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yosh10さんの素晴らしき日々 ~不連続存在~の長文感想

ユーザー
yosh10
ゲーム
素晴らしき日々 ~不連続存在~
ブランド
ケロQ
得点
90
参照数
554

一言コメント

混沌とした読ませるゲーム

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

過去のゲームを思い出してレビューしてます。ネタバレ満載です。

 序盤は謎な雰囲気がよく、プレイし続けて楽しかった。口コミで知ったので過度な期待をもってなかったのも良かったと思う。ただし評価は分かれているように合わない人にはとことん合わないと思う。

 伏線を置いておいて、各賞をプレイするごとに主人公の本質が明らかになっていくというのは、俺たちに翼はないと同じ手法だが、鬱やグロ、いじめ描写があるのが大きな違い。いろいろな事に挑戦している面白い作品だった。主人公だけの視点ではなく他のキャラの視点もあるのがとても良かった。

 時折出てくる、グザーヌスやシラノなどという数学・哲学・叙情詩の話をきちんと物語とリンクさせていてとても楽しめた。ざくろ視点での1=0.999…の話などはアカデミックの基礎だが、それを上手いこと主人公達の会話の中に乗せている。実際ざくろに説明する主人公の姿はとても格好よかった。ざくろが友達を救うためにシラノの叙事詩を使い自分を奮い立たせるところも可愛い。

 救世主様の話での意識の中の葛藤は説明の付かない部分もあるが、それ以上に引き込まれるものがあった。

 最後の主人公の考え方はとても面白く考えさせてくれた。彼は事実上、少年犯罪者であるが精神鑑定があるため犯罪者ではなくマスコミや世間の風当たりをまったく気にしていない。実際、神戸の少年犯罪のように写真などもばらまかれ、社会で彼を待っているのは苦悩すると思われるが本人にはそれ以上の経験に裏打ちされた自信があるので、彼は意に返さなく、むしろ記者に自分の本質や社会の本質に対して自分の意見を語り始める。

 こういう描写は社会と主人公のどっちが悪者なのかを考える上でもとても楽しかった。

 萌え要素などは少ないがそれぞれのキャラが個性を持っているので、どのルートも楽しく読めた。

 萌えやエロも普通に満足できるレベルだった。由岐が一番好きなキャラだった。
 エロは陵辱などがあるからイヤな人は避けるべきだろう。