タイトル通りの伏線を張りまくった良作。絵で敬遠されたりしてるのがもったいないと思う
それは舞い散る桜のように以降の王氏のシナリオとテキストは相変わらず面白い。とくにテキストのギャグが上手い。ただ序盤はシナリオ上そういった良さが少なく暗いのでその辺りを普通に読めれば後は楽しいと思う。評価はわかれるが個人的に渡らないさんよりメンヘラ京の方が、いろいろとシナリオ的に冒険をしており興味深く楽しかった。この辺りは最終ルートでよくわかる。
千歳シナリオからは王節が炸裂。たまひよとの掛け合いはさすがと言える出来。周りのアレキサンダーの住人もしっかり個性を持った人間として書かれている。何より凄いのがギャグの多さ。どれだけネタをストックしてるんだよ、と。王道ストーリーのお手本とも言えるシナリオだった。
隼人ルートから段々物語の核心に近づいていき、さらに面白くなってくる。主人公が多重人格であることもこの辺りではっきりわかるようになってくる。プロットの上手さが目立つ。もちろんギャグも面白い。後半はシリアスだが、仲間の大切を書いてありとても好感が持てる。隼人は制限付きの時間の中、あれだけの人間に慕われたりからかわれたりして一番好きなキャラだった。しかもツンデレ。
カルラのルートはひたすら電波。それが面白い人には受けると思った。奈落の底でのよーじも完全電波放送。
最後ルート。ついに主人公はそれぞれの自我を統一して、自分と現実と向き合うことになる。前半の学園でのやりとりやアレキサンダーのやりとりや夜の街でのやりとりは面白すぎて終始笑いっぱなしだった。ここまでのギャグを書ける人は王氏くらいのものではないだろうか。後半から事実を明らかにしていく。シリアス展開で、最後は妹の小鳩と一緒に難関を乗り越え行く。
全体を見るととてもよくできたゲームだった。何より人物というよりキャラの設定が秀逸。それを生かしたギャグとテキストがこれほど面白いゲームは少ないと思う。ボリュームがかなり多めだが気にならなかった。シナリオの面白さはボリュームと反比例する傾向があるがシナリオ重視の良作と言われるゲームはこういうことが少ない。
BGMも豊富で絵も個人的には問題なかった。