ErogameScape -エロゲー批評空間-

xianxianさんの創刻のアテリアルの長文感想

ユーザー
xianxian
ゲーム
創刻のアテリアル
ブランド
エウシュリー
得点
100
参照数
938

一言コメント

カードゲーム要素の入った作品です。エッチシーン数と長さはそこそこで、シナリオも『異世界に飛ばされて異能に目覚めた学生達が戦う』というもので、娯楽性にあふれる大作映画のようなノリで楽しめました。カードゲームのほうは、Mt:Gというよりはアクエリアンエイジのようなキャラクターを中心としたバトルものに近いと感じました。相性はあるでしょうが、ゲームパートはよくできており、ヤリ応えのあるものとなっています。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

個人的にかなり面白く、コンピューターカードゲームとしては高い評価をもう少し得てもいいのではないかと思っています。ただ、私自身の「減点対象にならない」部分が、他の人の「減点対象になる」部分であり、エロゲのメインユーザー層に受けが悪いだろうなと思うところはあります。やや面倒ではあるものの、RPGとカードゲームを融合させてゲームを作ろうと挑戦しており、「戦闘で成長するカード」など通常のカードゲームではできない要素もあって、そこがチャレンジ要素として楽しめました。逆に、だからこそ周回・成長とやることが多いため「やることを色々強要されている」「エッチシーンがなかなか見ることができない」などの不満を持つ人もいるでしょう。そのあたりが荒削りというか、洗練されているとはいえないところもあります。そのために、本来の評価よりやや厳しい目で見られていると思います。今回は、いっそシナリオを捨てて、カードゲームでただ敵を倒し、陵辱なりご褒美Hがあるだけのものでもよかったのではないかと思います。実際、Atoraさんは「Hシーンをそうとう待たされるので、エロゲとしてそれはどうか?」という点をあげられていますし、カードゲームパートを今回の3分の1程度にしてもよかったのではないかと思われます。
あと、どうでもいことですが主人公の性格がちょっとよくないです。ゲーム的都合があるとはいえ、恋人できた後で別のヒロインと関係結んで、「責任取れといわれなくてほっとした」とか内心でつぶやいていて、好きになれない性格です。

予約特典で、アペンド1がHPでアペンド3を公開しています。パーフェクトガイドブックも発売されており、こちらでも追加データが収録されており、追加カードがあります。

「天使・悪魔・人間」の3ルートで成立しています。章ごとの仕立てとなっており、各章ごとにタイトルがつきます。3章までが共通ルートで、4章から各ルートにわかれます。


ユーザーが不満をもちやすいだろう箇所としては、

1) プレイ・周回に時間がかかる。
まず、これでしょう。そもそも、エウシュリーのゲームは1周も時間がかかります。私は、ここの作品やるときは一年くらいかけて遊ぶつもりの気持ちでやっていますが、ふつうは100、200時間こえるゲームを楽しむユーザーは少ないでしょう。Okjさんがその感想の中で、このゲームの改善点であげている「主人公以外もリーダーカードとして使えるようになる」案をだしていますが、これは周回を数回こなした後(100時間先くらい?)には、主人公以外のリーダーカードを合成できるようになり使うことができます。ただし、最初からユーザーが選択できるわけではないので、ユーザーによっては、同じような状態を長時間強制されていると不満に思うのもしかたないとは思います。
 また戦闘をかなりの数こなさないといけないので時間がかかり「飽き」がきやすいかもしれません。個人的には、そういうときは音楽別のものに切り替えて「この戦闘ならこの音楽」みたいにして遊ぶと気分がかわっていいと思います。主題歌もいいですが、私の好みとしては、エウシュリーの過去作やニトロやLiarソフトのゲーム音楽などいろいろ試してみるのがおすすめです。まどかマギカの歌もあいます。ふつうのPOPでも恋愛系の歌だと激しいリズムの曲があるので「殺し愛」みたいなイメージでバトルにあいます。私は、鳴海デッキだとカンノユウキの「theme of,Case of Cursed Blade」やORANGE RANGE「キリキリマイ」あたりが好みです。キリキリマイは音の響きが「斬り・Kill・舞」というイメージがなんとなくあって、刃物系バトルと合うとイメージです。どっちも刃物でスパスパやっているようなイメージがあり、バトルでの興奮が増します。海斗デッキだと「1/3の純情な感情」です。某アニメのEDでなんか走っているイメージと、想いが全然伝わらないというキャライメージで選択です。他に「真っ赤な誓い」とかノリがよくてバトルにあいます。

2) エッチシーンがまたされる
私はゲームパートのバトルのほうで脳内麻薬がドパドパでていて、下手なエッチシーンより性的興奮を感じていたので気にはならなかったのですが、待たされたという気持ちの人が多かったようです。たしかに、外見が可愛い女の子モンスターがいるのですから、バトルで勝つたびごとにエッチシーンがあってもよかったかもしれません。主人公の秀やんは性魔術の能力持ちのようですし、SEXで洗脳する能力もつけてよかったかもしれません。

3)カードゲームパートで使用カードに制限を受ける
私はこれは問題ないと思うのですが、不満に思う人がかなりいるようです。特に、人間ルート5章の沙夜音の固定デッキ戦で不満を持つ人がいるようです。私はどうせマジックあたりでもパーミッションデッキやズアーの運命支配デッキのようなロックデッキ、手札破壊デッキなんかと対戦したら、どっちにしろ使いたいカードを使えないというのはそれなりにあるので、そんなデッキと対戦したとわりきって楽しめましたが、そうでない人の方が多いでしょう。これはデッキ戦闘以外にも特殊戦闘でレベルアップやカード入手に制限があるなどの点もあり、「サクサク経験ためて成長させたい」というRPGゲームに比重を置く人ほど不満がでやすかった点もあるのではないかと思われます。私は、この固定戦は「構築済みデッキ」限定のリミテッド戦と思って、自分が作っていないデッキの練習と構築のアイデア参考のトレーニングのためにあってよかったと思うのですけどね。他に書いている人もいますが、このゲームで敵に勝利するのに手っ取り早い方法は、敵の配下カードをはやめに全滅させ、自軍の展開のはやい配下カードで大量に攻めるウィニーデッキがかなり有効です。そのため、単にクリアするだけなら、そのタイプのデッキと少ないカードだけで最初から最後までやりとおせなくもないです。だからですが、多少効率が悪くても「闘うことを楽しむ」ために違うデッキを作って「遊ぶこと」そのものを目的とするかどうかのゲームに対してのユーザーの姿勢で評価に違いが出るのではないかと思われます。個人的には、使い慣れないデッキを使ったり、デッキ事故で手札から出せるカードがなくて追い込まれたりするのも、ゲームで味わえるスリルとして面白いと思います。残りライフが2とか3とかまでやるギリギリの勝負がカードゲームの醍醐味だと思います。某カードゲームの漫画では「わいのライフがなくなる前に君のライフを0にすれば、わいの勝ちや」という台詞もありましたし、自分が負けるかもしれないという緊張感が脳内麻薬放出する感じで、ゾクゾクして気持ちいいんですけどね。

4)危険種やボス級の敵と頻繁に何度も闘えない
これはやはり改善して欲しいとこです。せっかく強くて、闘うのが楽しい相手と頻繁に戦えないのは残念なので、報酬は無しでいいので、クリア終わったらタイトルから今まで闘ったあらゆる敵と選択して戦えるようにはして欲しかったです。

と、ある程度理性的にここまで書いたので、ここからは感情任せに書きますが、エロ報酬がないとモチべが下がるとか細かいこと考えなくてもいいじゃん、て思うんですよね。そもそも「闘うこと」が楽しいから闘うんであって、バトルの報酬はバトルそのものでいいし、闘った先に手に入る報酬とか後で考えればいいですよね。EX戦闘で厳しくて、なかなか勝てなくても、勝ったら1回しか味わえないのに対して、負けたらギリギリの美味しい相手のとのバトルが2,3回も味わえて楽しめるから、勝って戦いを終わりにするのがもったいないという気分になるんですけどね。敵とたくさん闘えるから、戦って、戦って、また戦えるわけでひたすらバトルをむさぼり食べれるてのはもう快感。キノールラザが「叩き潰せ、踏み潰せ、握り潰せ」とかいっていたけど、バトルはそういうシンプルな考えでやりとりするのがよくて燃える。せっかくだから、「デュエルファイター刃」みたいにライフポイント減ったら擬似的に痛みを感じるようなシステムあったらより燃えるだろうから、いつかそんなシステム開発して欲しいね。カードの収集がバトルで戦ってしか手に入らないけど、力の奪い合いのアンティ賭けて勝負していた頃を思い出していい。ひたすら戦って、カードを集めて自分の欲しいものを手に入れるまで戦うというコレがいい。


(シナリオ)
異世界にとんで異能に目覚めるという話でですが、この異世界は、某カードゲーム風でいうプレインで、悪魔ルートなどで主人公が異世界をわたる能力を身につけており、プレインズウォーカーとして覚醒しています。このルートだと秀やんの二つ名は「荒廃の王」でしょう。ちなみに、エウシュリー作品として関係性があり、この作品できっかけとなった異世界とのやりとりの技術を元に異世界侵攻や融合がおき、科学を失ってファンタジー世界になるようです。だから「創刻」(創まりの刻)の物語なのでしょう。一応、正史は人間ルートらしいですが、どのルートになっても、未来への変化は誤差レベルなのでユーザーごとで変化した正史でも問題ないと思われます。登場キャラでは、まどかのみ異能に目覚めてはいませんが、対戦車ライフルなどを駆使しており、まるでパニッシャーのような強さを誇っています。八葉という空中要塞な巨大飛行機が出てきてイメージがわきにくかったのですが、映画アベンジャーズの空中戦艦をみて映像イメージがなんとなくつかめました。
 この手のパニック要素のシナリオにありがちなことですが、なぜか教師が全滅して、学生しかいないという状況のシナリオ展開です。個人的には、このての展開は無理があるので、妹Sを3人にするより、教師キャラでもいれたほうがシナリオに幅がでたのではないかと思います。
あと、この学校の生徒達がパニックにもならないのはおかしいと感想をもっている人がいますが、この学校の設定が「世界最先端の科学やスポーツなどを扱えるエリートを生み出す学校」なので、学業では、東大・ハーバード、運動ではオリンピックや国体予備軍とかいうレベルであり、危機的状態における行動力は一応の説明がつけなくもないです。

(共通ルート)
序章「真紅の絶海に抱かれて」
第1章「加速する刻、凍てつく獣」
第2章「歪秤世界」
第3章「右手に道化、左手に獅子」

(悪魔ルート)
第4章「堕天の果実に誘われて」
第5章「力への渇望」
第6章「不協和音-饗宴の果てに」
第7章「終末の宮殿」
終章「月下の陣、覇王ノ序曲」

(天使ルート)
第4章「久遠の情に導かれ」
第5章「歪みの焦点」
第6章「『タルダルム』攻略戦」
第7章「宿命決す、現れし凶鳥」
終章「『0』への道標」

(人間ルート)
第4章「狭間に触れた揺り籠で」
第5章「Turning Point」
第6章「混沌の坩堝に生きる者」
第7章「天空を覆う影、其の野望は人知れず」
終章「異なる『旅路』の終着点」


(エウシュリーちゃんルーム)
CG(1461枚)、シーン(63)、BGM34曲(OP.ED含む)、補足説明

(シーン)(個別END含む)(アペンド3までインストール)
・1年(美來7、杏里咲5、シャネル5、3人と4P/1)
・2年(アカリ6、沙夜音6、鴉鳥4)
・3年(まどか5、鳴海6)
・天使(メヒーシャ4、ルファディエル1、ガノエル1)
・悪魔(シェヒラ1、エルンスト1、リターナ1)
・その他(真黄1、真黄と真朱1、母1、ルートED3)
・アペンド3(ティエネー2、ヴァフマー&エルンスト×ラグタス1)

(CG回想)
・1年[美來(12枠/135枚)、杏里咲(11枠/92枚)、シャネル(14枠/114枚)、3人と4P(3枠/19枚)、3人の日常(2枠/23枚)]

・2年[秀治(5枠/22枚),アカリ(18枠/143枚)、沙夜音(15枠/116枚)、とうじろう(1枠/7枚)、鴉鳥(16枠/120枚),海斗(2枠/4枚)]
・3年[(まどか(13枠/105枚)、鳴海(19/173枚)]
・天使[メヒーシャ(17枠/114枚)、ルファディエル(2枠/14枚)、ガノエル(3枠/16枚),ノルファザ(1枠/2枚)]
・悪魔[シェヒラ(3枠/14枚)、エルンスト(5枠/31枚)、リターナ(3枠/13枚)、ギレゼル(2枠/4枚)、キノールラザ(1枠/1枚)、セルベルク(2枠/7枚)]
・その他[乱交(3枠/19枚),真朱(1枠/2枚),真黄(2枠/9枚)、真黄と真朱(2枠/10枚)モブ陵辱(1枠/2枚)、秀治母(4枠/22枚)、秀冶父(1枠/2枚)、モンスター等(5枠/8枚)]
・アペンド1[7枠/19枚]
・アペンド3[ティエネー(4枠/32枚)、ヴァフマーとラグタス(1枠/3枚)、ヴァフマー&エルンスト×ラグタス(3枠/24枚)]


(その他声優)
春河あかり、近江舞、オリヒメヨゾラ、ほしのゆず、藤川遥、しまむらこんぶ、福田光、双美珠理、時亞。