正義が悪を倒すガキ思想の突進バカを好きにならなければならない。分岐型のギャルゲだと思っていたが、98%分岐はなく天宮さくらが中心に居座っている。
帝国華撃団負けろッッッ、そう思ったユーザーは自分だけではないはず。
なぜそんなことを思うのか、答えはこの物語にある。
この物語のヒロイン(天宮さくら)は、剣の才能を極めて他国のエリートパイロットを凌駕する操縦士が、裏では華撃団のトップスターとなって活躍しつつ幼いころに約束を誓ったイケメン?の輝かしい略歴を持つ近所のお兄ちゃんと添い遂げ、全ての夢を叶えるという最強のヒロインである。
……いや、盛り過ぎでしょ?
特に、サクラに理由もなくレイプ行為を働く正義の味方他国パイロットを、何だかんだ主人公が撃退した後、国をバックに予算をかけた力を手に入れ、サクラを強くするための障害的やられやくヒロインが次々にお出ましになる件は、いやどんだけヒロインにしたいんだよというスタッフの意図が見え透いて、物語に集中出来なかった。
某バンナムの声優贔屓ヒロインとは毛色が違うが、ここまで贔屓にされるとさすがに反発したくなる。
なぜ、サクラが?という疑問がついて離れない。
真宮寺さくらを妄信し、その結果真宮寺さくらを理解した様な素振りをみせる。
「憧れは理解から最も遠い感情」という某漫画家の名言をふんだんに無視したキャラの特徴には、某漫画家が本当に原画だけ済ませて撤退しているのかと疑いたくなるほど。
決して、天宮さくらに魅力がない訳ではない。
ただ技解放の呪文が「蒼天に咲く花よ敵を打て」と「蒼天に坐せ氷輪丸」でどっちのキャラを好きになれる呪文かといえば、当然後者だろう。
顔もキズナアイに似ていてパチモン臭いし、何より突進思想が過剰過ぎて、劇場で失敗した過去がありながら「夢は叶う!叶う!叶う!」てお前ニートみたいなこと言うなよという、突っ込みどころが多い。
決して、天宮さくらに、魅力が、ない訳ではない。
3Dを駆使した機敏な動作には可愛いと感じる瞬間もあるし、具体的には言いづらいが魅力はある。
しかし、再三書いている通りごり感が目立ち、ストーリーテイラーが介入していることがチラついて仕方ない、それを我慢することも必要になる。
さらに6話以降はサクラがメインになり続け、このキャラの在り方に疑問を覚えると話が苦痛になる。
プレイヤーはサクラさんのメンヘラ思考を崇め奉るように妄信しなければ、楽しめないゾ☆
さて、ここまでの感想からも分かる通り、自分はこのゲームに対して「否」の感想を持っている。
理由は明確で、キャラクターに魅力がないこととストーリーがつまらないからだ。
アクションなど二の次だ、例えロックオンがない、回復判定が遅い、操作性が不十分で難易度変更すらなくとも、キャラメルについてくるおまけがアクション要素だと思っているから、不満に感じるほどではない。
アクションに致命的な欠点はなく、ストーリーを楽しむためのおまけだと思えば、何も不満を持つ出来ではない。
むしろ3Dでメカを動かしてよく頑張っている。
……エロゲじゃ、バルドぐらいしかこのレベルのアクション作れないしね。
たびたびこのゲームを通して思ったのが、バルドをPS4で出せば売れるんじゃね?ということだ。
ぜひ戯画スタッフには検討して欲しい……。
で、だ、だから問題はストーリーである。
ここは推測だが、紙芝居式のADVと3Dでキャラを動かすのは予算が全く違うのだろう。
このゲームでテキストを載せるには、精緻なキャラの表情とアクションが必要になる。没になったテキストがかなりあるのではないか?
だから、明らかに明らかに明確に、物語の掘り下げが足りていない。
それは序盤の訳もなくレイプする上海どもの動きから思ったが、このゲームではキャラがその行動を取るバックボーンの説明が少なすぎる。
なぜ華撃団にいるのか、なぜ真宮寺の帰る家が劇場なのか、なぜ予算もないのに兵器が出てくるのか、人を雇えるのか、なぜ自分の命より他人の命を優先するのか……。
例え真宮寺に命を救われたと思い込んで天宮さくらが真宮寺を追いかけても、じゃあなんで常に命の危機に晒されているような環境で防衛力もなく田舎に住んでいるのか、突き詰めるとおかしいことだらけである。
その少し突き詰めればおかしいと思うことがありふれ過ぎていて、現実派だったクラリスが後半になるにつれ現実逃避するようなプランを諫めることもなく、結局気合と根性でどうにかなるという脳筋が世界の常識になっている。
これでは、複雑なストーリーや感情を展開出来るはずがない。
仮に、「従来のサクラ大戦がそうなのだから当然今作もそうなる」と言うなら、何も反論出来ない。
しかし、努力は必ず実るという一辺倒な思考が、現代にどこまで通用するというのか。
褒めるべきはセールスのために作られたOPムービーだけだ。
これだけ予算をかけるぐらいなら、いっそ「冴えカノ」の丸戸と「よう実」の衣笠にシナリオをぶん投げればよかった。
例え外注で予算がかかるにしても、この二人にシナリオを託せば間違いない。