やりたいことはわかるが、内包する二つの要素が食い合って地味な印象
まず、パッと見でどんなゲームかいまいちわからない。
プレイし終わったいまも、どんな話だったか?
と言われると形容に困ってしまう。
簡単にまとめると、主人公(女、メンヘラ気質)が登場人物とのセックスを経て、
人間的成長を果たす話、でいいと思う。
実際そういうのがやりたかった、みたいなことがスタッフコメントのシナリオ代表の話にあった。
乙女ゲーのような雰囲気もありで、
これだけ取れば女性向けのエロゲ、で完結するんですが。
ただ、もう一つクローズアップというか、要注意?
すべきなのが、作中で頻出(というか、メイン)するマニアックなエロシチュエーション。
いきなり主人公の処女を奪うツリ目イケメンはアナルセックスやら鼻フックフェラ、
ルートによっては乳首にピアスを要求するし、
黒幕臭する白衣メガネもなんやかやひどいことしてた気がする。
ショタ?というか、主人公以外で女的な要素がある子はショタみたいなふたなりで、
(主人公がショタに)足コキとか足舐めながらオナニー見せ合いとかあった。
そういうのが全部、凌辱ではなく、
主人公の、私はいじめられるべき存在…みたいないじけた気持ちと、
被虐欲求とミックスされて、和姦というか、やたらラブラブな感じで行われる。
…この二つの要素が、たぶん制作サイドがどっちもやりたかったことなんだろうけど、
食い合わせがすごく悪いと思う。
女性向けのエロで、ヒロインが鼻フックされて必死にフェラする絵が求められると思わない…。
かといって男性向けのヌキゲーなのかというと、
そこは前述したようなヒロインの欲求や心理描写が邪魔をして、
凌辱、調教ものとしては成り立たない。
…逆に言えば、マゾなヒロインの心の声がたっぷり入ったHが好きな人にはたまらないでしょう。
そのへん、どこに向けて発信しているのかいまいちよくわかんなかった。
でも、不愉快ではなかった。退屈ではなかった。
長さもちょうどよくて、ルートも攻略対象3人で完全に分岐する。
てきぱき楽しめたし、振り返って個体で観賞する分にはHも一つ一つ丁寧に描写してある。
なんだか妙にくすんだ印象と言うか、惜しいなあ、という感じ。
最後、あの家が焼け落ちてしまうところで、
こみあげる何かがあった。
同人作品でこういう発見が出来ると、なんだか嬉しくなる。
システムは軽いし上出来。
ボーカル曲が音楽鑑賞で聴けないのが残念。
BGMや背景素材なんかもこの作品のために全部作ったよう。
ボイスもフルボイスで、特に主人公役のヒマリさんのフェラ音は素晴らしかった。
男性声優の声はHのときは気恥ずかしいが、
全員演技には問題なかったと思う。
眼鏡の人の叫び声は結構びびるがw
ここまで書いてみて、やっぱりどんなゲームか、
どんな人にお勧めしたいかと言われるとやっぱりわからないけど、
狙い澄ました感動ものとはまた違う、純粋な「想いのかたまり」を持っている気がしたので、
これからも頑張ってほしい次第。
「次回作はレイプものです!」ってブログに書いてあったけど、どうなるのか。