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zanさんの黄昏のシンセミアの長文感想

ユーザー
zan
ゲーム
黄昏のシンセミア
ブランド
あっぷりけ
得点
89
参照数
578

一言コメント

あっぷりけの作品は3作ともクリアーしていますが、どれも安定して外れがありません。このブランドは主人公がいずれも非常に良主人公で、(実際には凡人である自分にはできませんが)こうしたいと思う行動を取ってくれるので非常に好感が持てます。長文は購入を検討している人向けのものと、個人の感想をかいたものとを。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

一言ではこのブランドのファンであると書きましたが、前作は発売日即購入しましたが、今作はアクティベートもあったので、中古で出回るのを待ってしまいました。
基本、PCのゲームは購入→クリア→売却→次のゲームへ・・・と資金繰りをしており、かつ、妻帯者としては中古売却ができないのは非常につらいところ。
不正コピーやらなにやらが出回る業界では仕方のないことですが、そのあたり、何か良いシステムがあればよいのですが・・・。

とゲームには関係のない感想はおいておいて、

基本的にはシリアスなストーリーで合間合間にコメディタッチな描写があるあたりはそのまま。一言にも書きましたが、非常に主人公の好感度が高いのもそのまま(このあたりは個人の嗜好がありますが)
メインヒロインは4人ですが、立ち絵があるのは主人公を除きすべて女性キャラクターという徹底っぷりで、サブキャラクター陣4名のうち3名も一応のシナリオ&エンディングがあるという充実っぷり。
前作で教師2人やらドリルっ娘やらが攻略できずに残念に思った自分としては非常にうれしい所。


以下、ざっと特徴のようなものを(()内は個人の感想)
・公式HPを見ればわかることなのでネタバレでもなんでもないと思いますが、実妹がメインヒロインです。(きちんと心理描写もあり、何の意味もなくほれているわけでも、阿呆としか思えないような考えなしでもないので個人的にはOKです)
・フローチャート&フラグメントシステムは健在(若干、フラグメントのサブシナリオがボリュームダウン?している気がしましたが。)
・音楽やらCGやらは相変わらずすばらしいできです(が、タイトルのテーマが前作・前々作のほうが非常に良かったので若干レベルダウンしてる感が)
・サブヒロインはエンドがひとつずつ、メインヒロインは2つずつ(ノーマルとグッド扱い?一部明確なバッドエンドもありますが)
・男きゃら自体がいませんので、独占もへったくれもありません。(処占属性の方も安心)
・天使の羽衣伝説という、日本人ならおなじみの主題ですので、導入は違和感もないのですが、それぞれのヒロインルートで断片的に情報が入るため、「(今のルートだと)どの情報を知っていたっけ?」と混乱することがありました
・燃えシーンとまではいかないまでも、それなりに見せ場はあります
・SD絵や獣のシルエットなど、今までにはなかったパターンのCGがあり、力が入っている感じでした
・一言にも書きましたが、主人公は作中ではほとんどただの人ですが、それでも行動が男前で非常に好感がもてます。(ある意味無謀な行動をとるので悪印象の方もいるかもしれませんが・・・。)



以下はクリアした感想をダラダラと
多少のネタバレも含むので購入検討者はご注意を。


















自分は銀子→いろは→翔子→さくや→サブきゃらをまとめて→Trueという順番にクリアしたので、銀子ルートでいろいろわかるおかげでストーリーが把握できましたが、順番によってはまったくわけがわからなくなるのでは・・?と思わなくもない。

翔子ルートのエンディングはどちらもちょっとやるせないENDですが、これはこれでありかなとは思います。
ただ、それならそれで銀子さんとも同じ時間帯で生きていけるENDがほしかったなぁとも。
銀子さんは本来ならメインヒロインでよいのでは?という設定のキャラでしたが、実妹の設定がさらに上回っているので仕方ないですが、非常に良いキャラでした。

キャラクター的にはどのヒロインは甲乙つけがたいですが、シナリオ的にはさくや(True)>銀子>翔子>いろは という感じで、いろはルートは両親のエピソードはいろいろ心に残りましたが、ほかに比べるとやはり弱いです。
逆に美里さんはサブキャラのわりに、シナリオとしては根幹にはかかわっていませんが、現在の主人公があるためには必須なエピソードをもっていたりと(個人的にストライクなキャラなので)ちょっともったいない感がありました。


過去のエピソードが非常に読むのがつらい内容で、最後、TRUEでも救われることがないのが(ハッピーエンド好きな自分としては)少し切ないです。
が、非常にきれいな終わり方をしており、すっきりした気持ちで終われる内容でした。