいいんじゃねーか!
確かに「本編の中では基本的に不可能なエッチ」を「あとでオマケでやる」という話は理解出来なくもないところはあるけど「本編の中でもできるのに後回しがデフォ」つーのはエロゲの存在意義を否定しているよなぁ。
アリサのシナリオは良くも悪くも先のゲームシステムとイチャラブはあんま関係なさげ。こちらは後半に唯華が絡んでくるシナリオなんだけど、
その唯華とアリサの関係も、良くも悪くも主人公にはあまり影響を与えないし、さらに言えばアリサも一応は唯華のことを心配しているけど、まぁアリサだから恋人以上には親友には気に掛けない自己中っぷりがこころよい。
アリサは一方的に唯華を友達だと思っていて、昔から引っ付いていたんだけど、唯華は前々から結構ウザイ奴だと思っていて、それはこのシナリオが終わってもその関係性は変わらない。
要するに基本的に「相手がどう思っていようが、それで自分の相手に対する関係性をあんまり考えない」タイプなんだよね。
だから唯華ががそれとなくアリサををうぜぇと思っていても、かなりマジにアリサを嫉妬で憎んでいようとも、アリサは唯華に対する勝手な友情関係をあまり変えとせずに、今までのように唯華を自分なりにフォローし続けるんだけども、
それって裏返せば、唯華がアリサをちょい見直したと思い始めても関係性を変えないことを意味するんで、なんつーか失恋状態の親友を目の前にしてその失礼相手と堂々とイチャラブ見せつけるアリサちゃんの悪女っぷりに妄想エチの期待が高まるぜ!
このように、いろいろと一長一短あるシナリオが揃っているんだけど、一番バランスが良かったというか、
いや実は「この作品の恋想とかあんま関係ないンじゃね?」っていう突っ込みは避けられないにしても、萌えゲシナリオとしては一番楽しめたのが由羽子シナリオなのよね。
まぁ最後にやったキャラだから、そのぶん他の個別ルートで色んな由羽子を見ているから感情移入しているっていうのもあるけど、
この由羽子ちゃんは従姉妹キャラとして「特にツンデレってわけでもなくて、単に自分の主人公に対する漠然たる好意を自分であまり追求しないような」日常的な距離感の取り方がなかなかよかったのよ。
お兄ちゃんの身の回りのお世話をするのは好きだし、姉妹そろってお兄ちゃんとゲーム遊びをするのも好きだし、お兄ちゃんに彼女が出来て相手をして貰えなくなるとふて腐れたりはするけど、
お兄ちゃんが自分に対して直接的に好意やらラブ妄想を向けようとすると、そこはササっと巧妙に避けるような。
要は主人公の「由羽子の俺に対する好意は単に親戚のお兄ちゃんに対する自然な好意」以上にはたぶんお兄ちゃんに好意を抱いているけど「本当はお兄ちゃんが好き」以下の好意しか抱いていないのであって、
そこらへんの「恋心」未満の「ずっーっとお兄ちゃんと一緒にいたい」自分の気持ちを日常的に維持したいなぁとぼんやり思い続けているような感じがロリスキーとしては溜まらないわけですな。
んで、この由羽子の個別ルートも、これまた唯華関係から始まるんだけども、ここはやっぱりイマイチ。だって主人公たちが永遠と由羽子を尾行し続けるだけだもんねぇ。
ただ、この由羽子ストーカーシナリオというか、まぁ唯華関係のお話が一段落ついてからは、話が「萌えゲ」的には面白くなる。言い換えると「シナリオ的」な意味がだんだん無くなってくるのよ。
まぁお話の流れとしては、由羽子ストーカーシナリオによって、主人公と由羽子が昔のことをいろいろ思いだして、従姉妹としての関係性を捉え治していく……みたいな流れになるんだけど、
そこからはもうシナリオ的な上げ下げは殆ど存在しない、ある意味「幼児退行」的なシナリオに入っていくかんだからイチャラブゲースキーとしては最高っすよ!
もちろん、そこで急にデレデレしだすような従姉妹キャラは、それはそれでお約束展開としては僕は大好きだけど、あいにく由羽子ちゃんはそういうキャラじゃないのでダメダメ。
急にはデレないのね。ただ単に「いつもよりも主人公の家にやってくる頻度が高く」なるだけで、さらには今まではほんの少ししか言わなかった、
無自覚に主人公を誘うような発言が徐々に増え始めていく……この「何時も当たり前のことがいつの間にか少し増えて少しエロくなっていく」ような描写こそが日常ゲーの萌えエロの真髄なんですよ!
しかも初エチシーンの導入が「告白もしないでそのまま従姉妹の軽い誘惑に流されちゃうエッチ」なのがこれまた素晴らしい!
あのっすね。最近だと「告白して即エッチなんて駄目だぁ」とか「ちゃんと段取りを踏んでエッチしないとだめだぁ」って言うのが当たり前になっているようですけど、
そんなのは単なる一般論に過ぎないわけです。一般論を教説の如く「絶対に守らなきゃ行けないルール」としてドグマ化しちゃうのがエロゲ業界の駄目なところ。
要はそのヒロインと主人公の関係性と物語にあった初エッチをすべし!っていうのが根底にあるわけで、どー考えてもコクってすぐ主人公を押し倒したいようなメルティのすみれたんの場合にはコクってHじゃないと駄目なんですよ!
んで、この由羽子ちゃんには、そもそも主人公または由羽子からの告白なんて必要ないわけ。
なんでかと言えば、それは「お互いに好き合ってることがわかってる」からではサラサラなくて、そういう好きとか改まって関係性を規定するような間柄ではそもそも無かったし、
これから先もそういうことはあまり言わずに、ただ日常のなかでとか、エッチの中でお互いの好意を自然に触れあうような関係でいたいつーのが、この押し倒しエッチで語られていることナンデスヨたぶん。
だいたい初エッチなのに、初っ端から妹メイドコスHでご主人様とか言わせて由羽子の方も盛り上がってますからね。初エッチなのにもう三回目エッチくらいの濃いプレイを実現できるのも妹ヒロインならでは!
しかもその後も、全くシナリオの上げ下げもせずに、しかも「恋人関係であることをみんなに認めてもらおう」みたいな糞くだらねぇアリバイ作りイベントも無しに、
とーぜんのことながら「俺は由羽子も従姉妹としてではなくて一人の異性として以下略」みたいな欺瞞的発言も無しで、さらには明確な告白イベントもなく、当たり前のように由羽子との日常は続いてく。
強いて言えば、双子の亜衣子から由羽子ちゃんをよろしくね、って頼まれるくらいなんだけど、この半径一メートル範囲のなかで、ヒロインとの恋愛が終始しているっていうのもいいんですよね。
主人公の由羽子に対する愛情と、由羽子と主人公に対する愛情が、何らかの恋人関係と言った明確なフォルムを取るんじゃ無くて、ふたりだけのダラしない恋想がただ混じり合い続けるピンクのモヤモヤがずっと続くような雰囲気。
エチシーンもこのシナリオだけは「オマケエチ」(2回)よりも「本編エチ」(3回)の方が多くて、やっぱエロゲのエチとイチャラブは、妄想と現実の区別がつかないようなどっちつかずの物語のほうがいいよなぁと思いましたとさ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
☆エロについて
モエギー原画のランプ作品でエロい作品と言えば、一般的には「運命線」がエロいとか言われていたわけだが、個人的にはあの作品は「エロ」面での評価は低かったりする。
確かにエロシーンは多めかもしれないし、そういうイベントも多かったりするけれども、エロシーン自体はすん止めとか、最後まで本番やらを引っ張る流れが多いし、エロテキストも淡泊気味だったのだ。
なので、一般的にはあまり評価されていない、その前の「世界の中心で」のほうが、個人的なエロ評価は高かったりしていたわけだが、今作の「恋想」は余裕でそれを乗り越えられるエロさを持っていると思う。
むろん、この作品にもハンディはある。製作者としては「妄想Hはエロ効果高い」と考えていたかもしれないが、どちらかというと僕から見る限りではマイナスの効果の方が高い。
まず上で少し書いたことの繰り返しになるけれども「本編の物語の上で無理のあるエチシーン」ではなくて「本編の中でも出来るエチシーンを遇えてオマケHに回す」っていうのが「妄想H」のメインなので、
それって「本編の流れの上でエッチシーンやった方がエロくね?」とか「その妄想エッチが本編での物語とエロの流れと上手くリンクしていないんですガー」っていうのが結構あるのだ。
前者は大半の妄想Hについて言えることなので、その都度少し腐しておくとしても、後者について致命的なのが陽葵ちゃんのエチシーン。
いや、本編の(2回しか無いけど)陽葵ちゃんのエロシーンはもの凄くよかったのだ。
基本的に控えめで相手を立てるタイプの陽葵ちゃんだけど、実はもの凄く匂いフェチの甘えん坊の陽葵ちゃんが、御奉仕パイズリしてから、二回目のエッチで主人公のベット(シーツ)に顔を押しつける形でエッチしていたら、
主人公のシーツの匂いと主人公の責めについに理性が崩壊してエロエロになり、今度のエッチからもう少し積極的に自分からも誘うね……と最後は恥ずかしげにゆってくれる流れとか期待が高まるじゃないですかぁ!
でもね、その流れはもうそこでは終了とゆっていい。
いや、もちろん、妄想エッチでバニー姿のエッチとか、体操服のエッチとか、本編でその存在を匂わせるような(もちろん、本編上でやっても構わない)エッチはあるんだけど、
これって全部「陽葵ちゃんエロ未覚醒ヴァージョン)のエッチなわけですよ。つまり二回目以降のエッチの「今度のエッチからもう少し積極的に自分からも誘うね……」っていう連続性を全く踏まえていない!
結局は未だエッチとか少し恥ずかしいし……って感じの陽葵ちゃんにバニー服やら体操服とか着せて羞恥喘がせて最後に「中に出してぇ」で糸冬なんだから、陽葵ちゃんの2回目移行はどんな感じに乱れるのかなブヒヒ期待を見事に裏切るのだよ。
ここらへんがねぇ。この「妄想エッチ」とか「オマケエロシーン」の駄目なところなんだよね。
つまり、個々のエロシーンが「ヒロインや物語の上の流れやヒロインのエロ開発度なりスタンスの変化から」全く切り離されたものになってしまうんで、
まぁ本編のエロシーンがそれなりに満足できるものだったらそんなに不満はないかもしれないけど「本編でのエロシーンの満足度」を「アペンドなりオマケエロシーンで補う」ってやり方は原則的に不可能なわけだ。
それを原則的に可能だと考えているような「これからの時代のエロゲのはエロシーンは18禁パッチで対応するぜぇ!」なんて考えているメーカーは、原則的にエロゲメーカーから撤退して欲しいものである。
一方で同じエロ構成(本編2+妄想オマケ2)のアリサのエロシーンは、満点とまではいわないまでも、さほど妄想オマケHがマイナスになっていない。
妄想オマケの内容は両方ともアフターシナリオ系で、本編との物語と微妙にリンクしているんですよね。普通のアフターHみたいなノリで楽しめる。
まず本編のエロシーンも、2回しか無いとは言え、2回目のエチとしては充分にその役割を果たしていて、まず最初のパイズリは水風船おっぱいキャラのお約束としてパイズリを押さえながら、
二回目のエッチで少しは慣れたアリサちゃんが初めてのキモチイイエッチに嵌まりながら、二回戦目は主人公の上に乗ってはしたなく腰を振るところもお調子者のアリサちゃんぽっくて可愛いんだけど、
妄想エチのウェンディングドレスエチは、本編で「わたしをその気にさせたならお嫁さんになってあげる♪」とかまだ調子乗っていたアリサちゃんを旦那様♪とか呼ばせてあまあま新婚エッチ出来るんだからやっぱエロには関係性発展が必要だよね!
もう一つの妄想エッチは、これもまた近未来アフターって感じで、アリサと主人公が恋人になったあと(来年の夏?)にプールにHしにいくと言ったら御幣がありますが、
まぁアリサの水着姿に我慢出来なくなった主人公が、物陰にしけ込んでそこでフェラとかいろいろやる流れですなー。これも本編ルートの「友達状態でのプール」との対比で恋人状態のプールでのいちゃつきを充分に堪能できてよろしい。
アリサと陽葵を担当しているのは「ななろば華」さんですが、アリサのCGにちょっとしたカドカクしさがある(例えば以下のCG
http://www.getchu.com/brandnew/840913/c840913sample6.jpg
ところを除けば全体的にはよかったとおもう。絵の構成としてはモエギーと同じで、引き気味のカットでヒロインの全体像を汲まなく描写するタイプですねー。演出を含めてあんまし局部アップはしない感じの。
だもんで二人とも水風船おっぱいキャラだとはいっても、水風船おっぱいを前面に出しているのはパイズリCGくらいで(これはこれで正解)おっぱいを含めたボディラインのエロさをスマートに書き出しているとおもう。
水風船おっぱい系の典型的な弱点つーのは、あまりにもそれをアップにするCGを書いちゃう所為で、逆に水風船おっぱいがボディラインから独立してぶよんぶよんとした感じの質感を生かす構図が書きにくいところだ。
そのてん、アリサ二回目エチの騎乗位CGは、下から(主人公が)突き上げているように、アリサの水風船おっぱいがぶらんとほんの少し上に揺れているような構図を、
しかしおっぱいは気持ち小さめに描きながらも、ウエストからおっぱいに至るまでのなだらかな肌ラインを絵の中心に置いているために、揺れてるおっぱいの乳裏がちょっと見えるような立体感がまさにロリ巨乳の良バランスである。
ウェデングドレス姿では、アリサちゃんの旦那様呼称に合わせるように、他のCGと比べてやや小さめに感じさせるような構図をとって、ウェデングドレスから可愛いくおっっぱいが突きだしているようなところもいい。
モエギーと比べたらエロCG、特に突っ込んでいる時の喘ぎ表情とかちょい弱いかナーとは思うところもあるんだけど、以上に書いたようなエロCG構図のバランスとかは普通に上手い人だと思うので、モエギーとの二頭体制を応援していまつ。
んで、モエギーは「唯華」と「由羽子」とその他サブキャラを担当している。まずは「唯華」からいきましょうかね。
唯華のエチ構成は「本編エチ2」+「オマケ妄想エチ3」となっていて、オマケエチの方が多く、またその内容も多彩と言えば多彩だ。
先ず個人的にイマイチよくわからないけど、確かアリアズのアペンドにもそういうエチがあったから微妙に流行っているのかもしれないものとして
「まだ告白もしていない友達状態での流されH」
というものがある。まぁ唯華の場合は友人状態=好感度100%であり、あとは「きっかけ」さえあれば恋人状態になるんで、
そういうギリギリ状態でのエッチがいいよねーって趣向もあり得るかもしれないけど、個人的にはやっぱ恋人状態でのエッチでしかたのしめない(ただし妹キャラは除く)人間なのでどーかなぁってところはある。
んで、もうひとつさらに疑問なのが
「サド状態の唯華とエッチするけど最後には唯華のほうもデレて……」
っていうシチュエーションHってやつ。これには二つ疑問点があるのよね。一つには「唯華がドS」って発想が何か根本的にキャラ理解してないんじゃね?話で、
いやまぁここでそんなに細かい話をするつもりは無いけど「クーデレ系」と「ドS系」っていうのは、表面的な「どS」発露が似ているだけで、キャラの本質は全く正反対だと思うんですガー。
それでも一応はその「表面的な発露だけでエロシチュをやりたい」って話なら、まぁ僕も責められ系のエッチは好きなんで、その意図や欲望はわからなくも無い。
でも、萌えゲ系のエッチって大抵は「最終的には二人仲良くいっしょにイキました」方向に持ってかないといけないつー縛りはここでもあるから、
最終的には唯華も本編通りにまぁ普通にデレて仲良く二人でいっしょにイキましたになるんですけど、それじゃあ始めからそんなドS設定の妄想エッチになんてやらなきゃよかったんでハー疑問。
但し最後に残った「ねこみみ化」のエッチはかなり素晴らしい。
そして、これが素晴らしいのも本編のHとの有機的な繋がりがあるからだ(逆に言えば本編に組み込んでもよかったんだけどねー)
この唯華の2回目のエロシーンは、少なくとも今のところ今年僕がやったエロゲの中でベスト1だとおもう。なにしろ――
>唯華「こんなになってしまうほど……感じてしまって……」
主人公「恥ずかしい?」
唯華「恥ずかしい反面、嬉しくもある……」
唯華「だって、いやらしくて感じやすい方が、きみに喜んで貰えるだろう?」
主人公「ああ」
唯華「なら、きみの前ではどこまでもいやらしく、どこまでも感じやすくありたい」
唯華「そんな心配をしなくても……きみはぼくをどんどん開発して、性に貪欲な女にしてしまうんだろうが……」
主人公「さ、さすがにそこまでのテクニックは無いと思う」
唯華「テクニックは関係ない。きみが言ったことだろう、気持ちの問題だ」
唯華「ぼくはそうありたい。だから、きみに全てを委ねられる……」
主人公「そ、そんなこと言われたら……本当に歯止めが利かなくなる」
唯華「笑わせる……歯止めなんて、最初から利かせるつもりなんてないくせに」
こんな素晴らしいむつみごとを普段はクールボイスなのに、そのクールトーンを維持したままのピュアデレデレモードで語られたら、こちらとしても歯止めが利かなくってしまうのも当然ですよ!
っていうかね。これ上の台詞もかなりうまい方なんだけど、このエチシーンに持っていくまでの流れが上手すぎるのよ。
このエッチシーンのこの台詞に辿り着くまでの、唯華シナリオによって「物語でもそうだったから、エッチでもこういうことを言いそうなキャラだなぁ」と伏線を張りながらも、
だけど「ここまで言ってくれるのか?」というか、上の台詞でも最初はちょっと主人公が責め気味だったのが、途中から主人公が狼狽するくらいに予想を上まわる感情や言葉をぶつけてくるんですから。
もちろん、僕は基本的にエッチに多少の羞恥心を持ちながら積極的で主人公に奉仕してくれるヒロインが大好きだつー基本的なエロ嗜好もあるんだけど、
この唯華の台詞がいいのは「その基本的なエロ嗜好」に加えて、物語的もヒロイン的にも、まさに告白シーンと同じくらいに上の台詞が説得力がありすぎるんで、
何というか自分のエロのスイッチとヒロイン恋愛物語のスイッチを一瞬のズレもなく一斉に押されてしまった感じで、ほんとこういう時はエロゲが恨めしくおもう。しばらく他の作品で抜く気なんかならなくなるから。
まさにこの二回目のエロシーンのこの台詞のために、唯華シナリオは存在したといっても、全くこのシナリオの出来を貶めることにはならないだろうが、
強いて言えば妄想Hの「ネコミミ化」えっちは、あの「ひょっとして、ぼくのこと」エンディングのあとのアフターHでやった方が良いとは思うんだよね。
本編のエンディングで自分の可愛いさを自覚してしまった唯華が……
>唯華「……んくっ」
静寂の中、唯華のごくりと唾を飲み込む音が響く
唯華「……なさい」
唯華「嘘ついて、ごめんなさい」
主人公「どうしたの、いきなり」
唯華「本当は、気持ち良いのに……嘘ついたりなんかして……」
唯華「悔しかったんだ……きみのいいようにされてしまうのが」
唯華「今まできみのこと蔑んだり、ばかにしたり、していたくせに……」
唯華「こんな風に可愛がられて、あっけなく従順になってしまう自分がいやで……」
唯華「意固地になって、見栄を張って……プライドを守ることばかりに固執していた」
唯華「けど、そんなことよりも、きみにそうやって、突き放されてしまうことが――」
なんーてネコミミ姿でシクシクと責め立てられたら、もう完全に自分の唯華萌えのツボを「わかった上で」誘惑されているようで滅茶苦茶堪らないじゃないですか!
いやまぁこのネコミミHも素晴らしかったですよ。もう二回目のHで唯華のエロシーンは頂点に達したと思ったんですよ。もうこれ以上の上はないと。もう唯華は全てをさらけ出してしまったと!
しかしまさかこの奥の手が残っていたとは、完全に裏の手で自分の性欲のアナルバージンを調教されたような感じでしたね。
そう、確かに唯華は主人公を恋人状態でも、全く正統な恋人として、蔑んでいたり、ちょっとバカにしていたようなところはあったんですね。これは嫌味を感じさせるものではな愛情モノではあったし、
さらに言えば本編エンディングで唯華はボカした言い方をすれば、自分の為のプライドみたいなものを手に入れたわけだから、唯華の上の台詞は物語上としてはかなり説得力があるからこそ、
このネコミミHシーンの「おねだり告白」が凄まじいフルボッキを誘発させてくれるわけです。あー、やっぱり唯華はエンディングで多少は変わったかもしれないけど、コアはやっぱりネコちゃんなんだなと。
「夏峰いろは」さんについては、一部のコアなエロゲ声優オタの評価は高いので、僕がアレコレ言うまでも無いかもしれないけど、この唯華役でマジのファンになったことだけは言っておきましょうか。
いやまぁ美味しい役所ではあるんですよね。
基本的に恋人以前のクール系ボイスと恋人後のデレボイスのギャップで、どんな声優さんでも一定以上の破壊力を与えられるような「わかりやすい聴き所」は多いとはいえるわけなんだけど、
それでも上に引用した台詞のところとか、もう40回くらいは聴いていると思うんですけど、口調的には全くデレるところが無いし、声音もあまり色艶を出すこともなく、
今までのクールボイスから余計な強張りや緊張感が少しずつ抜けていくなかで、濁った氷が甘みを含んだ綺麗な水へと溶けていくように、ヒロインのピュアな想いがこちらの耳に少しずつ染みこんでいくような演技と、
「ひゃあぃん!」
みたいな敏感なところに触れてしまった快感がこちらの耳にも痛痒い振動で伝わってくるような喘ぎ声艶技が、これまたヒロインと上手く重なっていて素晴らしかったんですよね。
あー、この唯華は確かに色んなところが敏感過ぎて、最初の快感もちょっと普通以上に声をあげてしまうようなところがエロイよなーっていうのを、ちゃんと喘ぎ声レベルでもフォローしてる。
まぁ今回はエロテキストが上手かったから、そういう嵌まれる艶技が出来ただけって可能性もありますけど、そうだとしても、この唯華ちゃんはしばらくお世話になりそうなので、声優さんにも自然とチェックがいきそうです。
んで、最後に残ったは由羽子ちゃん。個人的には一番安定してエロかったのがこのキャラかなーとおもう。
こちらは「本編3」+「妄想2」の組み合わせだけど、亜衣子と由羽子の3Pも含めれば妄想も3になるんで実質的には一番回数が多いキャラかなぁと。
こちらの妄想ネタは「イフもの」と「アフターもの」と組み合わせで、イフものは完全に主人公の妄想だとわかる(主人公がのこんなことがあったら良いなぁモノから入る)魔法少女モノですね。
魔法少女の恋人役になってエッチするんだけど、途中で実は主人公が実のお兄ちゃんだとわかり……って流れで、むろん妄想エチだから妄想処女も頂いたりするんだけど、
まぁこういうエロシーンも「一回くらいはあっていいんじゃね?」くらいには許容出来るけど、なんだか作品内の主人公の妄想エチを見せつけられるつーのも端的にキモチワルイし、
これだったらヒロインが魔法少女のコスプレを何故か買っちゃって、さっきの妄想に耽りながらオナヌーしているところに主人公闖入っていう流れの方がいいよなぁとおもう。
これFDとかあるいは「アペンドディスク」とか「アペンドシナリオ」とかで、形式的に「本編とは別の作品でやってますよー」ってノリで本編からずれた「イフ妄想エッチ」をいろいろぶち込むのは別に良いんだけど、
本編内のエッチでこうも堂々と「本編とは無関係なエッチ」をやられると「本編をやりながらエロシーンを見ようとしようしている」自分にはけっこう違和感あるのよね。
もう一つの妄想エッチの「裸エプロン」はその点でアフター的に繋がっているので、こちらは自然に受け止めることが出来る(むろん、本編の中でやればいいんじゃね?っていう突っ込みもありえるけど)。
だもんで、基本は妄想エッチ(ただし3Pを除く)よりも本編エッチの方がよく描けているとおもう。
処女喪失シーンのシナリオ的な流れの素晴らしさは、上のところで説明したけども、エチシーンそのもの自体も素晴らしい。
基本的には儀礼的なモノが多い(無論それ自体は基本的には妥当であるが)処女喪失シーンで始めからメイドさんコスプレスエッチをノリノリでやってしまうのも良いんだけど、
初っ端から主人公を誘惑気味に押し倒した挙げ句、騎乗位で処女喪失をしながらも、最初からあまり痛がらずに、積極的に御奉仕腰振りで自分もお兄ちゃんも感じさせちゃう天然エロっ娘大開花しちゃうんですから。
やっぱエロゲのエロシーンには、こういう「意外性」ではなくて「このキャラはこう言う流れで初めてのエロシーンがあるといいよなぁ」みたいな「本編と連続したユーザー妄想」が実現されるところが素晴らしいのですよ。
この由羽子ちゃんは、本編では全くエロエロキャラってわけじゃなくて、主人公のエロ本を定期的に整頓してるくらいなので、その点ではノーマルなエロ立ち位置にいるんだけども、
主人公の好きなタイプはいつも少し気になっていて、基本お兄ちゃんをお世話するのが好きだっていう日常描写があるからこそ、
この「積極的にエロエロなわけではないけど、主人公の好みのエロプレイ御奉仕をするのは積極的で、それを実際にやる中で始めて自分の性欲に目覚め始める」っていうエロシーンがフルボッキ説得されちゃうわけですな。
二回目の保健室でやっぱり由羽子のほうから手扱きエッチも結構良いんだけど、最高なのは最後の誕生日エッチの初めてのフェラプレゼントとロリM字開脚エッチかなぁ。
ロリヒロインの魅力は何といっても、大きな胸といった局部アピールではなくて、その全体の小さな可愛らしさを自分の欲望の視線の中に閉じ込められるようなミニチュア感だとは思うのだが、
もえぎーはそのロリボディいっぱいの清涼感を堪能させてくれるだけではなくて、M時開脚に白いニーソックスを履かせそこから柔肌から局部へと嫌らしい視線が自然に吸い込まれるような抜群のポージングを描いている。
唯華のネコミミエチの挿入エロCGCもそうなんだけど、モエギーのエロCGが神懸かっているのは、エッチの体位とエロイポージングの絶妙のバランス感覚なのよね。
エッチの体位のリアリズムを追求すると、基本的に人間のエロ体位なんて限定されるのでまぁ在り来たりなエロさというものは当然あるとしても、それ以上は先に進まない。
だから基本的にはいろいろとエロいポージングを考えようとするんだけど、そこを追求しすぎるとセックスのCGとしてはかけ離れすぎたものになってしまう。モエギーはこの辺の調整がいつも神懸かってる。
(因みに、この辺の認識を欠いた「これからのエロゲのエロはEもうとのエロ動画が決まり」的なしたり顔議論は全てアホウだと言ってもイイ。
もちろん、その人がエロゲのこういう「一枚絵+差分絵ならではのエロ表現」を理解出来ない、または好きじゃねぇ!と思っているならそれもそれでアリだし(じゃあなんでエロゲを?って話はあるにしても)
エロ動画でしか表現できないエロもあるんだし新しい何とかを!って話をしたいだけならそれもそれでいいけど(でも、エロ動画作品なんてそれこそ今は同人作品でハイクオリティのあるじゃん?で疑問もあるにしても)、
一枚絵のエロ表現は「時代遅れ」であり、これからはエロ動画が「新しい」というだけで、前者を否定し後者を肯定するような論者こそは、そっちこそ時代遅れのおめでたな俗流進化論者でしかない)
今回はなんといっても、唯華も含めてだけど、今回のモエギーのエロCGは、毎回高クオリティだとは言え、さらに進化しつづけるエロゲゲンガーっぷりを思う存分堪能できる上に、
そのエロCGとエロテキストの方向性が、今までの微妙な不一致から解き放たれて、完璧に一致しているとまでは言わないまでも、けっこう良いレベルでユニゾンしている点が素晴らしい。
例えば、この由羽子の魔法少女エッチのCGで
http://www.getchu.com/brandnew/840913/c840913sample9.jpg
これ、多少の表情変化はあるんだけど、基本的にはこの笑顔のポーズのままで挿入からフィニュッシュまでを完走する。普通だったら多少は喘ぎ顔ポーズを取らせるのに、
この「特に喘いでいる表情を作らないでも、主人公にそのまま純粋な好意を寄せているラブ表情がそのままエロシーンCGに使えてしまう」のがモエギーエロCGのマジックであり、
だけど、こんなエロCGを用意しているのに、如何にも通ぶった糞エロゲマー如きが「エロシーンボイス派の喘ぎ声だけがリアリティがある」みたいなアホ言説に踊らされているのかは知らんが、
なんだか「運命線」も含めて喘ぎ声中心が多く、そこらへんが「モエギーエロCGとエロテキストの乖離」として感じられたモノだが、今回は素晴らしい。
上の魔法少女は、基本的には妄想エチなのでシチュエーションエロ展開なんだが、やっと大好きなお兄ちゃんと結ばれた実妹のラブ萌え台詞を中心にエロテキストが占められているので、
普通のエッチシーンだったら多少は違和感はある「喘ぎ顔の表情変化無しで笑顔のまま進む」モエギーエロCGの魅力をエロテキストとボイスの相乗効果で思う存分味わうことが出来る。
それに今回特に神がかっていたのは、この妄想3PエロシーンCGの、
http://www.getchu.com/brandnew/840913/c840913sample11.jpg
この差分表情の「ペロ出しフェラ」がもう本当に素晴らしいのだ。完全にお兄ちゃんの虜になった由羽子はうっとり表情で舌を大胆に出しながらも、
今回は初めての亜衣子ちゃんは、ちょっと恥ずかしげに躊躇いながら舌をちろっと出しているこの好対照こそが、3Pフェラの真髄と言わずして何といおうか!
今作の妄想システムは、少なくとも僕が見る限り「駄目なところの方が多かった」とは思うので、そこらへんは「遊び心なんでサーセンw」的に誤魔化さないで、いろいろと反省はして欲しいとは思うけども、
「ユーザーの色んなエロ妄想を期待叶えるような作品作り」というコンセプトや、そのエロCGやエロテキストは「本編と直接繋がっているもの」はもの凄くよかったと思うので、
そういったラインの作品作りは、今後とも根気よく続けて欲しいと思いました……まぁこの作品と「タユタマ2」の間に挟まれる作品がどーなるのか?って言うのが、今のところ一番の不安なんですが。
まさか今年にもう一回モエギーラインっていうのは無いよなぁ……