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ypwa39さんのぜったいマジイキ!? イチャずらハプニング!の長文感想

ユーザー
ypwa39
ゲーム
ぜったいマジイキ!? イチャずらハプニング!
ブランド
TinkerBell
得点
75
参照数
3698

一言コメント

長文愚痴注意→

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

老舗Tinker Bellさんの作品。
僕も抜きゲーブランドとして度々お世話になってきたものですが、
いざ、今回このゲームの評価を、と思い立ったところ、正直どう書いたものかと悩むハメになりました。

先ず、ぶっちゃけ楽しめたかどうかといえば、それは間違いなく楽しめました。
個人的な趣向の話ですが、あおじるさんの描く美少女キャラは業界でもトップクラスの可愛さだと思いますし、
「これならイチャラブ系もイケるだろうに」などと思いつつ、氏が手掛けるゲームは陵辱モノがほとんどなので
そのリビドーは中々晴らされる事無く過ごして来たところ、今回のこのゲームです。かなり期待してました。
(あくまでイチャラブ系「も」と思っていただけであり、あおじるさんの描かれる女の子たちのエロさが
 陵辱系作品において強力なアドバンテージとなっている事は重々承知しています。)

そして実際にプレイして見れば、ヒロイン達はビジュアルだけでなく性格づけも可愛らしく出来ていますし、
その上でHシーンはかなりの濃さ。
CGの塗りも、汁描写も、アヘ顔も、多用される淫語も、とてもエロイです。
特に、陵辱系作品が多い為に中々見られない、
あおじるヒロインの「ラブラブH中の表情」がとてもエロ可愛く、大満足でした。
声優さんの演技も基本的に問題はなく(凛の喘ぎ声だけちょっと弱いかも?)
「イチャラブゲーとして見た場合」おかずとしての有用性はバッチリです。

ですが、ならばこのゲームは文句無しで良ゲーなのかと問われれば、少し悩みます。
その原因については少々説明が難しいのですが、
先ず問題になるのは、このゲームを何ゲーに分類して楽しむのか、という点です。

先ず、純愛ゲームではありえないでしょう。
それで見た場合、主人公が壊滅的に駄目すぎます。
主人公はかなり自分本位な性格で、相手の気持ちなどまったく考慮せずに、
快楽のため、果ては、あろうことか報復のために、強引な手段で好き合ってもいない女の子を
酷い状況で処女喪失させておいて、罪悪感<快感となってしまい反省も見せないような奴です。

こういう主人公なら陵辱ゲーであれば合いそうなものですが、見て分かるとおり陵辱ゲーでもありません。

単純な抜きゲーとして見た場合も、陵辱系がメインとなる過去作と比べれば
それほどハードなシーンは無いため、パンチ力はそう高くないでしょう。
(あんまりハードなのは嫌い、若しくはハードでもラブラブがいい、という人には良いかと思います)

なら、「自分にとってこのゲームはどんなジャンルだったから楽しめたのか」と問うた場合、恐らくは、
「あくまでヌキ重視のイチャラブヌキゲー」という、絶妙なポジションだったからではないかと考えます。

まあ、実際にイチャラブするのはキャラによってはかなり終盤だけだったりしますが、
前半も陵辱色はほとんど無いので、「どちらかと言えばイチャラブ系」に分類されるでしょう。
その上で、イチャラブものとしては破格にマニアックでハードなシーンが揃っているので(受け付けない人も
いるかもですが)、「イチャラブ且つ抜けるゲーム」として見れば、評価は非常に高いです。
「あくまでヌキ重視」という訳注を添えれば、「え?何でこの娘達こんな奴に惚れるの?」みたいな
主人公の酷い性格も、手間なく濃いHを回す為の止むを得ない処置として割り切れます。

ですが、ジャンルをコレに固定して見た場合、更にもう一つ、評価を悩ませる要素が出てきます。

それが、全員攻略後に開放される「ハーレムルート」の存在です。

*タイトルに「イチャずら」とある事からも見て、以下は、このゲームが「イチャラブ系抜きゲー」として
作られていることを前提に記述します。

ハーレムルートの何が問題なのかと言えば、答えは単純、
「凛と香織の二人が主人公以外に処女を奪われる(それぞれ唯と夏希)」からです。

こんな事を書けば、「また処女厨が・・・」などと思われるかも知れませんが、
実際問題として、
「“イチャラブゲー”を好んで購入する層」の中に、その「処女厨」はどのくらい居るものでしょうか?

そんなに少なくはないと思います。

もちろん、ブランドカラーから見て、ヒロインの処女性に注力する方で無いというのはわかります。
ですが、今回のようにイチャラブ系の抜きゲーとして世に出すならば、
その購入層においてヒロインの処女を重視するユーザーが占めるウエイトは、
結構馬鹿にならない大きさだと思うのです。

実際、各キャラそれぞれのルートでは、ヒロインの処女は全て主人公が貰うため、
ブランド側もそれは分かっているのだと思います。

では、ならば何故ハーレムルートであんな展開を入れてきたのでしょうか。

主人公以外が処女を奪う展開で喜ぶ層と言えば、NTR好きなユーザーという事になるのでしょうが・・・。
仮にこのシーンがNTR好きなユーザー向けに入れられたモノだとして、
そういった人達が満足できるような内容ではないと思いますし、そもそもハーレムルートでちょっとあるだけ
なので、高評価を受けたりはしないと思います。

逆に、イチャラブゲーにヒロインの独占を求める層からは、確実に反感を食う結果となったでしょう。

第一、「NTR」を期待して「イチャラブ」ゲーを買うでしょうか?
ほとんど対局に位置するジャンルだと思うのですが・・・。

少なくとも、ブランドカラーを知らずに、ゲームの宣伝から受ける印象で購入した独占好きからは
今後敬遠される事になるでしょうし、
今までヌキゲーブランドとして着いて来ていたユーザーの中にも、
「イチャラブ系を出すのならヒロイン独占も有り得るかも」と期待していた人が居たかも知れません。
そういった人達への印象も、良くはなかったでしょう。

総括して、このハーレムシーンは多くの購入者にとって、また、企業にとってもマイナスにしか
なっていないように思えます。

はっきり言わせて貰えば、
ユーザーのニーズを無視して製作側の趣味を入れ込んだか、
もしくは、処女好きなユーザーへ対する嫌がらせの意図があるのではないかと感じました。

特に、本人のルートでは「主人公専用」とか、「他の人とは絶対しない」などとよく口にする、
独占的に美味しいキャラであった筈の凛にあえてそういう事をするあたり、
「処女厨」へ対する攻撃的な悪意があるのではないかと邪推してしまった程です。

僕がつけた75点という点数は、このゲームを「あくまでヌキ重視のイチャラブヌキゲー」
というポジションに固定し、
ハーレムルートの存在を「あくまでif的な、本編とは関わりないオマケである」と
割り切った上でつけたものです。

仮に、このハーレムルートがこのゲームに於ける正史とされていた場合、
評価は10点くらいまで下がっていたと思います。
イチャラブゲーとして大失敗ですからね。


さて、ここまで処女厨の戯言を長々と書き殴りましたが、以下、80点分の良かった点と、
5点分の悪かった点。
後は各キャラの評価などを記述しておきます。

先ず、悪かった分と言うのはシステム面ですね。
僕は普段、余程使いにくく無い限りはシステム周りの事で評価を下げたりしないのですが、
これに関してはかなり改善が必要だと感じました。

ゲームのスタートメニューは、全て同じアイコンが並んでいるだけで文字が表記されていない為、
マウスオーバーしてみるまでどれが何のメニューなのか分からない。
そのマウスオーバーもわざわざアニメーションさせてある為、確認するのに僅かなラグが出る。

オートモード使用中に、オートモード中である事を見た目で判断できる部分が無い。(これ想像以上に不便)

バックログが操作しにくい。

スキップが、エフェクトだかシーン変更の時だかに中断される。

など、お世辞にもユーザビリティを考慮してあるとは思えない出来だったのでマイナス5点。


次に良かった点ですが、

先ずオープニングが凄い良い曲です。これはちょっとハマりました。

それから、これは上でも言っていますが、ヒロインのビジュアルが素敵です。あおじるさん大好き。
性格もかなり可愛い。

立ち絵が豊富。いくつかの表情を連続表示して感情の推移を見せようとしている演出も良かった。

他にも、主人公は最低野郎ですが、キャラ同士の掛け合いなんかは結構楽しかったりします。
主人公が最低であることについても作中で触れられているので、この性格付けはコレで成功していると言えるかも。


以下、ヒロイン毎の感想。

夏希
正統派幼馴染ヒロイン。正統派すぎてちょっとキャラ的には弱い気もする。
しかしながら、流石と言うか御苑生メイさんの演技は安定して上手い。素晴らしい。
中身だけ幼児化とか主人公夏希化とかがお気に入り。
あと、両想いである事をお互い確認し合うシーンは良かったと思う。

香織
自分は特別巨乳好きと言う訳ではないと思うが、この娘はほんとに良かった。
あの見た目の柔らかさと、ぽやぽや~っとした性格が実に良くマッチ。ヒマリさんもベストチョイス。
こんな娘の処女喪失をあんな酷いプレイでやった主人公には殺意が沸いた。
ヌキゲー故に致し方なし・・・か?
視聴者の記憶が消されている事はちゃんと香織にも伝わっているのだろうか?
そうでない上で付き合いだしたのなら、香織不憫すぎるし主人公は屑すぎる。


見た目クールで本性エロというのは良いですね。しかもそんな娘が主人公ラブラブなのだから
素晴らしい。淫語の内容もエロイし、主人公一筋的な台詞も一杯で大満足。
ヒロインの中で唯一、ちゃんと好かれている事を自覚した上で処女を奪うし、
基本的に彼女が喜ぶプレイしかしない(凛がエロイからというのもあるが)ため、
このルートの主人公が一番まともに見える。
本音しか言えなくなるプレイと、超巨根挿入プレイがお気に入り。
さくらとの入れ替えは、凛の方も本当の兄妹だと思い込んでたら面白かったかも。


本編中のキャラ自体は悪くないんだけどね。こういうサバサバした性格は好きだし。
でも、最後の最後までイチャラブにならないのが残念。
何より、凛が主人公の事好きなのを知った上で処女を奪って見せたのが悪印象過ぎる。
ハーレムルートの出来事自体は本編と切り離す事で割り切れるとしても、
「こいつこんな事する奴だったのか・・・」という、キャラに根付いたイメージは拭えないもので・・・。
ただ、妹化のHシーンだけはマジで神。自分が妹スキーであることを差し引いてもアレは可愛いと思う。

さくら
もう すっっっっっっげーー可愛いっ! 見た目も性格も最高!
ただのツンデレではなく、「好きなのに、嫌悪する感情も本当にある」というのが凄く良い。
「兄が嫌いだと本気で思い込んでいるのに、兄に恋人ができるとヤキモキしちゃう。」
「Hな事が大嫌い、兄の事も大嫌いなハズなのに、兄とのHは気持ちいいし、どこか受け入れてしまっている。」
「Hする兄を本気で罵りながらも、兄が自分以外とHするのを嫌がる。」
などなど。
そして、そんな矛盾する自分の感情に戸惑って見せたり、
頑なに押し込めている本音が思わぬところで露出したりする。
「過去の出来事によるショックから、Hな事、及び兄の事が大嫌いだと自分でも思い込んでいるが、
心の底では今も兄の事が大好き」
という設定付けが、上の様な状況を生み出している。これは凄く上手い、萌える設定だと思いました。
惜しむ点を一つ上げるなら、お互い素直になった上でのHシーンがルートの最終盤でしかないこと。
もっとお互い好き好き言いながらイチャラブするシーンがいっぱい欲しかった。

オヤジー
ハーレムルートで打ちひしがれたので、恩返しは未プレイ。
本編中での性格は、受け入れられる人と受け付けない人とで評価が大きく分かれそう。
個人的には、あの喋りは結構好き。


こんなところかな。
ハッキリ言って、80点中の65点分くらい、さくらの可愛らしさが占めています。
購入の指標にはなり得ない無駄なレビューですねコレ。
ともかく、「非陵辱でお手軽で抜ける」ゲームがしたいなら選考の価値有り。主人公の酷さとかを許容できる人向け。

僕個人としては、あおじるさんのラブエロというだけでも大満足でしたけどね。

後、ハーレムルート以外でも、いわゆる「処占」を気にする方は回避推奨です。
姉ちゃんがクラスメイトの男子諸君にマンコじっくり見られたり、香織が不特定多数の人間に乳搾られたりします。
共に本人のルートで回避不可。