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yuira55さんの涼風のメルト -Where wishes are drawn to each other-の長文感想

ユーザー
yuira55
ゲーム
涼風のメルト -Where wishes are drawn to each other-
ブランド
Whirlpool
得点
82
参照数
2118

一言コメント

本編は全キャラ共通で√クリア後。

長文感想


最初にちょっとした世界観。

精霊、神様がいる御代街。普通の人には見ることのできない精霊をひょんな出来事から見ることができるようになってしまった主人公。そしてずっとみることができていた幼馴染の捺菜。

そんな人たちと精霊と神様の絆を描く物語。





献身的で主人公大好きな幼馴染「捺菜」
郷土史大好き人間でHなことが大嫌いな「佳華」
転校してきたしっかり者の「羽衣」
おっとりしているが頭脳明晰な先輩「月音」
そして土地神様。 

この五人がメインヒロインでした。


ヒロイン別感想。(以下ネタばれ)


捺菜√。

主人公との絆、予知夢を見れるのにその現象をどうにもできなくて悩んでいる彼女が映し出されています。

予知夢の最悪の内容は「主人公が近いうちに死んでしまう」こと。それをどうやって回避するかが描かれています。

いかに主人公のことを想っているか。それをダラダラと長く書いた感じがありました。
どんなことがあっても最後はやっぱりご都合主義END。最近の主流なんですかね?

声は遠野そよぎさん。ほんわかとした声が非常によかったです。


佳華√。
郷土史の話題を中心とした内容。あとツンデレ。

この√の最後のほうは超常現象ばっかりおこしています。まぁ主人公神官だしね。これくらい白熱したバトル(?)があったほうがちょうどいいのかもしれませんね。

この√の主人公はかなりかっこいいと思います。元々主人公に好感が持てますが、さらに輝いてます。
そして町長どうした・・・!

声は五行なずなさん。結構クセになるかもしれないです。

羽衣√。

羽衣かわいいよ羽衣。

羽衣√は姉妹愛がテーマとなっています。妹が原因不明の病に罹り長い間入院していますが、それを想い一人暮らしを決めて転校してきた少女。

本当に自分のことより妹が大切だと思える内容でした。妹も姉のことをずっと考えてたりと、姉妹の絆が描かれていました。

最後はご都合主義の急展開でハッピーエンド。もうちょい内容凝ってほしかった。
ただこれは√終了後に読める「絆語り」を読めば少し納得。いいシナリオでした。

声はみるさん。キャラとの相性が卑怯なほどあっていました。みるさん最高。


月音√。

個人的に微妙。その一言。
ただやっぱり絆語りを読むと内容がよくなるように思えました。

この√は月音より両親からの愛が気になりました。養子だけれでも愛情を注ぐことは本当に素晴らしいことだと思います。

声は松田理沙さん。やっぱり声優陣はマッチしてます。


本作をやって思ったのは「本編は前編」。本当の物語は√終了後にある絆語り、そして全√終了後にでてくる神語りだと思います。

捺菜編では過去にでてくる奈津の物語、佳華編では主人公の遠い先祖の双子の妹、恵の物語。羽衣編は奈津とも深く関りのある初の物語。月音編は本人が過去から現代へジャンプしてきたので割愛。

このお話がなければ四人のヒロインのお話はご都合主義もいいところで、最悪なシナリオで終わっていたと思います。正直本編よりも面白かった。

そして全ての√が終わったあと、土地神である涼の物語「神語り」が開かれます。

それまでは布石と言っても過言ではありません。


涼√は長い間生き、出会いと別れを繰り返し、人間からは信仰されていない時でも決して人を見放さなかったやさしい神様が描かれています。
それは大好きだった大切な人の為であり、信頼を置ける仲間から託された願いでもありますが、最終的に人間が大好きだったのだろうと私は感じました。

そして現代になり主人公と出会い、恋に落ち、大好きな人をもう失いたくないと身を投げ打ってまで助ける姿には感動を覚えました。


涼√でのキーマンは精霊達というか古くから涼と一緒にすごした精霊とろゾー。どの√でも精霊が関り問題を解決していくのですが、涼√だけは問題を解決するのではなく、涼や主人公との絆を深く描いています。


最後に涼が身を投げ打って祈っているところに主人公が乱入し、止めようとしたところにとろゾーが泣きながら主人公を止める所には筆舌しがたいとろゾーの感情があったのでしょう。

ただひたすらに涼の幸せを考えるとろゾー。それがどんな形であれ、幸せになれるならば自分がどんなに悲しくても構わないと思えるのは素晴らしいと思います。

ただ一つ残念なのは、涼がいなくなったあとの内容がものすんごい薄かったことです。もっと主人公やとろゾー、他の友人の心情をもっと深く書いてしてほしかったです。




本作のテーマは「精霊と人間、そして人と人との絆」であるとおもいます。
時間を越えて他人を気遣うことの出来る奈津や初、一番大切な人を守るためにはどんなことでもできる羽衣、そして悲しい結末かもしれないけれど心から分かり合え、その人の幸せの為に涙を流しながらもお別れしたとろゾー。

非常に読みやすかったです。

ただ共通√が無駄に長く感じるのはちょっと残念。あと音楽が時々状況にあってなかったりBGM自体がなんかおかしいのがあったり声が若干ノイズ混ざってた気がするのは気のせいか?

それ以外は概ね問題なし。CGもてんまそさんだし何の問題もなし。

かなりの良作だと思います。
初めてプレイする方にお勧めできる一作。


余談。

羽衣がかわいすぎる・・・!