話が決してつまらない訳ではないが、どうしようもなく話が短い。
決してつまらない訳ではない。
ソ連で輝かしい業績を残した軍曹、某フル〇タのような主人公が奥地の軍で好き放題活躍するという話である。
サブヒロインそれぞれに個性や重要なキーワードが連なっており、各章でそれぞれを知ることによって本筋の結末を迎えるというものである。
しかしあまりにもと言う程に、2√しかない上にメインヒロインとの関わりが少ない。
カーナ√では、目の敵にしてきた軍の敵であるVFBのエースパイロットことカーナが、捕虜として軍に拉致される。
しかし何故か、主人公がこのカーナに惚れ、いわゆる主人公たちのいる支店から本店に移送されることが決定し、それを阻止するため主人公が単独で暴れまわり自軍に反逆し、サブヒロインや上官各々に逆らいカーナを脱出させるという過程になっている。
最悪なのが、なぜカーナに惚れたのか説明が無く、カーナとのイベントがエッチ以外に何も無いことである。
「軍人は上官に絶対服従」「自分は軍人気質だから奥地のパートシフトに慣れない」的なことを散々息巻いていたくせに、女に惚れこんだという理由で仲間を皆半殺しにカーナを救っている。しかし、なぜカーナに惚れたのかという説明がない。またイベントもなく、カーナから自分がどういう人間かという説明もない。
これはもう、主人公が狂気に走ったように見えて仕方ない。
加えて、カーナは自分の意志でVFBに何時でも戻ることが出来るという発言を繰り返していたのに全く戻れず連行されそうになり、もっといえばカーナ専用機のはずである白虎の新型GIGASがカーナが乗っていない状態でラスボスで登場するという、これらの出来事へ一切の説明がない。
これでは、VFBとは何だったのか、白虎とは何だったのかと思えて仕方がなくなってしまう。
さらにテレジア√も、全体の15%がカーナ√と変わるだけで、基本は全く一緒である。
そしてやはり、最後戦ったテレジアがなぜ消失したのかや、テレジアがなぜ主人公に惚れるのかという説明は一切ない。また、准将から見なかったことにしろと言われた軍事機密を即日で少佐に報告し、少佐が釈放した主人公とステイ様が即日でハッキングを仕掛けるなど、そしてあろうことか准将は何も監視をつけず放置するなど、もう少し丁寧に書けなかったのかと思うほどスピーディーに話が進んでいく。
そのため話自体は面白いのだが、急展開で突っ込みところが色々わいてしまい、残念ながら出来損ないのイメージが出来てしまう。
またノーマルエンドでは、黒幕ジャハナム社の作った巨大ロボやVFBの新型GIGASと戦い、これは真剣に本当に「俺たちの戦いはこれからだ!」で幕を下ろす。
せめてエロゲなのだから、レベッカをヒロインに持ってきて後日談を挟むなり出来なかったのかと言いたくて仕方ない。
なぜこれほど中途半端に終わったのか、イベントを用意出来なかったのか、BF(バルドフォース)の後発なのだから、資金は用意出来たのではないだろうか。
そしてまた最悪なのが、WIKIを見るとコンシューマではレベッカがちゃっかりメインヒロインに昇格しているという。
いや待ってくれよと、なぜ完全版でメインに昇格出来なかったヒロインが、どうしてあっさりコンシューマでメインを飾っているのかと。
考えてみれば原作をプレイした人間が追加要素のないコンシューマを買う必要がないのだから、追加要素があるのはわかるが、レベッカのような魅力的なサブヒロインを攻略させないに飽き足らず、メインヒロイン二人との話も満足に完成出来なかったこの完全版には、非常に強い疑問を覚えて仕方ない。
もっといえば、OPで制作陣がローマ字表記で公開され、原画主題歌ムービー制作声優陣の順番で表記されるが、そこにシナリオライターの表記はない。当時のCMムービーにもなく、意図的に公開しなかったように思えて仕方ない。
付け加えるとムービーに"What is truth?"と表記されているが、本作では真実が分からない仕組みになっている。なぜなら真実があまり書かれていないようだからである。
――それでも物語自体がつまらないわけではない。
ステイ様や少佐ら魅力的な男登場人物に加え、泥棒猫!泥棒兎!とがなりたてるかわいいサブヒロインことレベッカもいる。
黒幕の正体やそこへ立ち向かうラストの展開など、燃えるものもある。
実際、ネタ作品としてみるなら非常に面白い。
キャラも立っているし、迫真のムービー(OPもCMも)が用意されているし、ラスボスもわかりやすくラスボス感を出している。
だが、あまりにもどうしようもなく中身が少なく、当時バルドフォースの後発で出たこれが戯画マイン扱いされることも仕方ないことに思える。
しかし、チームバルドがかかわっていないというのは良く分からない。
戦闘面やシステム面は出来が良く、難度を下げたように感じたが、やり込み要素もはまる人ははまるだろう。
主題歌を含めシナリオ以外はかなり良い感じだが、シナリオに期待するとつまらない訳ではないが期待外れと言わざるを得なくなる。
ついでに自分のwindows10では、ディスクを入れても認識されず起動しなかった。
おそらくregファイルが原因だと思われるが、旧式のパソコンを押し入れから取り出すことになった。
まぁ10対応用には作られていないので、仕方ないといえば仕方ない。
しかし今見たらグラフィックの色数の問題もあるらしいので、とにかく新しいパソコンでは動かないことを覚悟した方が良いだろう。
また、ネタゲーとしては最高レベルであることも書いておく。
話がどうしようもなく短く完結していないことも明らかだが、プレイすればこのゲームの魅力に気付けるはず。
特にavenewの挿入歌「emit」はラスボスの曲としてはシリーズ随一だろう。
Why did you suddenly disappear? ああ、未完なのだな。
なぜなら姿を消す場面などないのだから。