この場所のおかげで偶然か必然かで辿り着くことができた、まさに夢見鳥学園のような作品。以前からこの場所で自分と同じような評価をする方が評価をしていたのでやってみようと思っていた作品だったができなかったが、予想以上に良かった。
まず、このeogescapeというサイトのおかげでこのゲームをプレイできたことを感謝します。
このライターは以前から気になっていたが、前回の作品は途中までしかできなくて、天使の羽を踏まないでも意外と面白かったので、一気にプレイした見た。
ループものとして非情に優秀だと思う。テーマとメッセージをよく伝えている。シナリオもかなり優秀。
過去に戻れたとしても、もうそこは過去ではなく未来の延長線上ではなく、ありえない仮定であり、仮にできたとしても同じ人生以上のものは決して送れないだろう。
そして友人や家族といった絆を通して、二度と送れなかったであろう人生を上手く書いている点が良かった。モチーフの芸術という点も良い。
芸術に関する学術機関はやまほど世界にあるが、こういう設定のものでここまで高水準のものはなかなかお目にかかれないと思う。
クラスで秋という季節を芸術作品として再現できてしまう不思議な世界観と、その謎についてしっかり描写している。
それぞれのキャラ、というより人物の過去や背景も。これはただのエロゲじゃない。
まあ実際エロはかなり薄いし。ただシナリオ好きの人には多受けするかも知れないが、そうでない人には地雷になるかも知れない。
いくつも良かったエピソードがあるが、印象に残ったもの。
・2週目のそれぞれの想いと人物が消えていくシーン。本当に自分が世界から消える時、自分は何をするのか。痛みがあっても人を思いやれるのか。
・アララギのひよに対する嫉妬と憧れの揺り動くシーン。上手く心情を書いてる。
・青姉妹とひよの確執のシーン。ひよの過去のしがらみやトラウマから立ち上がる勇気。これは凄くリアルで上手かった。トラウマとは人から見たら些細な事でもその人にとっては人生そのものであって、他人が本人にとやかく簡単に言えたり説教できたりするものではない。他の人物の過去の話にしてもそう。
それをわかりながら、人は人を救うことができることを丁寧に書いているのが非情に好感。
・最後の若との会話で笹が若を説得するシーン。若は世界の支配者でありながら、それほどの万能の神でありながらも、決して秋という題材を再現できなかったこと。
他にも青ねえとの面白ラブコメとかも随所にあったり面白かった。全体的に姉さんがシナリオ中の会話を面白みのあるものにしている。この人がいなくては面白さも半減してしまうだろう。ある意味隠れ姉ゲーと呼べるかも。
それにしてもこのライターの博識度は半端ない。ただの豆知識と言えばそうなんだが、それを上手く生かせてるからこう言った深みのあるシナリオが書けるのだろう。すっかり、このライターのファンになってしまった。
天使の羽を踏まないでに書くべきなのだろうけど、次回作も期待している。