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yamatsubameさんのパルフェリメイクの長文感想

ユーザー
yamatsubame
ゲーム
パルフェリメイク
ブランド
戯画
得点
97
参照数
2735

一言コメント

追加シナリオはない。曲は変わらない。新要素はCGだけ、システムに斬新なものが入ってるわけでもないし中身は原作のまま。原作を忠実にアニメ化するようなもので、リメイクして何が変わったのってCGしか変わってない。……それでも、シナリオがすごく好きです。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

 正直、原作と何も変わらない。
 追加シナリオがないのだから当然話の流れは原作と同じだし、CGが変わったとはいえ原作にあるCGを綺麗に直したようで多分完全新規の追加CGはないと思われる(もちろん全て書き直されてはいるが)。主題歌はリフチケだし攻略の分岐点も変わらないし、リメイクしたお得感があまりないのも事実。資金回収のために名作をリメイクしただけとも勘ぐってしまう。
 ただ、唯一リメイクで良いことがあったといえば、里伽子とカトレア以外はどうにも魅力が足りなかったところ、そこをCGを改めることで改善を図ってきたのは、プラスの要素だと思われる。
 原作を傑作とする人にとっては満足できる。むしろ、原作の雰囲気を壊さないように作ったっていう意図を強く感じるが……正直シナリオの追加要素が欲しいと思わなくもない物足りなさがあることは否めない。

【シナリオ】
 やっぱり里伽子シナリオが素晴らしい、素晴らしすぎる。
 前半のクールな態度や隠し切れない愛情が全て伏線になっている。
 なぜファミーユに復帰しないのか、大好きな仁を誘えないのか、消しゴムを拾うために机を蹴り飛ばしてしまうのか……。
 一見、ポーカーフェイスに見え、感情の起伏に乏しいロボットのような人間と思わせておきながら……クリスマスに迎えるふたりの分岐点伏線回収で、全てが明らかになる真相。
 絶対に仁には隠しておきたい秘密、なぜ仁にだけは知られたくないのか、それでも秘密を知られたくないのに仁から離れられず……前半でポーカーフェイスな一面を持ってきて、実は胸の内に作中、最も情の熱い感情と複雑な思いを抱えていた……そのギャップにたまらなく惹かれるのである。
 よってクリスマス(イブ)のシーンは揺るがない名シーンだし、こんなキャラ二度と出てこないよっていうぐらい素晴らしいという他ない。
 
 結局、このゲームは里伽子さんのシナリオで持ってるような部分は否めないと思う。
 リメイクしたのがよかったのではなく、単純に原作込みでパルフェが良い作品だからというのもあるが、このゲームはリメイクされてよかった。
 キャラはカトレアの方が好きだけど、シナリオ見てしまうとやはり……里佳子の方が良いと思ってしまわざるをえない。
 そしてさらに……丸戸史朗にはもう一回、エロゲに帰って来て欲しいという気持ちは、このゲームを通すとそう思わざるをえない……。
 当時初見の時は周りが絶賛すぎて卑屈に捉えてしまったが……改めてやると神ゲーだとわかってしまう。


 正直、すごく衝撃的だった。
「泊めてって言われたらわたし、断れないよ?」
 仁がキスしてごめんと言ったあとの、「なにが?」
 ……センス高すぎないか?と思って、言葉でうまくまとめることが出来ない。
 里伽子がどれだけその言葉を待っているのか、聞きたいのか、あれだけクールな態度を取りつつ、本当は仁が好きでしかたがないという隠し切れない愛情が、その可憐さをどう形容すればいいのか分からない。
 だたひとつ言えることがあるとすれば、里伽子が最高だということだ……。