最近10年の個人的最高傑作
オタクが一般人に言いがちな台詞、
「エロゲとは思えないから!」
という言葉を、私はこの作品をプレイして何度も連呼しました。『ホワイトアルバム2』以来の衝撃です。
シナリオとしては、主軸となるストーリーがありそれに付随する3本のサブストーリーが作中作に近い形式で展開します。メインストーリーはもちろん、3つのエピソードがいずれも極めて高い完成度を誇っている。この事実だけでも十分に一消費者として驚嘆および賞賛に値しますが、今作の最も評価すべき点は他にもあります。
物語を進めるに従って、一見すると全く関係のない3本の独立したサブストーリーに強固な関連性が見えてきます。そして最後までプレイすれば、メインストーリーの必然的な展開全てが実は無駄なく作中作を彩っていたことに気付かされる。それはなんと、途中でシナリオを選ぶというゲームシステムにまで及ぶのです。
ジャンルこそ違いますが、高品質の作中作が物語の謎であり鍵でもあるというのは、近年の最高傑作ミステリとして名高いアンソニー・ホロヴィッツの『カササギ殺人事件』を思わせる構成です。
メーカー過去作の舞台設定を活かしながらも、紡がれた無数の糸がハイレベルで纏め上げられた超傑作だと思います。