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yukari0147さんの終わる世界とバースデイの長文感想

ユーザー
yukari0147
ゲーム
終わる世界とバースデイ
ブランド
コットンソフト
得点
79
参照数
678

一言コメント

Happy Birthday

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

正直な感想として最初にやった入莉ルートで積むところでした。
主人公が潜在的に抱えてる想いがあったとしても、信頼して寝てる入莉への欲情が抑え切れなかったシーンはかなり不快でしたし、
入莉が"実兄"として見てる段階では幾ら入莉が許してもその後の行為も及ぶべきではなかったと感じます。
もっとその選択をした深い理由があればよかったのですが、殆ど主人公の抑えが効かなかったことが原因ですし・・・。

またメイン4人を1度攻略する段階までやればループ物でかつ虚構の世界なのはある程度想像できていましたが、
ここから解明されていく内容も伏線回収などはするもののSF混じりで結構強引なやり方です。

ここまでは批判点しか述べていませんが、4人の個別ルートに関しては最初に述べた入莉ルートの一部を除きそれなりに楽しんでいます。
主人公が鈍感だったりヘタレだったりが気になる方も多そうですが、終始そうではないので個人的にはそこまでマイナスになっていません。
個別は各自のトラウマの払拭、または世界の謎の一端が見える段階で終わってしまいますが、
重要なのはメインヒロインたちや、入莉・織塚など中核になる人物像に深みをもたせることなのでしょう。

最終ルート『Happy B"i"rthday』。
この話は入莉・織塚、またカサンドラの為のものであり、
入莉がイリとなったハッピー・バースディという言葉へ語りたかった内容が集約されているのでしょう。
人によっては肩透かしだったかもしれませんが、作品のテーマとして伝えたいことがストレートに心へきた話でした。
そのままエピローグへ進み、『Happy B"a"rthday』・・・
最後のハッピー・バースディ・トゥ・ユーへと繋がりますが、ED曲を含み、あの演出はいい意味で卑怯でしょう。
私はどちらかと言えばハッピーED至上主義なのですが、この作品としてあの終わり方が全てであり至高であるのだと思えました。

不満点もありますが主軸の話に込められたものが伝わってくる良い作品でした。