ErogameScape -エロゲー批評空間-

ypwa39さんのまいてつの長文感想

ユーザー
ypwa39
ゲーム
まいてつ
ブランド
Lose
得点
86
参照数
1011

一言コメント

前置き → まいてつについて → シナリオ&キャラについて → 処占的に気になる部分 と続く。なお、真っ当なレビューではないので心の広い方のみどうぞ

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

俺「なあ、兄者」

兄者「何だ」

俺「俺、次の市長選出て新しい政策を推し進める。先ずは市から。いずれは全国に」

兄者「笑いも出てこない妄言だが一応聞いてやる。どんな政策だ」

俺「毎月最後の金曜から5日間を休暇とする制度。即ち、エロゲー休暇だ」

兄者「お前の人生がエロゲー休め」

俺「一人暮らしの一日から仕事と家事と睡眠引いたら、自由に使える時間なんて2、3時間程度だろ? 特に、ボイス全再生でじっくりやるタイプのプレイヤーだと、月にそう何本も消費できず、積みが進行するばかりだ」

兄者「全部お前基準じゃねぇか」

俺「仕事後の疲れた身体じゃプレイ中に寝落ちする事も珍しくない。先が気になる場所で中断せざるを得ない状況も発生する。そしたら、次の日そわそわして仕事に身が入らなくなるよな? エロゲをプレイする時間が無いという事は、働き手が十全の力を発揮できないという、企業にとっての損失でもあるのだ」

兄者「喫煙者がタバコ休憩のいい訳してるみたいだな」

俺「それを解消する事による能率向上を加味した上での5日という数字だ。うむ、妥当」

兄者「普段どんだけ仕事に身ぃ入って無いんだお前」

俺「それだけじゃない。月最後の金曜をはじめから休みにしてくれてれば、不自然なくらい有休申請日が被る同僚のT氏とも微妙な感じにならなくて済む!」

兄者「極めてどうでもいい私情だな」

俺「しかも! エロゲー休暇が適用される条件を『毎月フルプライス1本分以上のエロゲーを購入している事』にすれば、エロゲ業界の衰退も止まる! なんて良いこと尽くしの政策! 俺、政治の才能あるよ!」

兄者「面倒臭いからわざわざ止めんぞ。好きに出ろ。その場合、俺とお前の縁はそこで切れる」

俺「え? まさか兄者も出馬を?」

兄者「するか。コレと知り合いだとは思われたくないだけだ。だいたい、俺らみたいな普通の雇われが市長選なんぞ、それだけで笑いものにされるぞ」

俺「え? 何で? 市長って女子高生でもなれるもんじゃないの?」

兄者「なれるかアホが。現行の地方自治法だと、市長選に出れるのは25歳からだ。つーか、立候補者がほとんど居ないような田舎ならともかく、ウチらのとこじゃあ学と箔とバックを持たないヤツには1ミリたりともメは無いからな? 出馬可能が何歳からだろうが、お前が当選する可能性は永遠にゼロだ」

俺「むぅ。兄者がそういうなら……。今回の知識はフィクションだったか」

兄者「お前二次元から得た知識そのまま信用するのマジ危険だからやめろ。今回は何に影響された?」

俺「女学生のヒロイン二人が他を圧倒する支持率で市長選を争い、それに勝利した主人公の妹が学園に通いながら市長を務め、デザイン系の職務も受け持ちつつ大の大人でも音を上げるような肉体労働まで並行して笑顔でこなしちゃうゲーム」

兄者「まいてつか」

俺「まいてつだ」


 ===まいてつについて===

俺「思い切ったロリ体型を高クオリティで提供し話題となった『ものべの』。そのヒットでロリゲー界の先端を確保しつつあるLOSEの新作は、これまたロリコン垂涎の幼ビジュアルを揃えたADVだ」


 ***E-moteについて***

兄者「ウリはやはり、全編E-moteか」

俺「最近はもう、立ち絵の動かないゲームに戻ると寂しさを覚えるな。目パク口パクくらいは最早必須機能かも知れん。ただ、今回に関して言えば正直、動かしすぎではないかと。そのキャラが喋ってる間は常に動きっぱなしくらいになってる。目パク口パク以外は、要所要所で仕草を入れる程度でいいんじゃなかろうか? 特に気になったのは、心の声にまでそれらを付けてしまっているところだ」

兄者「あれは俺も気になったな。心で思ってるだけなら、表情変化程度に留めとくのが自然だろうに。その分作業量も減るだろうし」

俺「限界まで作り込もうとしすぎて、やりすぎた感があるな。また、Hシーンの動きもぎこちなかったり挿入感が薄かったりといった部分がある。とはいえ、E-moteがキャラ達の存在感を大幅に引き上げているのは間違いない。しかも膨大な人数分、挫ける事無く動かしきっている。その根気は賞賛しておくところだろうな」


 ***グラフィックについて***

俺「ロリだな」

兄者「ロリだな」

俺「この『つるん』『ふに』はロリコンにしか分からん価値だろう。Curayasu氏はホンモノだと見るね。塗りも幼女の柔らかさをよく表現できている。腕の中にすっぽり納まるLPSを感じさせる対比や構図。子供そのものな容姿の中に本能的な女の悦びを滲ませたHシーンの表情描画も素晴らしい。ロリ好きにしか出せないこだわりを感じるね」

兄者「そのソムリエみたいな評価一般的には怖いから止めない? あとLPSって何だ? リポポリサッカライド?」

俺「ロリコン・プレジャー・サイズの略だ。儚さと可憐さを合わせ持ち、庇護欲と独占欲を掻き立て、ぎゅっと抱きかかえると軽くてふわふわで気持ち良く、その小さな身体で一生懸命抱きつかれたり頭を撫でられたりすると愛しく暖かな幸せを感じる事ができる、ロリコンにとって理想的な身長だ。求め方は100+√外見年齢×――」

兄者「わかったもういいから」

俺「鉄道関連の描き込みも流石だな。車両本体や駅周りの背景は数が多く、構図も細部もこだわって描かれている。とりわけ8620本体はパターンが多く、製作者の愛を感じた。ただ、どうしても気になると言うか勿体無いと思ったのは、用意してある背景の内何枚かが、シナリオ中には使われていない点だ。8620やキハ07sが実際に走っているところや、ホームに停車しているCGなどだな」

兄者「普通は一番見せなきゃいけない風景の様な気もするがな。確かにもったいない」


 ***Hシーンについて***

俺「メイン3人で13個、サブキャラには2つずつ+αで合計25個。どのHシーンもCGは二枚ずつある」

兄者「シナリオ寄りの非ヌキゲーであることを考えれば多いか」

俺「ただ、一つ一つの長さはそれ程でもない。まあ俺は、一枚のCGであんまり長々やってもらうのは好きじゃないからこのくらいでもいいが。それから、マニアックなプレイやこってりドロドロした攻めなんかは無く、あっさり目」

兄者「実用性は低いか?」

俺「いや、さっきも言ったが、ロリコンであるならばビジュアル面がそれだけで実用に足るレベル。それから、プレイ内容そのものより、キャラの設定と合わせたシチュエーションのエロさにグッとくるものがある。ただし、致命的なことに、根っからのロリコンにとってこそネックとなる大きなマイナス点がひとつある」

兄者「それは?」

俺「どのキャラも、『中身は見た目ほど幼くない』という事だ。これについて、詳しくは『シナリオについて』で語る。ヌキ目的で買ったガチロリコンの人は、『全解放ボタン』を使って最初に見るのが一番実用的かも。そのくらい、最終的には幼い印象が残らない」

兄者「全解放ボタンか……。純愛エロは恋愛の過程あってこそ、じゃなかったのか?」

俺「その考えは変わってないよ。ただ、このゲームの場合、シナリオとHシーンに相乗効果はあんまり無いんだよ。とりあえず、キャラの性格だけ把握しておけば事は足りるかと。最も、ハチロクと真闇姉に関してはその限りでは無いがな」


 ***ボイスについて***

俺「実はプレイ開始後しばらく、華ちゃんはハチロクじゃなくて日々姫の方だと思ってた……。ほら、赤くて妹だし……」

兄者「どこぞの駄妹かよ」

俺「あと、どこぞの浮遊島のわんことか、どこぞのアイススケーターとかの影響もあるかも」

兄者「元気だったり赤かったりか」

俺「まあ、ヒマリさんの方が特徴的な演技をしていて程なく気付いたが。あの、無理して標準語を使っている感じを演技で出すというね。それだけでも難しそうなのに、きっちり可愛いんだから恐れ入る。ハチロクの方は、しばらく経ってから『あ! この娘が華ちゃんか!』ってなった。良い意味で予想外。清楚かつ誇り高く、その上で弱さを内包した性格を完璧に醸し出してる。元々凄い声優さんだと思ってたが、今回で更に株が上がったよ」

兄者「声優に関しては名前を見るだけでも安定の顔ぶれだな」

俺「キャスティングも完璧だ。むしろ声優さんに合わせたキャラを用意したんじゃないかってくらい全員はまり役」

兄者「かなりの人数が前作と被ってるから在り得なくは無さそうだな」


 ***BGMについて***

俺「これと言って印象に残るものは無かったな。逆に言えば、それだけシーンにフィットした曲ばかりだったという事でもある」

兄者「評価は並、か?」

俺「そうだな。最近で、BGMの貢献度が高かったゲームと言えば、『みあげてごらん、夜空の星を』。あのくらい、雰囲気を『崩さない』ではなく『強化する』曲があれば良かったが……。舞台設定のみを比べた雰囲気では勝っているとすら思えるくらいなんだがな」


 ***ボーカル曲について***

兄者「12曲は圧巻だな」

俺「ああ。ここからも、LOSEがこのゲームにどれだけ力を入れたかが伝わってくるな。特に、メイン3人のOP曲は文句なしに素晴らしい。ハチロクの『レイルロマネスク』、日々姫の『pictorial』はともに、『もうこれ以外には無い』というくらいキャラにマッチした楽曲だ。ポーレットの『SilentRail』は、キャラの全体印象とは少し焦点がずれて切な気な楽曲になっているが、こちらはもう単純に良い曲。珠玉のバラードだ」

兄者「エンディング曲は不評か?」

俺「全曲最高! とは流石にな。EDで良いと思うのはハチロクの曲『どこまでも続くこの路を』と、ふかみ&凪の『おもいでをかさねて』くらいだな。ただし、『しゅっぱつしんこう!!』だけは別枠だ。あの幼女ボイス反則じゃね? しゅっぱつしんこう ってかロリ御津信仰始まるっての」

兄者「お前、少しはロリコンである事を隠そうと思わんのか?」

俺「悪いな兄者。俺はロリコンじゃない。 ぺドコンだ」

兄者「警察呼んどくか」


 ***システムについて***

俺「ブックマークは慣れると使いやすい。要は、『セーブするスロットを選ぶ』という操作を廃したわけだ。セーブ画面では自動的に新しいものほど上に来るようになっている」

兄者「タグを工夫すれば、特定のセーブを呼び出すのも簡単だ。まあ、わざわざ新しいシステムに慣れるより、従来のセーブ方式で不都合は無いって人もいるだろうが」

俺「他にも、一度読んだシーンへはいつでも跳べるようになっている。誰のルートのどのシーンかを選び、さらにスクロールバーで文章一個一個をジャンプ先に選べる。プレビュー画面もついてるし、下手すれば紙媒体の小説よりも読みたいシーンを探しやすい。1ルートクリア毎にタイトル画面のCGが増える仕様や、攻略が面倒な人のための全解放ボタンなど、システム面はかなりこだわりを持って作られているな」

兄者「ここは満点か?」

俺「いや、一点だけ。オートモードの待ち時間は 文字数×秒 タイプにして欲しかったな。固定値は読み辛い」


 ***PITについて***

俺「俺、実は頭悪いんだ」

兄者「実は でも何でもない今更情報だな」

俺「社会なんか中1の頃から睡眠時間だったよ。自慢じゃないが、公民については小学校高学年程度の知識も無いと思う」

兄者「ほんっっとに自慢じゃねぇよ。よくそれで一人暮らしとかできるな」

俺「世の中、給料さえ入れば何とでもなる」

兄者「ある意味究極の真実でもあるが……。そんで? 用語解説はそっち方面にも付けてほしかったって話か?」

俺「そそ。鉄道関連の用語をすぐ調べられるのは大変有り難いが、正直、俺にとっちゃ政治関連の話の方が遥かに難解だったよ。おまけにこのゲーム、列車そのものの話してるシーンより政策や金策の話してるシーンの方が多いんだよ」

兄者「それは確かに……」

俺「それに、キャラクターがボイス付きで薀蓄を語ってくれるのは、聞いてて純粋に楽しい。だから、経済や経営、何なら川下り関連の用語ももっと取り入れてくれれば、サブヒロインやサブキャラ達のボイスももっと楽しめるのに、と」

兄者「手間もコストもデータ容量も跳ね上がるだろ」

俺「これだけ力を入れたんだから、そこまでも。と思うのだがな」

兄者「そのデメリットを埋める意義があるほどに、誰もがそれを望むとは限らん」

俺「そんなもんか……」


 ===シナリオ及びキャラクターについて===

 ***ハチロク***

俺「ああああ可愛い! 可愛い可愛すぎる! 愛らしい! いじらしい! 恋人! ワイフ! 良妻! 傑作SL!」

兄者「早速壊れたか」

俺「女性であり! 少女であり! 童女であり! 相棒であり! 所有物であり! 人形であり! 女であり! 恋人であり! 妻である! それらの要素が矛盾する事無く渾然一体となった至高のハーモニーで奏でる整然と洗練されつつも人の手による情動を含んだクラシック音楽の様なヒロイン! それがハチロク!」

兄者「ちょっとドン引きするくらい惚れ込んでるのは分かったから、はよシナリオの評価入れ」

俺「ダントツ。このハチロクルートは『恋愛物語』として他を圧倒するくらいに出来が良かった。シーンひとつひとつを取上げても素敵なものが目白押しだ。
レイルロオドとしての使命よりも双鉄の目的を優先した事。
運休を決めた双鉄に対し、ハチロク視点から綴られる感情の暴走。
8620を止めてしまっても、違う形ででも双鉄と居たいという『望み』を口にするハチロク。
双鉄を求める自分は『女』であると認めた一夜。
廃駅内での甘いごっこ遊び。
子を成せなくても残して行けるものがあると知る婚約エンディングなどなどなど。
モノとしての忠誠心でしかなかった感情が、次第に、全身全霊を委ねる程の愛情へと変わっていく。その様をジリジリと実感できるのがこのルートだ」

兄者「大絶賛だな」

俺「ああ、85点はやれる」

兄者「15点足りない理由は?」

俺「文字通り、足りないからだ。特に過去の出来事の描写が。
右田汰斗とあの事故の関連性は?
事故から眠りにつくまでの間、ハチロクと清美機関士はどのようにしていたのか?
清美機関士はハチロクの行く末について何も関与しなかったのか?
何故整備ボディは8620の中に置きっぱなしになっていたのか?
右田家の者が誰もハチロクの事を知らなかったという事は、買い取られて直ぐに眠りについたのか? なら、ハチロクが言う『汰斗の期待を裏切った』という言葉は何についての事なのか?
とかね。明かして欲しいのに分からないままの部分が多すぎる。後、エンディング後の描写ももっとあると良かった。Hシーンだけではなくて、その後の運行や、日常などの様子もだ」

兄者「復興案に無理があるという意見もあるようだが?」

俺「確かに、バーベキュートレインだけであの盛況ぶりはちょっと都合良いかもな。でも、俺はあんまり気にならんかったな。このルートのメインはあくまで双鉄とハチロクの絆であって、復興案のリアリティはそれほど重要ではないと思う。それに、その案に魅力が無いかといえばそんな事は無いと思うし。SLの中でバーベキューとか普通に行ってみたい」

兄者「分からなくは無いが、ストーブ客車のストーブでバーベキューなんて、実際は相当窮屈な感じになると思うぞ?」

俺「それは確かに」

兄者「少人数で分けてもなお、バーベキューの開放感は無い様に思う。それに、小分けして呼ぶせいで制限時間も厳しそうだ」

俺「ふむ、つまりは網のサイズが問題な訳だろ? ……よし、思いついた」

兄者「言ってみろ」

俺「床全面を焼肉網にしてそこで焼くのはどうか?」

兄者「客をか?」

俺「つり革で踏ん張ればギリギリ蒸し焼きを回避できるくらいの高さはあるだろ?」

兄者「どこの国の刑罰それ? つか、そこからどうやって肉食うんだ」

俺「こう、猛禽類の如くスウォープ&アウェイ。己の肉が焼ける前に焼けた肉を食う」

兄者「せめて人類に対応した集客案を出せ」

俺「いやいや、先に力尽きた客を踏み台にすれば身体的に人間レベルでも何とかイケるんじゃね? 精神面は捨てるしかないが」

兄者「地獄絵図かよ」

俺「肉が食いたきゃ生き残れ。名付けて、サバイバルトレイン」

兄者「金払って乗るのそれ?」


 ***日々姫***

俺「妹キャラに必要な要素。それは愛着と庇護欲とお兄ちゃんラヴだ」

兄者「正しいのかどうか判断つかんが、それで?」

俺「日々姫の場合、お兄ちゃんラヴは問題無いだろう。いや、他のルートでは愛着と庇護欲もまずまずあったはずだ」

兄者「学生市長の話か」

俺「学生の頃、1日5時間のコンビニバイトをやってた友人は、それだけでキツイと嘆いていた。ましてや日々姫の場合、学校に通いながら市長職をこなし、そこでデザイン関連の職務まで受け持ってる。その上で、かなりの肉体労働だって話の機関士助士までやってるんだぞ? おまけに見た感じ、その全てを有能に回してる。はっきり言って、どれか一つでも優秀にこなせるなら学生としては凄いレベルだろうに」

兄者「機関士助士に関しては頻度が明確にされていないが……。まあ、もうそんな次元の話ではないか」

俺「作中じゃ日々姫の事を未熟者みたいな扱いしてるけどさ、実際は『学生でありながら公的な場所の看板やパンフレットを任されてる』って時点で、世間一般で言えば稀なレベルの『有能』だろ。姉に認められたい……って、右田家の一人前はどんだけハードル高いんだ」

兄者「一応、他人の影響を受けやすい、って部分が欠点として挙げられていたと思うが」

俺「日々姫の有能ぶりと並べれば、そんな欠点問題にもならんよ。このルートで語られる成長は、『欠点→克服』ではなく『天才→超人』って感じだ。超人キャラに庇護欲なんて感じない」

兄者「兄の手を借りるから仕事もやれてる、ってのは庇護欲に繋がらないか?」

俺「普通ならな。でもさ、学生がそれだけの仕事を『誰かに頼らなきゃやれない』なんて、ぶっちゃけ当たり前なんだよ。実際、人の手を借りながらでも学生 兼 有能な市長 兼 機関士助士として働く彼女を見て、『まったく、日々姫は僕(主人公)が居ないとダメだなぁ』なんて感情沸いたか? ちなみに俺は、『一人前の大人』を軽く圧倒するスペックだと感じた」

兄者「まあな……。なら、愛着の方は? 影響されやすい性格ってのは愛着に繋がりそうだが」

俺「日々姫が影響されるのが『兄だけ』なら萌え要素だし愛着も沸いた。けど実際には、彼女は気に入った相手であれば誰からでも影響を受けてしまう。後ろを付いて回るヒヨコは可愛いけど、自分以外の何かに付いて回るヒヨコに愛着は沸かない」

兄者「稀咲に影響されたのは兄に似ていたからじゃないか?」

俺「それは稀咲の事を気に入った理由だな。『日々姫はあくまで兄の影響を受ける』というのであれば、稀咲が誘致賛成を唱えた時点で反発したはずだ。日々姫は『兄に似ている稀咲』ではなく、紛れも無く稀咲個人に影響を受けている。日々姫自身、作中で『稀咲の方に影響されている』と自評してるしな」

兄者「なら、残りは『ラブ』だけか」

俺「そうだな。日々姫の兄ラブは本物だが、生憎、それ程活かしきれているとは言い難い。このシナリオのメインはあくまで『日々姫の活躍と市長選』だからだ。どっちかというと、恋愛部分の山は双鉄の方が日々姫に惚れる形で、日々姫を『惚れさせる』様はあんまり楽しめない。『惚れている』様はそこそこあるけどね。そういうイチャイチャも、市長選の骨休め的に挿入されている感じだ」

兄者「良い所が無い?」

俺「いや、市長選とか始まる前までの日々姫は可愛い。でも、言ってしまえばそれだけだ。そもそもどのルートでも日々姫は可愛いんだから、尚のコト本人のルートに限って超人化しちゃうのが納得行かない。もう、まだ学生の妹キャラを市長になんて突拍子も無い事してないで、お兄ちゃんと一緒に居たいから機関士助士を頑張る妹とのイチャイチャ機関士ライフを書いてくれればその方が良かったのに。絵やジオラマはポーレットの支援でいいじゃん。ついでにイチャイチャしすぎて呆れるハチロクとか見たいじゃん」

兄者「結局イチャラブ足りないのが一番の理由なんじゃないか?」

俺「否定はしない」


 ***ポーレット***

俺「キャラはハチロクの次に好きだな。双鉄をゲットしようと、意外にアグレッシブ。なのに直球でいく自信はなくて、ちょっと打算的なアプローチになっちゃうところなんかが凄く可愛い」

兄者「社長兼市長というのは日々姫に通じるものがあると思うが、こっちは問題じゃないのか?」

俺「やっぱり若すぎるんだろうけど、学生ではない事と、主人公と同年代という印象が違和感を抑えている。あと、言っちゃなんだけど、ちゃんと『行き詰まってくれている』ことが大きい。それから、鉄道が好きすぎて周りが見えなくなっちゃうのも可愛い欠点として描かれてるな」

兄者「ふむ。キャラはってことは、シナリオは微妙か?」

俺「こちらも日々姫と同じで、メインはあくまで復興を成功させる事。恋愛はそれを支える副題的なポジションになっている気がする。ただ、恋愛強めの復興物語としては楽しめた。ポーレットを慕う人々が次々に名乗りを上げるシーンは、このゲーム屈指の感涙イベントだ。俺がこのルートで気に入らなかった部分はただ一点のみ、レイナの記憶の扱いについてだ」

兄者「というと?」

俺「詳しく語ると相当長くなってしまうので要点だけ語るが、『記憶を全て失う』っていうのは、それまでの自分にとっちゃ『死ぬ』のと変わらない事だと俺は思ってる。だから試しに、あの改装イベント、『記憶を失う』を『死んでしまう』に脳内変換して読んでみてほしい。つまり、『レイナが死んでしまうかもしれないが――』『レイナが死んでしまったとしても――』と……。それが、俺が感じたこのルートの『気に入らない部分』だ」

兄者「随分と納得行ってない感じだな」

俺「ああ。それ以外の部分は本当に良かった。先に言ったとおり、ポーレットは可愛いからな。健気で儚くて護りたくなるし、支えあう事で強さを発揮してくれるシーンは男の甲斐性を喚起させる。甘え方もマーベラス。記憶の点さえなければハチロクルートに迫る評価だった。ひとつだけ疑問点を挙げるなら、幼少の二人は何故、あの後接点を持たなかったのか? という事だな。あ、あと幼ポーレット可愛すぎるんでHシーン欲しいス。なんかもうファンタジックに適当な理由つけて若返っちゃいました♪てへっ★とかでいいから。双鉄はもちろん大人体で。男側がショタは燃えん。体格差・マイフェイバリット」

兄者「貴様の気持ち悪い性癖はどうでもいいからシナリオの話に戻れ。復興案は気にならなかったのか?」

俺「マイントレジャーか。それほど復興に貢献しないような気はするな。現代基準で考えれば、だが」

兄者「遊園地のベンチで子供がスマホゲームやってるような時代だしな」

俺「時代背景としては80~90年代あたりを意識しているのかも知れない。その手のテーマパークが注目されたのってその頃の様な気がするし。まあスマホは普及してるっぽいが……。はっ! つまりマイントレジャーとブラウザゲーを連動させればいいのでは!?」

兄者「どんな風に?」

俺「御一夜鉄道株式会社で、鉄道会社運営ゲームを配信する。列車を走らせ、鉄道の良さをアピールする事で各地に線路を伸ばしていくゲームだ。路線マップの拡張が進めば新たな車両とレイルロオドも手に入るようになる。そうやって事業を拡大し、鉄道復権を目指す。題して、『機関車これくしょん・関これ』!」

兄者「何故あえてその文字を選んだ」

俺「マイントレジャーで入手した石炭はゲーム内の資源に変換してもらえるようにする。これならスマホゲー世代にもマイントレジャー大人気」

兄者「それ、来るとしても地元の人間が精々だろ。いくらなんでもゲーム内資材のために他県まで出向くヤツがいるか」

俺「大丈夫、マイントレジャーでの資源入手量を圧倒的に設定して、それ無しじゃゲームが回らないようにすれば」

兄者「クソゲーになるだけじゃねぇか」

俺「しかも、御一夜観光に来た人だけが挑戦できる限定マップもあり! 8620とキハ07sはそこでしか手に入らない!」

兄者「御一夜市民だけ有利すぎだろ」

俺「マップボスには右田日々姫、随伴には宝生稀サ姫が登場!」

兄者「何で身内で割れてんの」

俺「もちろん、どうしても御一夜まで来れない方達のために、課金で燃料を買える救済措置もあり! マイントレジャーに呼び込めなくても会社の利益はばっちり確保!」

兄者「大炎上しそうだな」


 ***真闇***

俺「現実離れした才人ばかりが登場するこのゲーム。その極地とでも言うべきお方だな」

兄者「作中キャラからの扱いはほぼ神格化されてるな……」

俺「まあただ、社会人かつ年上キャラというだけで、そういう設定もマイルドに感じる。他のヒロインとそう何歳も違う訳じゃないんだろうケド、こればかりは印象の問題だ。それと、ただただ超人なだけじゃなく、『妹のために主人公が好きな事を我慢していた』故に『恋愛経験ゼロ』という、素晴らしい萌え要素をセットにしてくれた。後者は、ほぼどんな天才設定からだろうと親近感と愛らしさを取り戻してくれる、王道かつ最良の属性だ」

兄者「『Hシーンについて』で言ってたのはそれか?」

俺「そう、真闇姉がずっと我慢してた事と、男女関係に不慣れな理由は知っておいた方が良い。その方がHも感慨深くなる」

兄者「シナリオ面は?」

俺「目的と過程が単純明快。これは賛否あるんだろうけど、この短いシナリオの中ではアリだったんじゃないかと思う。お陰で、短いながらに恋愛要素も目立ってた。ただ、真闇姉には申し訳ないんだが、このルート一番の見所は日々姫の告白シーンだと思う。それも恐らく、この作品の中で一番いじらしくて、一番儚くて、一番幸せにしてあげたくなる日々姫だ。しかしこのルートでは振るしかなく、本人ルートに行くと超人化するジレンマ……ジレンマ!」

兄者「わかったから。復興案は?」

俺「焼酎列車って、個人的にはちょっと不安感あるな」

兄者「そこは同感だな。現実にも酒が飲める列車はあるが、こちらは目玉観光にしようという話だ。ターゲットがほぼ成人以上限定という性質は明らかにネックだろう。高確率で家族旅行の候補から外されてしまうなら――」

俺「いや、そういうこっちゃなくて」

兄者「うん?」

俺「絶対出るだろ、吐くやつ。少なくとも通常運行よかは増える。愛しいハチロクがどこの馬の骨とも知れんヤツのゲロ処理するなんて、それが神の意思だろうと許されていい事ではない」

兄者「ああ、そう」


 ***稀咲***

俺「彼女の登場、第1、2声。なんか不自然」

兄者「ん?」

俺「彼女は、誘致反対側の主張を理解していないワケじゃないはずだ。ことさら、損得で決断しない者を『話にならない』と評価する人間では決して無いと思う。何より、仮に平行線の上にストレスがたまってしまったとしても、それを誰にともなく声を荒げて発散するような性質は絶対に持ち合わせていなかった。それも日々姫がいる前でだ」

兄者「ふむ」

俺「書き始めた頃の彼女は、もっと視野が狭く、意固地な人間をイメージしてあったのかも。それが、完璧キャラとして描かれていくうち、広い視野と好まれやすい性格が肉付けされ、ブレてしまった」

兄者「仮にそうだとしても、特に珍しくないだろ。創作物のキャラにそのくらいのブレは」

俺「そうだけどね。ちょっと思い至っただけ。しかしこの娘もまあ、大概だな……。多分、設定的には高校生をイメージしてるんだろうケド……。全員18歳以上とかの建前はなしで」

兄者「高校生が銀行の支店長になるなんて、現実には無理だろうな。まあ、そもそも市長になれる年齢からして、その辺は現実より若く行ける設定なんだろう」

俺「そうなんだろうケド、やっぱ最初は『え?』って思う。もっと完全なファンタジーだと、例えば一騎当千のロリっことか、大国を治めるロリっことかでも違和感出ないんだが」

兄者「何で例えが両方ロリっこなのかは置いておくとして、まあそういうもんだろう。なまじ、地域復興とか経営とか、リアルに基準を持てる題材だから、俺らの一般と比較してしまう」

俺「この娘は、もし市長選勝ってたら、学園に通いつつ銀行の支店長やりつつ市長だったんだよな? 日々姫にも言える事だが、ポーレットが社長と市長の兼業で潰れそうになってるって設定は加味してあるんだろうか? お陰でポーレットの方に親近感が沸くっていうメリットはあるが……」

兄者「評価は日々姫と似たり寄ったりか?」

俺「だな。有能過ぎるキャラはあんまり食指が動かん。敵としては気持ちのいいキャラだと思うが、ヒロインとしては……。まあ、『妹』でない分、日々姫より受け入れやすいが」

兄者「お前のその妹観も身勝手だと思うが」

俺「『その歳で社長になるため勉強ばかりしてきたツケで恋愛下手』みたいな面があってくれると可愛かったんだけど、実際にはそんな感じも無いしな。狙い通り双鉄に自分から告白させたし。Hも大体リード気味だし。まあHに関しては、逆転無しの受けが好きな人には良いんだろうが」

兄者「恋愛ベタは真闇姉でやってるから被るのを避けたんじゃないか?」

俺「そのくらい王道の萌え属性なら多少被るのはいいと思うんだがなぁ。まあ恋愛ベタでなくとも、何かしら隙はあって欲しかったな」

兄者「欠点らしい欠点は確かに見つからないな……。シナリオの方は?」

俺「短い上にほぼ山もなく終わるから特に言う事が無い。恋愛描写も薄め。というかはっきり言うと、彼女は一体何時から、なんで双鉄を好きになっていたのかがよう分からん」

兄者「恋愛描写は一番薄いルートかも知れんな」


 ***凪&ふかみ***

俺「この二人はエロイ」

兄者「いきなりそこから評価すんのか」

俺「かたや天真爛漫元気っ娘で性行為とは程遠そうな幼女。かたや引っ込み思案の恥ずかしがり屋で保健の授業すら恥ずかしがってそうな幼女。そんな二人が、『どうぞ』と言わんばかりに自分から積極的にお尻を突き出しあそこを見せ付ける。あのシーンで『来ない』ヤツは不能だね」

兄者「ロリゲーだからロリコン視点の意見なのは別にいいが……。シナリオの評価は跳ばすほど薄いのか?」

俺「この二人に限らず、サブヒロインのルートは全部おまけ的な長さしかないからな。とはいえ、良い悪いでいえば、そう悪くは無かった。復興の話は早々に切り上げ、幼い少女達との触れ合いのみが描かれている。これは大正解だ。 まあ、ただ……」

兄者「ただ?」

俺「ルート自体は良かったんだけど、それ以前の段階で手遅れだったというか……」

兄者「なるほど。お前が何を言いたいかは大体分かる」

俺「ふかみは……何歳くらいの設定なんだろうな」

兄者「小学校高学年くらい……だとは思うがな」

俺「実質一人で会社を回している小学生……。営業、宣伝、経理、整備、雑務……この娘、全部一人でやってんのか? それどころか、発船所では商品の販売もやってるんだろ? 発注は? 商品管理は? あまつさえ、雇用管理にも精通してそうなんだが……」

兄者「ほかの従業員の描写無いもんなぁ」

俺「果ては、命の危険があるような作業すら小学生がやってるという……」

兄者「多分、本当に他の人間はいないんだろう……。リアルでは考えられん事だが、これもこの世界ではそういうものなのかも知れん」

俺「登場人物全員がありえないほどのハイスペックと言っていいこの作品だが、年齢と一番釣り合っていないのはこの娘だと思う。実際、想像してみろ? 伝統ある観光名所、川下りのお店に入ったら、出迎えたのは小学生くらいの女の子一人。他に従業員の姿は無く、会計から説明から操船に至るまでこの子一人+お手伝い小学生一人でやるという……。兄者、そこで小学生から『お一人、三千ン百円です』と言われて……」

兄者「不安……いや、不審に思う状況だな。確かに、堂々としていれば、なんてのが通じる段階じゃない」

俺「それが普通にまかり通ってるのもそうだし、観光振興の話し合いで『クマ川下り代表』として当たり前に扱われている事もそうだ。仕事は学園に通いつつだし、なんと家事まで受け持っているという。『やってる事』と『やれる事』が小学生の範疇から逸脱しすぎてて、プレイしてる内に『幼い少女』という印象は少しも感じなくなってしまった」

兄者「これが上で言ってた『中身は幼くない』ってヤツだな」

俺「しかも、この娘の問題はこの娘のみに関してでは収まらない。同い年である凪の方の印象年齢すら上がってしまう」

兄者「ふかみを小学生だと思い込むよりは、凪の発達が遅れていると補完するほうがまだ自然なわけだ」

俺「『病弱の母親が接客や事務全般をやって、ふかみが船頭のみ引き受ける』とかじゃダメだったんかね? それだけで一気に不自然さは解消されるのに。ちゃんと大人の営業者がいた上でふかみに任せているなら、そこからは、ふかみの堂々とした姿に安心するという理屈も理解できる」

兄者「船頭としての能力の高さは許容範囲なのか?」

俺「一点特化でプロ顔負けの技能を持ってる、ってのは、むしろあのくらいの年齢のキャラにはガッチリマッチした設定だと思う。ふかみの場合、赤ちゃんの頃からって設定もあるし、芯の通った個性としてキャラを魅力的にしてると思うよ。クマ川のマーメイドとか名乗ってお店の看板にできるレベル」

兄者「センス最悪なのはもうどうでもいいとして、船頭が泳ぐイメージはダメだろ」

俺「はっ!? それだ!」

兄者「どれだよ」

俺「SLが観光復興の旗印なんだから、それを模した革新的川下り。即ち『人力曳航川下り』! この案はいける」

兄者「いけねぇよ。それ川下りってかもう何かの荒行だろ。びっくり人間の撮影現場かよ。お客さんたち景色見てる場合じゃねぇよ」

俺「見た目のインパクトもあるし、動画サイトに上げれば話題になるぜ」

兄者「児童虐待としてな」

俺「まあともかく。ふかみが大人の役割を担っているせいで、凪も含めて『幼い』印象が薄れているという話だ。そんで、ハチロク&レイナは言ってみりゃ『ロリBBA』だから……。わかるだろ? 真性のロリコンにとって、これがどのくらい致命的か」

兄者「真性である事まで認めるのか……。いや。見た目がこれだけ幼ければ十分だと思うんだが」

俺「『ちっちゃらぶアパート』のニナとか、『しゅきしゅきだいしゅき』のタマラとか、そのあたりを参考にして欲しい。理想的」

兄者「そのあたり じゃねぇよ最果てじゃねぇか。お前のストライクゾーンどこまで地面スレスレだよ。 ……あ、ペドコンだったか」


 ***レイナ***

兄者「じゃあこの娘は?」

俺「上でも書いたように実年齢は数十歳だからな。相応の経験も積んでるから、やはり見た目ほど幼くは無い。とはいえ、幼さ抜きにしてこの娘は単純に可愛らしい。――が、このルートに関してはもう、キャラの良し悪しは脇に置いてでも言いたい不満点がある」

兄者「ほう? どんな?」

俺「Hシーンの事前通告、『レイナ&ポーレット3Pが1シーン』となっている事だ」

兄者「? それの何が悪い? 確かにひとつはその3Pだったよな?」

俺「確かに、『嘘』ではない。レイナとポーレット二人相手のHシーンがあるし、二人とも主人公の事好きだし、どちらにも挿入シーンがある。『条件だけを並べれば』確かにこれは前言を逸していない。が、違う。これは男が望む、男に都合がいい3P幸せハーレムではない。男が喜ぶ3Pってのは、『どっちも手に入れる3P』だ。凪&ふかみのヤツが正解だ。『その後二度とポーレットが混ざる事は無いと三人で誓い合うためのセックス』なんて、そんなの少しも嬉しくない。それじゃポーレット手に入ってないじゃん。諦めてるじゃん。『三人でH』はしてないじゃん。膜さえ破れりゃそれで良いわけじゃないんだよ」

兄者「内容がダメだった訳ね」

俺「しかも! 問題はそのシーンだけではない! 二度としないと誓ってしまった以上、もう追加エピソードでレイナ&ポーレットの3Pが出る可能性も無いという事だ! これ以上の落胆があろうか!?」

兄者「まだポーレットルート後で可能性があるだろ」

俺「兄者、俺のポーレットルートの評価を忘れたのか? レイナの記憶を危険に晒したヤツに、レイナの身体を貪って欲しくはない」

兄者「めんどくさいヤツ」

俺「レイナ&ポーレットの3Pは購入動機のひとつでもある。その瞬間を夢にし、レイナとポーレットが銭湯で『三人一緒が良い』と言った時の期待感といったら……! 三人でイチャイチャ幸せハーレムセックスライフを送る結末が待ってると信じていたあの頃の昂ぶりを返して欲しいっ!」

兄者「ハイハイわかったから。他に感想は無いのか?」

俺「ルートの内容は特に見るべきところが無いかなぁ。復興話も投げっぱなし気味だし、恋愛要素もなんか唐突。後はそう、自分達は水を汚されたくなくて工場誘致に反対してるのに、石炭火力発電を再開させようとしてるところは虫のよさを感じたな」

兄者「数十年前に閉鎖された発電所、だもんな。まあ、あの世界では低コストで導入できる完璧な汚染対策技術が確立されてるのかも知れん。環境への問題点をクリアできるなら、自分達で電力を作れるというのはデカイだろうしな」

俺「電力か……。フフ……」

兄者「え? 何その気持ち悪い笑い」

俺「実は、市長を目指すに当たってもうひとつ暖めていた政策案がある」

兄者「お前アレ真面目に言ってたの?」

俺「電力事情を改善するとびっきりのヤツだ。しかも超クリーン。こればっかりは自信アリだぜ」

兄者「もういい加減飽きたパターンだが……、いいよ聞いてやる」

俺「ずばり! 摩擦力を電気に変換できるオナホを開発し、それを各家庭に配ってオナニーしてもらう事で文字通りの自家発電をしてもらおうという政策だ!」

兄者「 」

俺「名付けて、『エロス=クラフテック』! 人類が存続する限り安定した電力供給を望める画期的な政策だ」

兄者「非リアの割合やべぇなお前んとこの人類」

俺「オナニーしない人間なんていない! 全ての国民がエロクラオナニーに取り組めば、電力不足に悩む時代は終わりを告げる!」

兄者「あれ? お前もしかしてリアル女は人間と認識してないの?」

俺「更に、エロクラへの参加意欲を高めるため、発電量を毎月集計して上位の貢献者には市から表彰&金一封出ちゃう制度あり!」

兄者「晒し者じゃねぇか」

俺「どうよこの案?」

兄者「俺が思うよりずっとアホだったんだなお前」

俺「NA N DE !?」

兄者「なんでと返って来る方がびっくりだわ。生憎俺には『赤は赤い』と教えてやれる才能は無いんだよ」

俺「いや待て、まだ兄者はこの政策のメリットを芯まで理解していない! いいか? エロクラオナニーが常態化してくれば、当然次は、より効率よく、気持ちよく発電できる環境が求められるようになるよな?」

兄者「疑問形で来られても困る」

俺「それがオナホ市場の活性化を促すのは勿論、当然のようにオカズ業界も――そしてエロゲー業界も、間違いなく息を吹き返すはずだ。いや、エロクラ発電の有用性が認められれば、エロ業界は国からの後押しすら得られる様になるかも知れない。そうしてエロゲ業界が黒字化して行けば、ユーザーにお出しする自分トコのヒロインをソシャゲやらに身売りさせるような純愛系名乗る資格すらないブランドだって減るだろう。他にも、安定した事業には有能な人材が数多く集まり、未だかつて無いほどシコリティ高い神ゲーとかが産まれて来るようになるかもしれない! そしてそれがまた、自家発電の効率を加速させる! その好循環が再び日本を経済大国へと押し上げ、やがて先進各国がエロクラの普及に乗り出せば、二次エロ大国である日本は世界のイニシアチブを――」
兄者「あと5秒だ」
俺「――はい?」

兄者「それで黙らないとお前の脳みそそこの排水溝に流す」

俺「(ガタガタガタガタガタガタガタガタ)」


 ***全体的に***

俺「気になる部分は、『キャラが有能すぎてポジションイメージとの乖離が激しい』と言う一点に尽きる」

兄者「ヒロインに活躍の場を与えるのは当然。しかし、活躍する舞台がヒロインのキャラクター性に作用するのもまた当然か」

俺「そのとおり。特に日々姫とふかみは、プレイする目的そのものともいえる『妹』と『ロリ』を侵食しちゃってるんで致命的だ。ただ、舞台の方に焦点を合わせて、キャラクターを『そういうもの』として割り切れば、話自体は中々楽しめたよ。つまり、『ロリや妹属性を楽しむ美少女ゲー』としてではなく、あくまで『復興物語を恋愛と共に楽しむ作品』として見ればね。あ、もちろん、ハチロクルートに関してはそういった訳注抜きに素晴らしかった。全体的にイチャラブ少なかったのはちょっと残念だけど。どのくらい少ないかというと、ピロートークにすら振興や政治の話が入ってくるくらい」

兄者「それは確かに……。イチャラブスキーにとってはガッカリかもな」

俺「あと悪い所といえば、レイナの記憶の件、及び3Pの落胆くらいのものだ。プレイ後の余韻は悪くない。むしろもっと浸っていたいくらいに世界観や雰囲気も良かった。アペンドシナリオが楽しみだ。特にハチロク。ああもうハチロク愛してる」

兄者「…………なあ、まさかとは思っていたが、この点数……」

俺「うむ。ハチロク愛ゆえに」

兄者「それでいいのかお前」


 ***余談***

俺「ところで、運転体は整備体に比べてセンサー類に優れる、という設定だったと思うが……」

兄者「ああ、どこだかのルートで、ハチロクが逆に言ってたな」

俺「その点もそうだが、レイルロオドの設定はもう少し掘り下げて欲しかったな。アペンドで多少語られる事を期待」


 ===処占的に気になるところ===

俺「実のところ、この点に関してプレイ前はあまり期待して無かった」

兄者「そうなのか?」

俺「なんせ前作は、サブ非処女だらけ&メイン医療NGだったらしいからな……。まあ、その情報が先にあったから俺はプレイしてないんだが」

兄者「今回このゲームを買ったのは?」

俺「事前情報で、Hのある女性キャラは全員処女&主人公以外とのH無しと聞いたからだ。LOSEのロリ可愛さには前から惹かれてたし、その他のNGは飲み込むつもりで買った」

兄者「結果は?」

俺「予想以上に良かったよ。詳しくは、抜き出しながら説明する。今回も、少しでもNGだと感じる人が居そうな所は全て抜き出してみた。先ずは基本情報から」


 *全処女、主人公以外の男との性的接触及び露出NG無し
  俺「前半は情報通りだが、露出面まで満点というのは本当に意外だった。素晴らしい」

 *恋愛やキスなども全て主人公が初だと思われる
  俺「全員明確に初だと書かれているワケではないが、他にいたと匂わせる描写は無いので○」

俺「追記で、レイルロオドの二人にも、ちゃんと処女膜を破る描写があったのは良かった。これが無いと、純潔を捧げてもらったっていう達成感が乏しくなるからな。出血はしないが」

兄者「レイルロオドには血が流れていないという事なんだろうが、そういえばハチロクがシーリングの時に流してた液体って何なんだろうな?」

俺「さあ? 結局シーリングって何が起きてるのかよく分からんし……。多分、ライターが詳しく書く必要は無いと判断したんだろうんだろうが……。まあともかく、次からはNG部分だ」


 ***ハチロク***

 *主人公の身体を洗うために一緒に男湯に入ろうとする
  俺「未遂だし、そもそも他に客はいなかったのだが、ハチロクは他の男がいても構わないつもりだったと思われる」

 *「わたしは貴方のものです」的な台詞をよく口にする
  兄者「それはむしろいい事なんじゃないのか?」
  俺「そうだな。そう言ってもらえるだけで男なら嬉しいし、独占欲を刺激してくれる。という事で想像してみろ、ハチロクが、『わたしはあなた様の所有物です』と言ってるところを。 ……他の誰かに向かって」
  兄者「ああ……」
  俺「ハチロクは100年くらいレイルロオドやってるんだぞ? 過去のマスターに対して絶対言った事あるだろうし、そう思ってもいたはずだ。レイナルートでは、『レイナが他の機関士に笑顔を振りまくのは嫌だ』とか主人公は言っていたが、そんなレベルじゃないよなコレ? 作中で直接描かれてなくても、確実視されるものは処占的にNGだ」

 *初アナルセックスがコンドーム付き。
  兄者「アナルでもゴムはダメか?」
  俺「むしろ使ったほうが良い理屈を知りたい。もちろん二次元でだ」
  兄者「そういわれると確かに思いつかないが……」
  俺「ハチロクが双鉄を慮って用意するのはいい。だからってそのまま従わなくていいじゃん! 『器具の挿入はしたくない』という感覚はあるのに、何でゴムを使うのは気にならないんだよ!? 器物である事には違いないじゃん! 双鉄自身のアレは欠片も触れ合わないじゃん! いいか? アナルだろうと、愛し合う行為でそこに触れる事を初めて許されるという栄誉は――」
  兄者「(やべ、地雷踏んだ……)」


 ***日々姫***

 *物語終盤、稀咲に対して抱きつくシーンがある
  俺「レズっぽい感じはしないんだが、この時の主人公の行動が少し問題。『その位置は自分のものだ』みたいな嫉妬っぽい思考で二人を引き剥がしちゃうのよ」
  兄者「それがダメな事なのか?」
  俺「ああ。これは珍しいタイプの処占NGで、主人公がそうした事により『ただの親友同士のハグ』だったものが『主人公が嫉妬するようなハグ』になってしまっているんだよ」
  兄者「『主人公基準で見て他の誰かに渡したくない事』になってしまっているからNGって事か?」
  俺「そういう事だな。それに、『日々姫の意思で稀咲に抱きついてるのを主人公が嫉妬して引き剥がす』っていう構図も、主人公の方が間男っぽくてよろしくない」

 *稀咲ルートにて、「兄さんが(稀咲に対しての)気持ちを自覚したら、自分が恋をする時の参考にしたいから教えてくれ」という台詞がある
  俺「ただし、普通に考えればこれは額面どおりの台詞ではなく、兄への恋心にけじめを付けるためのモノだと思われる。その時点で日々姫が『将来他の誰かと恋愛する気でいる』ワケではない」


 ***ポーレット***

 *市議会中にセクハラ発言を飛ばされる。「早く旦那を作って抱いてもらえ」とかそんな感じの野次。その途中で鼻血を出して「想像したのか?」とか言われる。実際の鼻血の原因は過労


 ***真闇***

 *特になし


 ***稀咲***

 *部下の浦上と仲が良い
  俺「最終的に浦上が女性であることは明かされるのだが、問題は、『部下であった頃は稀咲も彼女が女性である事に気付いていなかった』という点。そして、共通ルートのかなり序盤から、主人公は二人を恋人同士だと勘違いしていた。主人公以外の人間からも恋人同士に見えていたのなら、浦上が女性であろうとアウト。最も、ハチロクの目からは『そういう間柄には見えない』そうだが」

 *日々姫に相当入れ込んでいる描写がある。
  俺「個人的には、日々姫→稀咲よりも、こっちのほうがレズっぽいというか、宝塚というか、両刀というか……。まあそんな印象を抱く人が多そうな気がする。ただ、これは浦上との事にも言えるのだが、稀咲の初恋が双鉄であることは自身の口から語られるので、彼女たちに対してそういった感情が無かった事は確か」


 ***凪&ふかみ***

 *ダブルフェラの時、二人の舌がちょっとだけ触れ合ったり、3P中に、挿入の痛みを和らげようとして性器周りを軽く愛撫しあったりなどがある。

 *二人が主人公の精液を分けて舐めあう時に、当の主人公がちょっとだけ置いてけぼりにされる感じのシーンがある

 *外でのHが二回ある
  俺「ただしどちらも、誰も来ない事を考慮してある」

 *公式のQ&Aで、凪が『男になったらふかみとデートしたい』と言い、それを聞いたふかみが鼻血を出すという反応を見せる
  兄者「本編外の事も入るのか?」
  俺「そこの線引きは難しいところだが、このQ&Aの場合『キャラ自身が答える』という仕様になっているので、そこで語られた設定や性格は本編のキャラに適用されるものとする」
  兄者「なるほど」
  俺「んでコレについてだが、凪自身は『少女マンガで見たから』というレベルで、男女交際という意識は持って無い感じだが、ふかみの方の反応は限りなくNGくさい。レズNGか普通のNGかの判断は難しいところだが、『双鉄以外の相手とデートするところを想像して』であることは間違いない」
  兄者「時々、ふかみ&凪がレズだという声を聞くのはこのせいか?」
  俺「一応フォローしておくと、作中では二人とも、双鉄に対する感情が生まれて初めての恋心だってちゃんと自覚してる。それどころか、双鉄からの愛され方を羨ましがったり、張り合ったりしてるくらいだ。レズっぽい感じは『稀咲→日々姫』よりもしないと思う」


 ***レイナ***

 *主人公が、「他の機関士に対してレイナが笑顔を振りまくのは嫌だ」と思う
  兄者「これは日々姫の抱きつきと同じ理由か?」
  俺「そう。双鉄がそういう風に思わなければNGでも何でもなかった。そして、ハチロクの忠誠心と同じ理由で、既に他の男に取られちゃってるわけだから」
  兄者「細かすぎじゃないか?」
  俺「まあな、いくらなんでもここまで気にする人は居ないと思うが、まあ念のためね」


 ***その他***

 *クハ26という美少女系の顔グラ有りキャラがいて、主人公以外とのカップリングになっている
  俺「ただしほぼモブ」

 *機関士の仕事が終わった後入るお風呂が、ヒロイン達との混浴になっている
  兄者「これは何が悪いんだ?」
  俺「だって、他の機関士採用するんだろ? 女性のみ募集ってわけじゃあるまい」
  兄者「あー……、男性のみでもおかしくない仕事だな」
  俺「入浴まで含めて仕事の一環みたいなところがあるんだろ? とろる湯の都合もあるみたいだし。ポーレット、日々姫、ふかみあたりは何かしら理由つけて混浴拒否してくれるかも知れんが、凪とレイナとハチロクはどうだ?」
  兄者「たまたま一緒に入る男は来なかった……とかになるんじゃ?」
  俺「そうかも知れんが、そうではなく、来た場合はどうするつもりで居るのか? という話だな。ちなみに、『双鉄君ならいいけど他の人と一緒は嫌だから今日から入浴のルールを変えます』とか言われたら、俺ならその日の内に辞表を出す自信がある」
  兄者「確かにそれはキツイ」


俺「このくらいだ。いっぱいあるように見えるかも知れんが、他のゲームに比べればだいぶ少ないし、ひとつひとつも軽い」

兄者「まあ、今までのに比べればな」

俺「抜き出しといて何だが、正直俺自身、ハチロクの分以外はほぼ気にしていない。俺ですらそうなんだから、並大抵の処占民は気にせずプレイできると思う。評価は『おすすめ』だ」