2009年度の最後に購入&クリアする作品はコレダ!と体験版をやったときに思い、概ね期待通りの出来。最近、学園モノ等の普通の萌えゲーに少し飽いてきていたところで、体験版開始直後のコクピットの画像&SEでやられました。長文は購入を検討している人向けのものと、個人の感想をかいたものとを。
まずは購入を検討している人向けの感想等。
雰囲気は結構長めな体験版をやれば概ね把握できます。良かれ悪かれ、体験版の感触から大きく逸脱するようなことも無い作品。
つまりは、SF仕立てな学園モノに、レースやらフライトやらの飛行機風味&主人公のトラウマやらの味付け。
色々と細かい所まで設定されており、シナリオ構成やシナリオ自身も頑張っているものの、大作というには色々な所が少し「軽い」というイメージ。
理由は完全に演出の不足で、そこさえもう少し押さえていれば、(嗜好は別として)結構な作品になれたのでは、と惜しい作品。
(個人的には十二分に良作でしたが)
以下、ざっと特徴のようなものを(()内は個人の感想)
・第~話形式になっており、基本13話ほどで、8話位まで概ね共通となるので、ボリュームはありますが、共通部分が少し長く感じました。
・攻略ヒロインは4人+オマケ1匹(?)で、過不足は無し。(FD商法は考えていないように思えるところは好感がもてます。外見だけなら大樹が1番好みだったりしますが。)
・シリアスな展開はありますが、鬱になるよう所は無し。
・幼馴染のヒロインに嫉妬成分が結構あります。
・どのヒロインのルートにいっても、他のヒロインがそれなりに関わってきます。個別に入ったとたんに空気になるようなことも無いので、受け付けないヒロインがいる場合はきついかも
・独占的な嗜好が非常に強い方にはちょっとしたNG要素はありますが、そうでなければ(おそらく)致命的なものは無し。
女好きな友人もいますが、そういった行動の会話があるのみで、ヒロインとはほとんどからまず。
・SF的な設定と文字による演出は多くありますが、逆に絵やアニメによる演出はほとんど無し。
(一部キャラのカットインや、フライトレース用の光剣を抜刀する際のSE&カットインくらいで、かなりガッカリ風味。)
・絵に関しては、全体的に淡い感じがしますが、非常に綺麗でした。
(ただ、飛行機も含めて非常にアニメ的なので、個人的にはもっとメタリック感が欲しかった)
・全体的に1枚絵が少なく感じたものの、デフォルメ絵や立ち絵の表情パターンは多く感じました。(特に輝の怒りマーク付きの表情がコミカルでよかった)
・音楽に関しては、可も無く、不可もなく。数曲、耳に残っているものもありますが、特別良かったということも無し。
逆に、雰囲気をぶち壊すようなものも無かったですが。
・男キャラも多少は出てきますが、特別良いキャラは無し(ライバル?的な立ち位置に来る風見がもっとダメな悪役かと思いきや、良い意味で「クレバー」で良かったですが)
・主人公に関しては、若干癖はあるものの、無能でもなければ完璧超人でもなく、秀でたところもあるが人間的に弱いところもあり、それなりの行動力もあるが、無鉄砲すぎるような行動も取らずと、良主人公でした。
総評としては、SF設定に興味がある方であれば、上にざっと挙げたところに致命傷が無ければお勧めかと。
以下はクリアした感想をダラダラと
多少のネタバレも含むので購入検討者はご注意を。
「トラウマ」の克服する速度がシナリオによってあまりにも違うところはビックリしますが、まあご都合主義としては、笑って許せる範囲ですが。
個別ルートに入ったと、思っていたよりも話が広がらずに終わってしまった感があるのは、やはり外に飛び出してからの描写が無いせいか・・・。
レティルートくらいは、その辺りのお話がもうちょっと欲しかったところ。
単純な萌えゲーではないものの、描写・演出不足により燃えゲーにはなれなかった・・・といったところでしょうか。非常に惜しいです。
主人公の強さのキーになる「レンジマニューバ」位は何かしら描写してほしかった所。ぶっちゃけ、クリアしたあとも、「だからどういう挙動なの?」と理解できぬままに終わってしまいました・・・。
それでもまあ、そういった展開やら、メカ描写やらがあるだけで、それなりにくるものはあるので、退屈はしなかったですが。
ノエルルートがあるのはビックリしましたが・・・概ねエロ要員という感じでちょっと残念。エピローグは思ったよりもしっかりしていましたが。
おやっさんや担任教師など、声が良いキャラの立ち絵が欲しかったところ。
「GRAND EPILOGUE」が出てきた時は少し喜んだものの、あまり内容が無くて少しガッカリ。これは誰とも結ばれてはいないルートになるのかな?
後々の展開を考えると、レティのEND2といったところ・・・と考えると、輝もEND2があってもいいんじゃないか と。
個人的には、どのヒロインもキャラクター・シナリオ共に甲乙つけがたし。
春子ルートはフライトバトルにもっとも重きをおいている点と、最後の選択肢とエンディングが上手くリンクしている点が○
アキラルートの最後のところは、懐かしのポリ○ノーツを彷彿とさせる展開でしたが、彷彿としただけに、演出不足をよりいっそう感じた罠。
純然たる悪役の存在はやはり燃えますが、大樹をもう少し深みのあるキャラにして欲しかった所。
莉音ルートはやきもちっぷり&病みっぷりには結構ニヤニヤしました。エンディングで銃口をつきつけるあたりとか、コレは良い嫉妬キャラ!
正直、ここまでガチの幼馴染キャラが存在すると、他のヒロインルートに入るのは無しだろうと思ってしまう恐れがあったのですが、(そういった理由でGiveUpしたゲームがあるので・・・)
・フライト選手としてのある意味幼馴染の春子
・もう一人の幼馴染であるアキラ
・停滞していた千尋を動かすきっかけとなったレティ
と他のヒロインも十分理由付けがあるので、個別ルートに入る時にはそれほどの違和感は感じませんでした。
それでも、莉音ルートをやっているときには、やっぱりこの莉音ルートが正道かなと思えましたが。
レティルートも莉音ルートと並ぶ正道なのかとは思うものの、他のヒロインに比べると、少し惹かれる動機や描写が弱くは感じました。
「自分の感情」と「自分の役割」とで揺れるという予想通りの展開でしたので、それほど違和感は無かったですが。
元々、なんとなく手に取った「あっぷりけ」の「見上げた空に落ちていく」が自分の中で傑作でしたので、その後、「アップリケ」「妹」ともに注目していたブランドなのですが、「妹」の前作はお金の都合で後回しにしていたところ、評価が悪くて未購入でした。
そのため、今作もちょっと不安があったのですが、体験版をやった時の自分のカンを信じてよかったと思える作品でした。
「ゲーム性」のみであれば、コンシューマをやるべきなのですが、こういった「読み物」として面白い作品があるので、中々PCゲームもやめれません。
2010年もこういった良い作品にめぐり合えますように!