終ノ空をリファインした、笑いあり狂気ありで最後には感動出来る作品
終ノ空をベースに、高島ざくろと間宮拓司という元凶であり被害者の2人をピックアップして再構成した作品。
終末思想が蔓延り、人々が狂気に堕ちていくさまを
水上由岐、間宮拓司、高島ざくろ、悠木皆守、間宮羽咲の5人の視点から見ていくことになる。
焼き直しって事前知識でプレイし始めたところ、序章が百合ゲーだったんで出鼻くじかれた。
でもそこまで嫌いじゃない。まったりしていていい。すかぢはレズとふたなりが大好きですからね。
レズ編を終えたところで元の終ノ空を踏襲した展開になっていく。
タイトル画面のアレンジ流れた辺りから、コレだよコレという空気になってきてニヤニヤ出来る。
焼き直し前の終ノ空は、日常が狂気に変わっていく空気が凄い雰囲気出ていて好きなのだけれど、
何の救いもなく、ただ嵐が過ぎ去って終わってしまい、爽快感がなくて不快感が残る作品だったので、その辺凄い改善している。
高島ざくろの分岐はホント良かった…。終ノ空では死んで終わりの時報係みたいな扱いで救いなんて全く無かったが、
シラノ・ド・ベルジュラックから勇気を貰い、言葉を引用していじめに立ち向かうシーンはこの作品屈指の名場面だと思う。
まあそうはならず、死んだ後の間宮ルートがメインなのだけれど、本筋の流れは元準拠だが他のキャラがリファインされているので読み応えあり。
こちらも従来どおりのルートと希実香と関わることで変わるエンドもある。ただ、僕個人としては橘希実香と言うキャラは大好きなのだけれど、
覚醒した拓司こと救世主様に全く魅力を感じないので、そんなに持ち上げるほどかなあと言う感想を持った。
救世主であることよりも一人の女を選ぶ良さは分かる。結局のところ自己満足で何人巻き込んだんだって部分と、
多くのモブが犯した罪に対して報いること無く死ぬいわゆる勝ち逃げなのが不快。この不快感は終ノ空から変わらない。
そしてこの先のルートからが本番で、色々な謎が解けてくる。
結果として救世主様を超えた皆守と羽咲ちゃんが結ばれるエンディングは爽快感あった。まあ犠牲が多すぎるけど。
ただし、ゲーム開始段階で既に手遅れの人間も居るし、二者択一でしか助からない人もいるのがなんとももどかしい。
このもどかしさは、初めて遊んだエロゲーである水夏にも通ずるところがあった。
頑張ればとも兄さんとざくろ生存は行けそうな気もするくらい。
しかし、安易なハッピーエンドを描いてくれたら満足かと言われるとそうではないと思う。
痛みを忘れるのではなく、痛みを抱えて生きていくことも大事なのだと思う。
曲に関して言及すると、「鏡の世界には私しかいない」は毒気ある曲調で、まさに電波曲と言った感じの出来で好み。
しかし、一番良かったのは「ナグルファルの船上にて」だ。とにかくエンディング曲として凄い余韻に浸れて心地よいのが大好き。
最後に流れる「呪われた生/祝福された生」で一気にモヤッとした気持ちに戻されるのも電波ゲーらしい。