タイトルは甘い二股の板挟みという印象だが、大抵のプレイヤーはそのサンドイッチを食べられない。パンを食い物にする具と、具を搾り潰すパンがあるだけ
本作のテキストは、素人目線ですが凝りすぎの類といえるでしょう。
食べ物に例えるなら、煮すぎた材料が飲むたびに口の端々にぶつかってくるドロドロのスープという感じか。
地の文は、一つの文章に過剰な修飾や凝った語彙を散りばめていて読みづらい。
セリフは、二大ヒロインが「ぁぃぅぇぉゎ」やゆるい言い回しを多用するので会話が締まらない。
これらを交互に読まされつつも、主人公の悪辣な態度は一貫しているので気分が悪い、腹が立つと感じざるを得ません。
ただし作中では、主人公が自身をクズと断定したり、鬼莫そぞろの客観視点が主人公の甲斐性なさを代弁する場面があり、
「クズな二股男をクズのまま描く」というテーマは放棄されていません。
テーマを伝えるための方法がそもそもまずい作品ですが、売り物としてはアウトでも創作として評価する余地は残っているように思います。
(擁護でも評価でもなく、一般論として)
まぁHの動機を列挙するだけでも酷いと言われるように、
サブヒロインに対して身体の相性よかったから番号教えろ！だの平然と言うので、
「好きな子に振られて落ち込んでいる」「女性2人との関係で迷っている」
などの前振りが何の意味もなくなるのは考えて書いたんだろうか･･･としばしば思わされます。
タイトルの「あまあま・ふたまた」なテーマは放棄されていそうです。
「虹見て」のようなキャラの行動がシュールな浮気と比べて、
これは主人公が苦悩もないまま機会があればハメる猿と化しており、ただただ不快な印象を与えてきます。
妹を据え膳に差し出した兄にキレて殴る場面あるけど、
お前素直に食ってるしそこはありがとうだよね？ってなるのが一番の笑い所。
・タイトルに関して
多くのプレイヤーが不味くて食えない内容のため、タイトル詐欺と言っても過言ではない。
★ENDの内容に触れるのでネタバレ注意
まず具にあたる主人公がパンのヒロインを食い荒らしていました。
しかし、結果的に出来上がったサンドイッチは一対のパンが具を無視しだすという状況。
まさかの百合展開（ハーレムENDで）です。
本作は多くの人が得しない結末を迎えます。
主人公を争っていたヒロインは百合に夢中になり、主人公への気持ちを有耶無耶にしてしまった。
主人公は百合カップルの竿のような扱いに自己を卑下するが、2人の肉体に挟まれるならそれも良し！と現状を受け入れる。
プレイヤーは二股作品をプレイしたつもりがまさかの百合オチ。
という感じで。
この結末を読んで得するのは、二股に他にない形でケリをつけた点に魅力を感じる人かも。
最終的にプレイヤーたる主人公に都合が良くならないのは、本作のどこか現実志向の作風に合っている印象。
(売り物としてどうかはともかく)
この主人公の場合は、ヒロインに避けられるENDがあるので自業自得を強調した結果に過ぎないかもしれませんが。