学園祭をヒロイン皆とワイワイ過ごす、という感じのゲーム。
何よりも一番印象に残ったのは、ヒロインルートに入った後も、
他のヒロイン達と適度にからみつつシナリオが進行するという構成だろうか。
シナリオの大部分が、学園祭なので、必然的にそうなるのだが、
普通のエロゲのように、いつのまにやら他ヒロインがフェードアウトするということなく、
ごく自然に、皆でワイワイしつつ、選択されたヒロインとの恋愛が進展するというシナリオ構成は、
どこか非常に「自然」なものを感じさせ興味深かった。
この場合の「自然」というのは、通常のエロゲにおけるヒロインルートが、
他のキャラクターの顔がほとんど見えなくなるという点において「不自然」であるという点を念頭においてのことだ。
選択されなかったヒロインとも普通に会話しつつ、
一方では選択されたヒロインとの恋愛が進行し、普通にイチャイチャするというのは、ある意味非常に「自然」なことで、
この「自然」な世界をさりげなく当たり前に描写しているところは、この作品の持つ最も興味深いところだった。
まあ、かろうじて、この作品に何かしら面白いところがあるとしたらその一点のみで、正直とても退屈でつまらなかった。
この作品のウリであるところの、一日を増やすことができるという設定も、
シナリオにおいてはあまり生かされておらず、いまいちというかなんというか、あまり印象に残らなかった。
個々のヒロインのシナリオについても、まあ、なんつーか普通?、見たいな感じで、ほとんど印象に残らない。
印象に残ったのは、各シナリオの方向性がバラバラで、
よく言えばバラエティに富んでおり、悪く言えばまとまりがない、というところだろうか。
この、シナリオの方向性のバラバラ加減については、あまり悪い印象は持っていない、特にひっかかるところは無かった。
それよりもやはり、一日を増やすことができる、という設定がいまいち生かされていないところの方が、よほどひっかかる。
つまり、この設定を用いなければ語れないような物語があっただろうか?、ということだ。
別に他の設定でも代用できてしまうんじゃないかな~、と思わせてしまうものがある。
こういった、設定が生かされていないという残念具合が、もっとも目についた。
と、いうわけで、そこそこ長い作品だったけれど心に残るものは無く、
無駄とは言わないまでも退屈な時間を過ごしてしまったなあという微妙な気分だけが残った。
はっきり言ってお薦めできない作品だし、この作品ならではのウリも皆無に等しい、
ただ、絵は高品質で萌えるので、画集と割り切って買うのはアリかもしれないが。