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ヌイさんの一緒に行きましょう逝きましょう生きましょうの長文感想

ユーザー
ヌイ
ゲーム
一緒に行きましょう逝きましょう生きましょう
ブランド
ウォーターフェニックス
得点
84
参照数
498

一言コメント

退廃した世界の中を長い、長い間二人っきりで過ごす。これにピーンと来たらどうぞ。逆に全てを詳細に把握してないと気がすまない人はやめた方がいいと思います。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

無知の中、目を覚ます。このままではいられないから与えられた使命のため前へ進んでいく。荒れ果て、風化を待つ瓦礫が散在する世界の途次、死ぬことを知る。永劫とも感ぜられる苦しみの中を彷徨し、生きているとは何かを知る。

我々もそんな二人の人生を見届ける旅にいきましょう。そんな内容です。




















特に印象に残った場面は
・断末魔をあげながら無残な死を遂げたアサギリの体が即座に再生される最初の場面
・鏡夜が初めて死を追体験するところ
・自分が脳みそ丸見えの化け物と知った鏡夜が、アサギリに自分を置いていかせ、鏡の自分に毎朝おはようと言いつづける場面。(精神的にきつかった。)
最初は無愛想で使命のことしか考えていなかったアサギリが、段々と好奇心を持ち感情豊かになっていくところもとても良かったです。


トップページにも書きましたが、この世界のことはかなり謎に包まれています。
なぜ人々は争うようになったのか。実験体作成の目的は。神様はなぜ贖罪を一人の少女に求めたのか、そもそも彼女が想起するような神様は本当にいたのか、などなど。
想像力を膨らませるためのヒントぐらいは与えられていますが、明確にこれといったものは与えられていません。
あくまでも焦点をあてられているのは、二人の「現在」なのです。それ以外のものは雰囲気を醸し出すための舞台装置程度のものでしかありません。その与えられた条件の中で二人がどのような解を出し選択をするか、それが最も重要なのです。だからもし、そのステージの内情まで気になってしまうような人は回避した方がよいでしょう。


最後の場面については

 世界の再生とともに亡くなっていった人々の命が流星となり地球に降り注いだことで再会を果たした。(人は死ぬと星になるという話が出たのと、直前に流星群を眺めていたから。まばゆい光は他の星も落ちているから。神様がわざわざ生き返らせたりするのかなと思ったけど、贖罪は済んだから……ということなのかな?)

私はこう考えました。この他にも色々な解釈ができると思います。でも多分そこの過程は瑣末なことなんじゃないかなと思います。
そんなことよりも最後に少女がとびきりの笑顔を見せたこと。それが大事なのだから。