評判は悪いが、個人的には良作だった。作りたいゲームを作っているんだというキャラらしさがあふれたゲームだったので、初期からのファンとしてはある意味で安心しました。最初に5週くらいゲームオーバー覚悟すれば、それなりに楽しめる。爽快感は薄いが、「信長の野望」で忍者をメインで使って遊ぶ縛りプレイをやっているような感覚で、自由度の高さから、だらだらと長時間遊ぶのに適した。ただ、今作は、レイプ描写が少しぬるめになっており、規制の影響を感じさせた。
最初に5回ほどミスってゲームオーバー。その後は時間をかけて300ターンを越え、リアルで24時間を冗談ではなく、ぶっ続けでやりました。キャラらしい、時間を奪う魅力あるゲームでした。もっとも、一周で大体のメインストーリーを見ることが出来るので、「ストーリーを見ること」や「周回でCGコンプ」などを目的にする人間にとっては、周回要素がうすいゲームといえます。ただ、「ゲームをすること・楽しむこと」が目的になっている人間にとっては自由度のたかさから、時間をかけて楽しめる要素があります。
クリアするとおまけのページがひらきます。
「リアル忍者」に参考にしているのか、基本は、ひたすら情報を集めて、敵の攻撃を罠などでしのぎ、集めた情報を元に、敵を暗殺したり、金品強奪などをおこなったりする。
SFCの「信長の野望」で忍者だけを使って遊ぶような縛りプレイした時と印象が被るようなゲームだった。「信長の野望」や「三国志」では、戦争にあまり興味が無く、内政と陰謀系のコマンドばかり実行する私としては、かなりツボにはまるものがありました。まともな戦争がなく、里にひたすら罠をしかけて対応するというのも好みの戦法でした。影に隠れて生きる戦い方で、武士のようなものとは違う、タイトル通りの「忍流(しのびりゅう)」という感じでした。
「忍者」といっても少年漫画にあるような派手な忍法を使っての忍者ものではなく、「草」とか一般人とたいしてかわらない派遣諜報員のようなリアル忍者でした。そんな忍者であることは、ゲーム中にも語られています。
そのためか、バトル的な爽快感、無双感が弱く、そういうのを求める人には楽しめなかったのではないかと思います。小イベントや任務が数多く組み込まれているため、だらだらと終わることなく遊べるメリットがあるりました。開発資金やら期間やらで、足りないところはあるとはいえ、それなりに練りこまれ、バランスがとられている。そのだらだら遊べるのが魅力で、自分のしのびの里を支持する2大名を延々と戦争させるなどが可能で、ユーザーの工夫というか発想で、数種類の遊び方が出来ました。
「姫狩りダンジョンマイスター」のように、ユニット引継ぎやリセットなどが細かく操作できるようはして欲しいなど、もう少し改良して欲しい所はいくつかあったが、十分たのしめた。
今回、ユーザーに不満が多かった点ですが、キャラの前々作のウィザーズクライマーのときにですが、キャラファンの次回に出して欲しいゲーム案で、
・ 周回が容易ですぐ終わるために、時間をかけてだらだら遊べるようなゲームにして欲しい。
・ スキルが多く、主人公が簡単に最強になれるために、戦闘では弱くてギリギリで、油断すればすぐゲームオーバーになるようなゲームが欲しい。
・ エロが主人公に偏って、複数のキャラに増やして欲しい。ワンパターン化しているから、種類を増やしてレズやら複数プレイを増やして欲しい(師弟関係のキャラもいたのだからレズあってもいんじゃない?)
などがあったのを見た記憶がありますから、アンケート葉書に書いて送った人がいて、その結果のゲームバランスになったのではないかと思われます。あと、ファミコン世代からすると、ゲームなんて最初の十回くらいは、ゲームオーバーして体で覚えるものさ、という意識があるからか、あまり難しいとは感じなかったのだけど、最初の数回は、ほんとうにわけがわからない感じで右往左往して終わるから、それも嫌な人には嫌なのかも。
それと、「ランダムすぎる」のが嫌という評価があるようですが、「ランダム性こそがゲーム性」という考え方もあります。
ゲームデザインあたりのはなしになりますが、カードゲームなどが特にそうなのですが、山札から手に入るカードはランダムです。次に何がくるか、どうなるかわからないからこそ、ゲームとして楽しめるという考え方です。一回一回のゲームはランダムで、自分の望んだ通りにはいかなくても、全体の流れの中で望んだ方向に近づけることはできるわけで、
自分のコントロールが効かないじゃじゃ馬をいかにのりこなすかを楽しむのが、麻雀なんかもそうですが、先の予測が出来ない「運要素」「ランダム要素」が含まれる良質のゲームという考えですね。「三国志」なんかもそういう発想があり、そのランダム要素として、「災害」や「戦争」「武将の出現率」などにランダム要素があります。だから。「ランダム要素がある」=「くそゲー」というわけではありません。
もっとも、今のエロゲユーザーの方向性からすると、決まった行動をして、確実に望んだ結果得られないゲームというのは、楽しめない人が多いとは思います。山札をのぞけて、決まった役を作ること、勝つことが楽しい、と感じるような人が多いのこかもしれないです。
この「忍流」の感想でも、「1周でCGやシーン回想が集まるから周回要素は低い」と書いてあったりするように、「ゲーム自体を楽しむ」というよりは「ゲームをした結果手に入るご褒美」に目がいっており「ご褒美がないと、遊ぶ要素は薄い」と判断しているようですから。
なんか、「遊ぶこと」より「コンプリート(結果)」を重視しているみたいで、あんま個人的に好きじゃないです。キャラの人も今のそういう風潮への反発あるから、ランダム要素組み込んできてるのかも?という気はします。「失敗を恐れず挑戦しよう」なんて、おまけでもいってたりしますし、「エロゲは隠れて遊ぶ文化で、高尚なものとして表に出すもんじゃない」とかもいっているし、今のエロゲの方向性に反発意識かなり持っていそうな感じをうけました。
過去のキャラ作品と世界でつながっているらしく、直接的な関係としては、「大陸からわたってきた狐と兎の妖怪」や「水蓮の本名が奥平鈴で、奥平家が忍者の名家(注:「真昼に踊る犯罪者」「ダンシング・クレイジーズ」出演のヒロインの女忍者の名前が奥平鈴)」などで、過去の作品の数百年前あたりが舞台設定のようです。
Hシーンに関しては、キャラらしくて、悪くは無いが、短めのものが複数といういつものパターン。とはいえ、DCのほうでは、レイプして情報を聞き出すというシーンがあったときに、比較的長く作られていた記憶があるのに対して、今回は短く感じました。
せっかくの忍者もので、もっと卑猥でどぎついものもつくれたとは思うのですが、それができていなかったのは少しもったいなかったです。おまけのほうで、「ゲームのキャラにも人権認められるんだってよ」とか「余計な口出しするな」といろいろしゃべっていたので、規制の影響うけて制作に影響でたんだろうなというのが予測できてしまいました。
また、ワンパターン気味のHが多いという反省からか、絵や体位に工夫を凝らそうとしたせいか、少し歪んでいるような気がする絵も今回はあったように感じました。
おまけには、画像鑑賞442枚、場面回想鑑賞125、おまけ話鑑賞41、音楽鑑賞、クイズ、助言があります。
・音楽鑑賞37曲
夜に飛ぶ竜(OP&ED)があり、フルやカラオケVer収録。
クイズに10問答えると、引継ぎユニットが3体増えるので、二周目をやるまえにクイズに答えるといいです。
・場面回想鑑賞125
・全体END3(忍者統一END、久留滝統一END、大名統一END)
・個別END20(水蓮2種、ホタル2種、雪花祭花2種、シルヴィア1、ホーク1、セリーヌ他1、火夜1、桜姫1、三鷹1、疾風1、鬼松1、鬼松+セリーヌ1、音夜1、影虎(+春夏秋冬の4側近)、影虎+祭り1、影虎+祭り+セリーヌ1、静・大陸へ1)
・イベント回想13(葵屋温泉、葵屋温泉+ホーク、葵屋温泉+ホーク他、花見2種、久留滝家落城シーン1、久留滝家再興シーン、システン軍上陸、ホタル潜入捜査、水蓮特訓3種、シルヴィアとの会話)
・ヒロイン系ヒロインとのH・57
ホタルとのHシーン8種(ホタル捕獲1、ホタルとの日々6、火夜(女)によるレズ)、
雪花祭花9種(潜入雪花(単独)1、雪花&祭花8)、桜姫4、三鷹5、桜姫&三鷹2、シルヴィア7、火夜7、水蓮16
・H諜報11個(風花忍からの情報収集1、システン兵からの情報2種、援軍妨害(セリーヌたち3人)2種、女武者2種、村娘1、巫女3)
・その他サブキャラとのH12(静との交わり、近習との交わり3種、接待4種、城主の娘と2種、獣娘と1、幽霊娘と1)
・ 作中作H8種
声優情報
青山ゆかり(水蓮、女武者、グルニ)、海原エレナ(シルヴィア、フウ、四葉、花咲奴)、羽高なる(ホタル、商人の娘)、真中海(祭花、キリア)、松永雪希(雪花、巫女、幽霊娘、ディラー、ファニ)、大波こなみ(春奈、城主の娘、女)、渋谷ひめ(夏芽、女)、藤森ゆき奈(秋穂、セリーヌ、女)、雪都さお梨(冬葉、イングリット、女)、藤邑鈴香(ティオ、女)、星咲イリア(三鷹、村娘、夕日、女)、春日アン(桜姫、お初、トアコ)関幸司(ルストン商会、男)、本多啓吾(旦那、男)あおいひかる(火夜)原田友貴(音夜、先生)
立花十四朗(ホーク)、こんつ(鬼松)、一条光(疾風、寝ている男、男客)植木亨(グルニの部下、男)星野カズマ(悪人、俺、男)山本パンダ(男)
(追記)
上で書いたゲームにおけるランダム要素があるのがいいゲーム論は、12年位前のゲーム雑誌の記事が元です。ゲームの論が間違っているとは思いませんが、流行そのものからは外れています。
今の「売れる商品」の「流行」は、「短期周期」「マイナーチェンジ」「消費者は受動的」あたりが「売れる商品」の流行らしいです。ゲーム商品で考えてみると、
「短期周期」とは、現代人は、色々な理由から、ひとつの娯楽にかけることができる時間と集中力が低下しているために、長期的なもの(1回×25時間)より、短期周期的なもの(50回×30分)がいいらしいです。「ウィザーズ・クライマー」なんかが典型ともいえますが、ADVでも同じ20時間かけて「一人」しかクリアできないよりは、5時間程度で4つのルートで、4人クリアして4回Hシーンあったほうがモチベーション維持しやすいですしね。同じ距離はしらすにしても、長距離走やらすよりは、短距離走を複数回にして、ご褒美を用意するやりかたが「受ける」らしいです。
「マイナーチェンジ」というのは、消費者は「新しいものを」と要求する割には、保守的で、大きく変化したパターンの商品よりは、旧来の商品にひとつ、ふたつ機能を付け加えるような商品がいい、らしいです。典型的ななのは、サーカスのD.Cシリーズですが、追加キャラ付け加えてだす、FD商法もこの理論に従っています。シナリオで、極端なヤンデレ展開とか、寝取られ展開が嫌われるのもこのへんと関係あるでしょうね。
最後に、「消費者は受動的」。生活習慣などから、消費者が自分で動くというのを嫌う傾向になり、能動的なものより受動的なものが喜ばれるということらしいです。エロゲでみると、選択肢が少なくて、ただ、与えられた選択肢をえらぶだけで、「恋愛H」というご褒美が手に入るゲームというところですか。ここでは、「失敗=バッドエンド」は好まれませんし、「ランダム性」という「動いた結果に期待できない要素」は好まれないでしょう。
アニメのようなゲームがいいゲームといえます。
まあ、大体まとめると「萌えキャラが多数いるゲームが売れる」になるだけなんですけどね。ゲーム性重視作品だと、「短期周回要素のあるゲーム」「萌えキャラがいるゲーム」「やらないといけないことが少ないゲーム」とかで、「巣作りドラゴン」は当てはまるんですけどね。このメーカーで評判のいまいちの作品は、CPUに妨害や破壊行動されるから、破壊行動の妨害と後始末を能動的にやらないといけなかったりして、そこが評判の悪さにもつながっているんですよね。