圧倒的な物量でありながら、よく動き・良くしゃべり・1枚絵も十二分に用意されている、ある意味力ずくな良作。ハッピーエンド好きなら傑作かと。
個人的な嗜好により差異はあるものの、客観的(点数はおもいっきり主観ですが)に見て高レベルにまとまっている作品かと。
ニトロ作品は最初にファントム・ヴェトゴニアとは非常に好きだったのですが、それ以降は正直微妙に感じるものが多かったので手を出してなかったのですが、体験版をやってみて購入を決定。
体験版やHPをみればわかりますが、他の作品とは毛色が違うかもしれませんので、事前にやってみればよいかもしれません。テンポはよいのですが、逆に全体的にノリが軽く、一歩間違えると悪ふざけになってしまいそうなギャグやキャラクター等、大体の世界観やイメージは掴めるかと。
以下、長々と書いていますが、減点方式では100点には絶対ならないゲームですが、100点満点の満足度を得ることができるゲームでした。
もちろん長ければよいというわけではありませんが、短いよりはよっぽどよいですし、長いだけの積み重ねがあってこそのラストかと思えるゲームでした。
ENDやシナリオの細かい点はネタバレになるので後述しますが、途中、若干鬱になるような部分やENDもありますが、かな~~~~り長い(ループものであることもあいまって)ですが、最後までやりきれば、ハッピーエンドとなります。
HPでヒロインとして紹介されているのは3人の魔女のみですが、実際に攻略キャラは5人で姫々と雨火も攻略できます。
雨火は特にキャラクターが強烈なので、ルートは無しだとばっかり思っていましたが・・・。
声に関しては特に可もなく不可もなく。これだけキャラがいて不快に思うキャラがいなかったということは、よかったのかと思います。(それほどこだわりが無いので・・・。)
ヒロインの性格付け自体はツンデレ・内気+眼鏡+巨乳・ロリ・武士娘とテンプレなヒロインが多いですが、雨火のみ非常に個性的で良くも悪くも強烈です。間違えても攻略ヒロインとは思わなかったのですが1枚絵だと妙に可愛くなったりするので非常に困る。
主人公は「死んでもやりなおせる」以外はごく普通な人ですので、バトルで活躍したり、秘められた力があっちゃったりはしません(それでもいくつかのルートでは能力を手に入れて戦ったりしますが)。が、ずっと前向きであきらめないところは非常に好感が持てます。
記憶喪失なので仮の名前で呼ばれるわけですが、ENDの最後で「& You」と出るように、ニトロの作品としては珍しく、「主人公=プレイヤー」という形式をとってくれています。(最初のファントムなんかは正にそうでしたが・・・。)
個人的に、「主人公=プレイヤー」として感情移入をする質なので非常にうれしかったのですが、その割に中途半端に顔だしがある辺りはちょっと残念。(それでも主人公を完全に1キャラクターとして客観的に観るだけのゲームよりは非常に良いですが)
脇役もそれなりに多く、奇人変人ばかりですが、不快なキャラはおらず、特に友人の宮元武は一歩間違えるとウザイ悪友キャラになりますが、無駄に多い立ち絵や声もあいまって、非常に味のある脇役でした。
CGはありがちな萌え判子絵ということもなく、非常に綺麗で、塗りのおかげか、Hシーンでは妙にエロチックです。魔法効果や悪魔などの描写もそれなりにありますが、それほど力も入っておらず(決して手抜きというわけでもないですが、戦闘で魅せる燃えゲーではないと思うので・・・)日常シーンも戦闘シーンも満遍なくという感じです。
音楽については、特別耳に残ったものも数曲ありますが、そもそも曲数が非常に多い(オマケを見る限りBGM43+歌6かな?)ので、多分全く覚えてないものもちらほらとありそうです。
ただ、エンディングで流れる歌はどれも耳に残っているものが多く、プレイした満足感を充足してくれるものが多かったです。
以下、ネタバレ
ゲーム開始直後はバッドエンドしかいけません。で、難解かバッドを繰り返してるうちに、スピカENDにいきますが、かなり切ない。で更にやりなおそうとしてなぜかガーネットルートに入るのですが、かなーり鬱りました。
キャラ的にはガーネットが1番好みだったので強烈でした。が、それも乗り越えればミラルートがある意味ハーレムルートです。ミラはキャラ的には可愛いのですが、どうにもエロゲーヒロインとは見れなかったので、そういう意味ではよい塩梅でした。
で、そのルートでとりあえずハッピーエンドといえるエンドを迎えて、コレで終わりかな?と思ったら、実は半分位だったという罠。
で、そこから、魔女3人+姫々+雨火それぞれのハッピーエンドといえるルートがあり、更に、最後にTRUEといえるルートがあります。
雨火のルートはハッピーエンドではありますが、少々切なげですが、それ以外のルートは非常に心地よく終われます。
TRUEルートはアリデッドルートなわけですが、それまですごい顔パターンがあって、これまたヒロインとは思えなかったのですが、最後の最後でとても可愛く描けています。
雨火といい、そのギャップが非常によかったです。
キチンとシナリオも回収されており、大風呂敷をたたみきった!という感じです。