いろいろと敬遠していたけど、それなりに面白かった。主人公たちのトラウマと特殊な環境がテーマになっていて、時間に余裕があれば楽しめると思う。
体験版をやったときは、あまりにもテンプレ通りのパターンシナリオで、噂ほどのストーリーではないと思っていた。
しかし時間ができてやってみると意外とよくできたゲームだった。
最後のエンディングテーマで全部許せてしまうくらい。
ただし共通ルートのヒロインたちとのやりとりや、主人公の性格許せるかによる。
最初は筆者もあざとすぎて、とても相容れないと思った。昔のWin95までのエロゲの尊大な主人公と言う感じだった。しかも劣化版。
でも、プレイするごとにギャグなども許せるようになってきた。後半の各ルートはシリアスで、マキナルート、雨音ルート、みちる、幸、由美子の順で面白かった。
他は可もなく不可もなくと言った感じ。どれも上手くまとまっており、幸と由美子ルートだけイマイチだったと思うがそれも許せるレベルで面白かった。
特にマキナ、雨音、みちるルートはよくできており楽しめることができた。
個人的にはこれで完結しているので続編は出さない方が良いと思う。姉絡みのシナリオが出ると思うが、地雷になりかねない。謎は謎のほうが面白いというのもなる。メーカーの都合もあるだろうから出たらプレイしてしまうのかも知れないが。
マキナ : 最後のスナイパー繋がりが上手くできてると思った。主人公の姉の能力も持っているので整合性も取れていて違和感もなかった。マキナを守る主人公も共通ルートのイミフ主人公というレッテルも、ちゃんとこれまでの過去を書いており上手く回収している。最後のシーンはよくできている。バッドエンドもグッドエンドも作者が伝えたかった主人公のハードボイルドさを上手く生かせている。キャラもしっかりしており不思議とウザさを感じさせなかった。
雨音 : 主人公の姉のことがよくわかり、これも過去の背景が上手く生かせていると思った。どのルートでも天才の姉のことは出てくるが、一番深く突っ込んでシナリオを展開している。人間の汚さや原始的なことを書いてるので面白かった。最後のエンドはよくまとめている。人生を絡めたエンドは好きなので好感が持てた。
みちる : ある意味、一番共通ルートにからんでいるルート。人によってはみちるの事情を知ってしまうと共通ルートまで重く感じてしまう可能性もあるので、一番最後にこのルートをプレイするのがいいのかも知れない。多重人格ものでも「記憶する心臓」について書いているのが、すごく良かった。この手のものは幼児虐待事件などのトラウマを扱っているのがほとんどなのに、移植手術による人格転移はとても新鮮だった。
最後のまとめもきちんと伝えたいテーマが書かれている。なぜ生きるのか、自分とはなんなのか。人によっては一番いいシナリオなのではないだろうか。
キャラも一番良い。王道キャラだけどそうじゃない。一番現実に近いキャラ。もともと人が作るキャラというのはどこかが破綻しているもの。ニーズに合わせたものや奇抜さを人の理想を狙って作られたものがほとんどだからだ。しかし、本当にみちるが現実なキャラだとしたら、あそこまで心身的に無理をしてるのが、むしろ普通だと思うからだ。
エンディングテーマも異色でとても良かった。書いてて思ったんだけど、みちるルートが一番よかったように思えてきた。
幸と由美子については普通のシナリオレベルだと思った。トラウマと特殊環境をよく表せている。ただ他のルート比べると弱い。でも普通に楽しめると思う。
幸はキャラとしては一番好き。共通ルートだけ限れば一番良かったのは幸。
最初に書いたとおり、時間が許せば良いゲームだと思う。もう少し削っていれば85以上はつけてたと思う。