RPG面は何も文句はないが、シナリオはひどい。
よく頑張っていると思う、RPG面に関しては。
売り上げの見込めないエロゲ業界で、一般ゲーム会社が作るようなRPGシステムを作る。
これがどれほど難しいことなのか想像がつかない。
エンカウント式で多彩な技を持つ個性豊かなキャラクターが程よいバランスの敵を倒していく、これだけで満点をあげていいと思う。
オート時のキャラが選択する技は舌打ちをするようなことがあったりなかったり、中盤以降の作業感は拭えないが、それでもよくやっている。
実際、かなりRPG面はよかった。
武器はステータスがシンプルでかつ、SRやURなどのランクが振ってあるため分かりやすい。しかも自分の好きなように強化しカスタマイズすることができる。武器だけでなく防御服やら装飾品も同様に強化できる。
スキルはキャラ固有の能力であって効果がそれぞれ異なり、幅が広い。どのキャラを使うか使わないか、考えさせられる仕組みになっている。
パーティーの立ち位置構成もカスタマイズでき、これによってパーティーの能力が変化する。また立ち位置によって受けるダメージが異なるから、相手の属性に合わせてこちらで組むことになり、戦略の幅が広がる。
マップも複数用意されておりプレイ時間も長く、売り逃げにしない姿勢がうかがえる。きちんと一作に魂を込めた作品で、この狭いエロゲ業界でこれだけ完成度の高いRPGを用意されると、もはや脱帽という言葉以外に表現できることはできない。
確かに闘技場のアイテム交換の選択は多少面倒な手続きを必要とする。しかしそれでも、コインを札に換えて金を儲けるというバランス崩壊の如くセコイ策略を取っている以上、その程度の煩雑な作業は受け入れざるを得ない気はした。
むしろ救済措置を用意してくれたゲームバランスに個人的には感謝している。
だからRPG面に関しては、何一つ文句ない。
あくまで個人的な意見だが、シナリオがひどすぎる。。。
ちょっと勘弁してくれよ~という、オナニー感がどーにもまったく最後まで受け付けない。
なにが悪いかって、虐げられていた奴隷が成り上がって王になるという、これが単純に見ていて恥ずかしい。
どうせ奴隷を勝たせるんでしょ?っていう、奴隷設定がいかにも成り上がりオナニーを勝つための道具に見えて仕方がない。
RPGなので、主人公が最終的に「勝つ」のは当たり前である。悪を倒すなり何なりすることは当然で、それは最初からわかっている。逆に、悪を倒さなかったら、RPGとして物語を語る側が、どう話を進めていいのかわからなくなる。プレイ側も混乱する。
しかし、それは了解した上で、プレイ側としては仲間同士の葛藤や、勝てない悪にどう挑んで勝つかというプロセスを見たいのである。
この悪を倒すまでのプロセスこそが、RPGを深くするためのシナリオである。
当然悪を倒すのだが、その過程で「正義とは一体なんなんだ?」という所を悩みたいのである。
奴隷といわれても、何一つピンと来ないのである。
どうせ「成り上がりsugeee」を書きたいだけの意図が見え見えなのである。
このシナリオは、徹頭徹尾、敵が誰で主人公である正義が悪を滅ぼして「俺tueeeeeee」と言っているから、飽き飽きするのだ。
そこで例え悪役が、「俺にも理由があった」みたいなことを言い出しても、RPGというか漫画でも王道であって、使いふるされた展開を垂れ流しているに過ぎず、まったく創作のオリジナル性を感じない。
実際、ぬきたしとかいうゲームからもこれが見え透いて全く受け付けない。
どうせ、どうせでしょ?っていう、じゃあいらないじゃんという。
神採りの頃は、こんなではなかった。
段違いでハラハラしたし、ドキドキもした。
主人公サイドが勝つのは当たり前だったが、主人公には強さだけではない魅力があったし、敵にもオリジナル性があった。
何より、シナリオライターの顔が見えなかった。どういう展開になるのか、最後までわからなかった。
グラセスタは最初から最後まで奴隷が成り上がるという「あいたたたた」なシナリオのせいで、面白いRPG性も藤咲ウサのかわいげなボイスも、全部無駄になった。
全クリをした上で、なぜこのシナリオが受け入れられたのかが納得いかない……。