ErogameScape -エロゲー批評空間-

yamatsubameさんのBALDR BRINGERの長文感想

ユーザー
yamatsubame
ゲーム
BALDR BRINGER
ブランド
戯画
得点
72
参照数
1201

一言コメント

色々な意味で難度が高すぎる。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

 このゲームの真相に辿り着くためには、お馴染みの戦闘用電子体<シュミクラム>を操り敵を倒さなければいい。
 ……それはいいとして、真エンドに辿り着くためには、各エリアに点在するライブラリを集める必要がある。
 ちなみにライブラリを集める必要があると作中には書かれていない。しかし現実として、真エンドに辿り着くにはライブラリを集める必要がある。この時点で不親切極まりない。よしんばノーヒントでそこに気づいたとして、ライブラリは簡単に回収できるものではない。
 ――特に意味不明なのは「バッタの誘導」である。
 いわゆる無人機<ドローン>とよばれるバッタの形をした敵がいる。色々なフィールドに出現するが、あるフィールドでは一体しか存在しない。そこで一体しか存在しない違和感に気づき、それを「倒さず」ある別エリアまで誘導すると、ライブラリを回収できる、ちなみに当然だが、この工程を進めなければライブラリを回収できないので真エンドに辿り着かない。
 ちなみにヒントはある。それがこちら。
 
可…想に…………………………
…違…エリアか………迷い込…
でしま……………………………
……元の住…に帰……やろ……

 穴だらけの文章である。これがゲーム内で提示された唯一のヒントだ。ここから敵ドローンであるバッタを倒さず、元の住んでいたエリアに帰すことで真エンドへの道が開かれるというという……。

 ――誰が分かったんだこれ。そもそも穴だらけのメモがヒントだということに気づいたのも、全て攻略し終わってからだ。もちろんwikiを見た。
 そして他にも、特定の武器でないと壊せない壁や、特定の位置を踏んだ時に発生する超逃げ足の速いドローンを倒さなければならなかったりする。レイ〇ン教授もビックリの謎解きの難度である。
 いや本当に、難度が高い。よほどひとりでクリアさせたくないと見える。


 そして感動すると言われているエリス真エンド√の話だが、これも難度が高い。正直全ては理解出来ていないし、理解するには相当な処理能力が要求される。
 まず前提として、主人公やヒロインは人ではない。
 いわゆる<ワイヤードゴースト>であり、現実世界に肉体は存在せず、ネットの中にのみデータが存在している。
 ……余談になるが、forceの時の真エンドは、結構自分に刺さるEDだった。
 というのも、救ったヒロインに肉体がなく、それを救った結ばれたと表現していいのか分からなかったからだ。
 しかしこのゲームでは、作中を通して人が存在しない。
 作中は、知性体の氷河期と呼ばれており、リアルはアメリカとアフリカ大陸の一部でしか、活動していないのである。
 また、確認できる人類の数は、1千万人のみと言われている。
 この、リアル人間は、作中に登場しない。
 登場するのは、バーチャル人間のみで、敵や仲間や主人公も全てバーチャル人間である。
 ……個人的な考えに過ぎないが、キリギリスを主人公にした物語をどこまで楽しめるかということだ。数多の物語の主人公が人なのは、読者が共感しやすいからである。同じように、バーチャル人間にどこまで共感できるか、という話だ。スカイもオチは人ではなかったが、それを納得するために元データの人間の長い長い追憶を展開させ、感情移入出来る展開になっている。しかしBBの主人公たる不二は、元データのない最初から作られた存在であり、それは機械であって人ではない。
 個人的な考えだが、ゼロは面白かった。本当に個人的な感想に過ぎないが、ゼロの主人公は人らしさがあって好きだった。しかし今回の主人公は、もはや人ではない。
 これを消化するにも難度が高い。だが、仮に飲み込めたとして、いわゆる物語の真相も難度が高いのである。
 真相とは、有機AIが見捨てた世界でミカエルVG(エリス)は人々の幸福を求め最適な回答を割り出そうとするも出来ず、ジャハナムによってエリスは並行世界のエリスを食い物にしていて感覚質を失わないよう努めるが、食い物にされた世界のエリスはダスクが育てたエリスでありダスクはVERTEXの管理者になるも、VERTEXの管理者になると暗い喜びと呼ばれる人の不幸を喜ぶ意識に生まれ変わりエリスや不二の苦しみを望むことになる。当初の目的通りダスクを倒しエリスを管理者に世界を安定させようとするとエリスが暗い喜びに蝕まれ主人公の死を望むことになり、主人公は暗い喜びの原因となっているBALDRJとエリスの繋がりを断ち切るためにをぶん殴って、エリスを暗い喜びから解放するというのが真相だ(恐らくかなりの相違があると思われるが理解処理が出来ない)。
 いうほど感動できるか?と言いたい。どこに感動すればいいのかよく分からなかった。
 ちなみにノーマルエンドは、ヒロインの元データの並行世界へ不二が割込み、幸せに暮らすというもの。

 さらに戦闘の難度も非常に上がったと思う。
 私の基本戦術は、マップ切り替えのタイミングで相手ドローンが硬直するので、そこを武器で殴るという戦略だ。
 しかし、マップ切り替えのないボス戦は限界がある。そこでボス戦は、ひたすらショットガンを打ち込み死んだらリトライを繰り返すという戦術に切り替える。勝てない時は難度を下げる。
 ラスボスはある程度逃げ回ると何故か硬直するので、そのタイミングで仲間ドローンを展開させ、仲間ドローンが着実にゆっくりラスボスのゲージを減らしていくのを、ラスボスが動き出さないかと手に汗握りながら見守り勝った。
 ……ハメ技かごり押しでしか、勝てない。
 これを楽しいと思えるかどうかは別である。
 ちなみにクソうざかったのは、密林のMAPが嫌がらせみたいに繋がっていないのと、同じエリアを行ったり来たりさせられるクエストだ。
 ……長く楽しませたいという増量サービスなのかもしれないが、不要だったなぁ。

 しかもコンフィグが大幅に劣化している。
 なぜか途中セーブできない上、全√叩き出しても戦闘をスキップするコマンドが現れない。
 ヒロインの好感度がMAXじゃないからか?シナリオを吟味するために、戦闘スキップのコマンドは非常に欲しかった。
 そしてなぜ簡易セーブ機能が廃止されているのかも分からない。

 上記のように総じて難度が上がった影響で、不満点は尽きない。
 しかし、最果てのイマのような考察ゲーが好きな人にとっては、たまらないのかもしれない……。
 本当に余談であるが、EDの映像は一部レミ〇センスを流用しているように思えてならない……。

 だが正直、ハートの出来を見てこのゲームが地雷になることは容易に想像がついた。
 今でも思うが、ハートの出来には絶望した。
 新作は新島夕が監修するということで、信じたいが単独ではないしわからない。