シナリオはやはり面白い。ストーリーの都合から1対1の会話が多くて他の田中ロミオ氏の作品に比べるとちょっと寂しいと感じるけど、やっぱり面白い
最果てのイマ、家族計画とプレイして
その後にこのCROSS CHANNELをプレイ。
現代人の孤独についてが話の根底にあり、
シナリオもどこかシニカル、アイロニカル。
特にラスト。
自身の人間らしさをを取り戻したはずなのに
太一は結局自分以外誰もいない世界に残ることに。(ストーリーの順番として仕方ないのですけど)
最果てのイマでは「敵」によって人類の人口が減ったため
結果的に助かった形になっていましたが
何故かその事が脳裏を駆け巡った。
やはり現代人は大団円となるようなハッピーエンドは許されない
有り得ないのだろうか、と思うと何とも言えないビターな気分になります。
しかし別の視点から見てみると
そもそも太一は曜子の半身であり、対ともいえる存在。
太一は情動であり上っ面のみの存在、曜子は理性であり内面の役割。
だからこそ曜子は太一を何とかして飼い慣らそうとしたし
太一も相反する存在の曜子を疎ましく思って
「ストーキングされてる」と宣っています。
終盤で曜子を人間が居る側の世界へ送り返した後
遂に「失恋ってこんなに胸が痛かったのね・・・」と
感情の部分を得て、
その後太一も理性によって怪物ハートが大人しくなった。
お互い補完しあったのか、取り戻したのかは分かりませんけどね。
ただこの作品のテーマの一つとして
情動と理性のバランスが重要というのがあるのでは、と感じました。
個人的にはこの曜子との別れのシーンでホロリと来ちゃたし。
他にも思い返すと色々感じることも出てきます。
太一は上記の曜子の対としての役割以外に
他のヒロイン達に対する仮面を器用に付けこなした
正にジョーカー、ワイルドカードとも言える存在でもあるのが面白いし
そこから色々な解釈が生まれてくるのも納得。
七香が言うには「毎回反応が違う」。
セクハラ大王、人間の悪意、そしてその悪意の被害者として
各ヒロインを引っかき回し、関係を築こうとしているけど
そこも怪物と言われるものを内に秘めてるはずの
太一が人間的に見えるのが何とも言えない
面白さ、人間臭さを漂わせていて皮肉っぽいかもしれない。
適応係数80以上で2割以下しか人間らしさが無いはずなのに。
個人的にはこの作品(最果てのイマ、家族計画も)は
人間関係は大切だ、というメッセージよりも
人間関係が不器用でうまく社会に適応出来ない人間でも関係ない。
なんとしてもしぶとく生き残っていく、という意思の表れと解釈してます。
故手塚治虫の漫画のように
昔から扱われていたテーマであると思うし
だからこそ一見異常者だらけの登場人物が
異世界に閉じ込められる、という
ホラーやサスペンスみたいなストーリーでありながら
感動を呼び起こし共感が生まれるのでしょうか。
今日クリアしたばかりなので
まだ全部吐き出せてない、
プレイ途中で考えていたのに忘れてしまった、
考えがまとまってない部分がありますが
読んでくださった方はありがとうございました。
ちなみに気に入ったヒロインは
冬子と曜子。
冬子はあまりの脆さに護ってあげたくなってしまいそう。