確かにエロいのだが、それが、抜ける!と直結しないのがこの作品の味であり短所であり・・・。
批評空間を見てみたら、この作品や他のスタジオカメの嘘屋てんてー作品に「女神スレみたいな気持ち悪さがある」とコメントしている方がいて、喉のつかえがポポーンとれたような気分になった。そうだ。それだ。
そしてその気持ち悪さがこの作品一番の味なのだ…。
登場する四人、まっつぃ、すっきゃ、よしのん、なかうー…こんな馬鹿げた、チェーン店をもじった、あだ名というより「源氏名」でお互い呼びあい、肉欲のままにひた走る中学生たち(高校生かと思ったけどいっこ下の学校なんだね~?というやりとりがある)
と、ヤリ役……一晩の楽しみを求めてびっちンビーチにやってくる男たちには、思いやりも心のつながりもない。
お互いを理解しようと言う歩み寄りはそもそも不要なものだ。
「ワタシはえっちのときはマグロなんだ」
「そっかあ~、なかうーちゃんはマグロなんだ~無表情萌え~」。
これである。
前にpin-pointの「輪姦媚薬中毒」の感想でも書いたけど、
ロープライスの抜きゲーというのはゲームと言うよりはAVみたいなオカズ用品と化していることがよくある。
が、(何度も比較して申し訳ないんですけど)それでも「輪姦媚薬中毒」は主人公の一人称で進行するため、
ユーザーはある程度ゲーム内の、主人公やヒロインの心情や次に起こるであろうことを予想できる。
予想した上で任意のペースで進められるのだ。
……このびっちンびーちは、誰のものかもわからない三人称で進行する。
もうこれは絶対故意に、意図してやっていると思うが、
ユーザーは最初から最後まで置いてけぼりである。
女も男もゾロゾロいるが誰一人ユーザーへの媚び、歩み寄りはしない。
そこにあるのは肉欲だけ!さあハメ合うのだ!!
そうなると完全にAVで、ユーザーにできることはひとまず眺めて勃起したら好きなタイミングで抜くことのみ。
が、で……一番重要なところ、「抜けたのですか?」と聞かれると……ウーーーン?!
確かにエロかった。
最近の嘘屋作品に顕著な漫符使いまくり(ハートマークや★、♪ならまだ可愛い方で、絵文字みたいなアセアセマークだの動くハートマークだのが多発する)のテキストは正直うっとうしいと感じた部分もあったけれど、
若い肉欲がはじけてぐちゃぐちゃ混じりあい、ハメながら無邪気に下品なことをくっちゃべって笑い合うシーンは低俗な卑猥さに満ちていた。
男「ねえねえみんな普段はレズったりするの~?」
なかうー「望んではしないな」
すっきゃ「レズるのは腹が減ってオヤジに飯をおごってもらった時とかだなぁ」
なかうー「おやじはうまい店を知ってるから腹ごなしにはぴったりなんだ。お礼にハメる。でもな、オヤジはテクはいいのだが回復力がなぁ」
すっきゃ「そういうとき、まだ物足りないな~ってときに目の前でレズって元気だしてもらうってわけ」
ああ僕こういうの大好き。
ところどころ「おっ……」「おおっ……」となる箇所はあったものの、これで抜こう!という気にはなれなかったっていうね。
勃起させたいと思わなかったし、このまま抜けるくらいエロいペースを維持してくれ!とも思わなかった。
最初からクライマックス、最高潮のペースを維持したままだったので、落差によるエロスというのもない。
最初のエロシーンが肌に合わないようであれば(それがズーーッと続くので)実用はあきらめて、若い子のしょうもない猥談を楽しむおじちゃんの気持ちになるしかないです。
そして自分は今のところ、このおじちゃんの気持ちにさせてくれるゲームというのを、嘘屋作品と…あと最近だとアウトバーンさんのギャル物もなかなか…くらいしか知らないので、
そこは貴重で、容易に否定はしたくない。
使えない!の一言で蹴ってしまうのはあまりにもったいない。
だが……このおじちゃん心と即勃起できる要素を両立させられる可能性っていうのも、あんまり期待できない気がするんだよなぁ……。
ううん。一様に否定できない抜けなさ。人生ってむずかしい。
一番のお気に入りはすっきゃかな。「レイプ(逆転)願望のある格闘女子」というネタは、嘘屋先生の作品ではわりとみかけるか。欲望に正直で可愛いぞ。