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yumekuiさんの紅色ノ狂宴の長文感想

ユーザー
yumekui
ゲーム
紅色ノ狂宴
ブランド
Aaru
得点
18
参照数
226

一言コメント

完成に時間がかかる作品を難産と言うが、これはまともな形で生まれなかったので流産

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

・タイトル
タイトルとパッケージにただならぬものを感じるが、中身は伝奇もののスタートラインにすら立てていない。
特にタイトルは清々しいほどに名前負けしている。
「紅色」やパッケージ裏の煽り文句がスプラッター展開を彷彿とさせるものの、
血みどろ関係はむしろ少なく、血みどろの宴っぽいタイトルなのにそういう展開はない。
「狂宴」についてもEND名から乱交の言い換えだと分かる。

・シナリオ設定
ライターの制作日誌に世界構成の六道が説明されているものの、半分ほど無関係な設定で、作中に具体的な名称は登場しない。
輪廻転生は出てくるが、自分たちの事を棚上げして何でも神のせいにするという凄い屁理屈。

・ゲームシステム
主人公の視点でENDを見ることでヒロインの視点が解放され、更に別のENDを見ることで覚醒度が解放される。
覚醒度というのは、主人公がヒロインに対して過激な行為をする度合いのこと。
視点は主人公+ヒロイン5人の計6通り。
覚醒度はヒロイン5人に弱・中・強の3つあり、個別に設定できる。

問題なのは視点6 × 覚醒度3^5=1458通りの攻略パターンがあり、弱~強それぞれの細かいイベント回収が極めて困難なこと。
全員の覚醒度を強にした方が回収しやすくなるが、人数を絞らないと同じ覚醒度の中でも一部のイベントが優先されてしまう。
選択肢による分岐だけでなく、たまにある時間制限が余計に複雑さを増している。

途中で視点と覚醒度を変えられないわりにルート後半まで選択の是非が分からないことが多く、
二周目からは変わり映えのないシナリオを既読スキップで流す傾向が強くなる。
別視点の使い回し選択肢・イベントで既読判定がつかなかったり、
攻略に使わなくていい視点があったりするのもシステムがザルすぎる。
シナリオは一応館ものだが舞台を全然生かせておらず、家に引き籠ってヒロインと会うだけというゲーム性の低さ。

システムの欠陥はシナリオが面白ければ払拭できるだろうが、シナリオ単体でも十分まずい。
登場人物には前世の記憶と力が宿っているのだが、彼らは記憶を取り戻すと打って変わって別人のようになり、
プレイヤーに理解不能な「解ってる者同士の会話」を始める。
本作の伝奇要素はこういった説明不足に尽きるし、描写が洗練されておらずギャグに見えることもしばしば。
寝取りについては並だが、原画や塗りが及第点に達していない。


▼攻略参考
https://web.archive.org/web/20030618235629/http://gt.sakura.ne.jp/~aon/capture/akauta/akam.html

↑菫シナリオに一部誤りがあるので訂正
①CG回収(29)の3日目
×「菫さんと話をする」○「葵さんと話をする」
②CG回収(29,40)の6日目
「時間切れ→肉体的に~」が5日目