序盤と終盤がない中盤だけのような作品.始まりも終わりも不自然.細かいところで良い部分もあったのだが…
このシナリオを簡単に言えば,沈んでいる主人公とヒロインが前に進む希望を見出すといったものである.これからも明らかのように,このストーリーの要は最初の主人公とヒロインの心理状態と前に向かおうしたきっかけである.
しかし,これら2つの要の描写が不十分であったため,何も描けてないようなシナリオに感じた.
まず心理状態に関してだが,このシナリオでは心理の変化を題材にしているため主人公の最初の心理状態を判るようにしておく必要があるだろう.しかし,この作品では最初から主人公が沈んでいる状態でスタートする.もちろん何故そうなのかという簡単な説明はある.が,主人公の状態はそう頻繁に起きるものではないため,説明されたからといって簡単に感情理解できるようなものでない.そのため,始めからプレイヤは置いていかれる状態となる.文章の説明だけで済まさずに,過程まで細かく書くべきだったと思う.
次に希望を見出すきっかけに関してだが,このきっかけが思いつき程度のものが多く,「一時的で終わってしまうのではないか」と感じるものが多い.そのため,「最終的に幸せになりました」と言われても,一時的な幸せに思え,説得力がない.
ところどころの展開でなるほどと思うところはあったのだが,肝心なところが抜けているためシナリオ全体での印象が悪い.もっと丁寧に描けば,それなりのものになっていたと思うのだが.