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xianxianさんの恋する式 ~SHIKIGAMI 2008~の長文感想

ユーザー
xianxian
ゲーム
恋する式 ~SHIKIGAMI 2008~
ブランド
WHITE CYC
得点
70
参照数
1568

一言コメント

それなりに燃える内容でしょう。八月発売作品の中ではりメイクですが、悪くないでしょう。ひなきんBOXだと過去作の特典もつく三点セットなのでお得でしょう。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

旧ヒロイン4人に新ヒロイン3人となって、7人ヒロインとなったリメイク作品です。
シナリオは悪くなく、燃えゲの傾向にありますが、売り方やらも含めて微妙なところで突っ込みたくなるところがあります。
ちなみに私は、色々不評だったようですが、カードバトルけっこう好きだったので、なくさせれてちょっと残念です。ゲーム性が低下した分、点数を前作より下げています。

もう一回同じヒロイン攻略するのは面倒だな、と思って前作「式神」のセーブデータを当ててみました。一応使えました。しかし、私の環境や運によるかもしれませんが、一部不具合が出ましたので、「式神」のデータを当てるのはやめましょう(笑)。
私はいったん全削除してもう一度インストールしなおしました。
どちらにしろ、「式神」のセーブデータではテキストが「既読」にならないようなので、
既読スキップを全文スキップにして飛ばすようにしてください。
それと式神のデータで60%ほど埋まるのですが、よく見ると新ヒロインのシーンやCG
が埋まっていたりしたので、どこかでデータがずれているのか均一ではないようです。
まじめに攻略することがお勧めです。
それとおまけのギャラリーではタイトルの下に、ヒロイン攻略後、花びらマークが出て
ミニゲームができます。やることに意味はないのですが、単純でありながらけっこう難しいので少しムキになってしまうところがあるかもしれません。

飛ばして遊んだので正確な時間はわかりませんが、7人もヒロインいますしけっこう時間がかかるはずです。普通に遊ぶと十数時間から二十時間くらいかかるでしょう。
フラグ立てが少しややこしいので、そこでひっかかるともっとかかるかもしれません。
私は雑誌「BugBug10月号」に乗っていた攻略情報を見ながら効率よく進めたので、かなり要領よく遊べました。
ルートがわかるので無駄なく遊べて快適でした。

あらすじは、シェード(多分、shade「陰」)と呼ばれる主人公が、闇の魔物を毎夜狩る中で、
ヒロインと会い、とある事件を追いかけていく、という形の話です。
町の舞台モデルイメージは横浜です。みなとみらいや関内あたりがよく出てきます。

まず、ここが気になるのですが、なぜわざわざ英語にするのかがよくわからないのですね。「影守(かげもり)」とか伝奇ぽく素直に造語してやればよかったと思います。
あらすじや基本設定は伝奇をそれなりにしているので、中途半端に片仮名にするより、
雰囲気を作るために、当て字でも造語でも漢字使って勢いや雰囲気を作ることに積極的に
なったほうがよかったと思います。
炎攻撃の時は、不動明王火界呪使ったりとこっているんですけどね。
ただ、人名は普通に読めるものにしたほうがいいと思います。人名漢字で変にひねると
読者やユーザーについていけないものになります。

エロシーンも原画さんのがんばりでかなり色っぽく見えます。テキストやシーンの長さ
は普通ですが、純愛ものとしてはそれなりでしょう。
また、旧ヒロインのシナリオだと姉や先生とのHや陵辱もどきもあり、こちらは確実に色っぽいです。ただ、白ということで遠慮したのかパンチ不足です。もう少し突き抜けて描写して、開き直ったダーク伝奇でいったほうがまとまりがよかったのではないかと思います。
新ヒロインのほうは、個々ですでに書いている人がいるので、その方のレビューを見てもらうとして、未有ルートだと主人公が2ch語使う変にリアルな高校生になって性格変わっています。
なぜ、そんな変な性格になったのかよくわかりません。
そういえば、式神のときに、主人公が固すぎてリアルじゃないとかどこかに書き込んでいるのを見た気がするので、もしかして「リアル」にしようとしてアレなのでしょうか?
変なリアルはやめとけ、と思います。
ジャンプの主人公にしろ、ゲームの主人公にしろ「リアル」ではありませんが「燃え」ればいいのですから、変にリアルいれると悪くなるだけのような気がします。
このリアルさで、ふと思ったのですが、設定もたいして悪くなく、テキストも極端に悪くないのに、なんで「式神」はイマイチ「燃え」に乗り切れないかと感じていたことに答えがあるような気がしました。
基本シナリオの「式神」が変にリアルなのがまずいんじゃないかと思いました。
主人公は、基本的に秀才の努力型でだめ人間でなく、物事をそれなりにそつなくこなす高校生です。だから内面はけっこううじうじしているところもあります。
「燃え」ゲというのを、つまるところヒーローの話ですから、主人公はある程度デフォルメ的なキャラのほうがいいのではないでしょうか。
変にリアルより、普段は駄目でも、いざというときに素直に「カッケー」と思わせる感じがいいのでしょう。
「デモンベイン」のクロウしかし、「Fate」のアーチャーしかりで。

そして、この作品の主人公は、致命傷をなんとか避けて戦い、どうしてもやばいときには自力だけでは解決できず、大体、ヒロインの覚醒による戦力の増加により勝ちます。
これも燃えゲとしてはまずいところなんでしょう。
普通に考えると、当たり前なんですが、燃えゲ展開だと、致命傷くらいながら、なんとか死力尽くして立ち上がって戦い、主人公の眠れる力を引き起こして勝つという「イヤボーン」展開が、なんだかんだいわれようと好まれます。
「君はまだ限界じゃなかった」覚醒パワーよりは増援が来たことによる戦力増加が現実味あるとは思いますが、
これって裏返すと、独力で解決できず他人の力を借りるという形ですから、カタルシスを得るという方向に向かないでしょう。
厨二展開と馬鹿にされようと、厨二展開って大事なことなんだなと思いました。
ある意味、使い古された王道であるからこそ燃えるんですね。


作品外のの問題点としては「パッケージがだめ」です。全体がピンクで単なる恋愛萌えゲみたいな上、個々のシーンやらがわからないため、恋愛ありの伝奇燃えゲとして内容がわからないものになっています。
このパッケージでは一見さんが買うのは厳しいと思います。内容が見えないため、
糞ゲじゃないかと警戒して購入しにくいと思います。
ゲームやってもらい評価受ける前の所で勝負に負けていると思います。
前作の「式神」は「カードバトル」と書いてあったところが警戒されたと思いますが、
内容はわかりやすかったので、アレを踏襲してもよかったと思います。
今回の「恋する式」はりメイクということで雑誌の扱いも弱かったですし、
パッケージでいかにひきつけるかが大事だったのではないでしょうか。

ついでにデモですが、これは式神のころからですが、白サイクだからということでかも知れませんが、
恋愛ゲームのようなデモで内容とあっておらず、ひきつける力が弱いです。
黒サイクの燃えやグロが知名度をあげることに一役買ったのですから、素直に燃えゲ風味
のアップテンポな曲にしておけばよかったと思います。
こういうとひどい言い方になりますが、商売とは客に興味をひかせ、居心地よく騙す行為みたいなもんです。余計な不安や疑念を抱かせるようことをするより、いつもと同じだ、安心だと落ち着かせるのが重要だと思います。ファンディスク商法もそういうものなのですから。わざわざアドバンテージ捨てて商売するのはどうかと思います。

さらに、ひなきんBOXなどの問題点もあります。過去作の特典をつけてセットにして販売してくれる新規の客にも優しい親切な会社です。
しかし、これはどうかと思います。ブランド品や高級品は「簡単に手に入らない」からこそ高い値段がつき、高い評価がつきます。
過去のエロゲなんかもそうですが、「高い値段だして買ったから巣晴らしい」と精神的に思いこんで、実態より高い評価するというのは割とあります。
フカヒレのスープやキャビアがそんな感じでしょう。
簡単に手に入らないからこそ、プレミアがつき、たいしたものでないものにも高い評価を得られます。ブランド商法としては失敗しています。
また、あそこは後で出してくれるという安心感があると、高くても全部買えそろえなきゃというオタク心を刺激しませんから、初期の売り上げの伸び率が悪くなるでしょうし、
良作でも、注目されないまま終わるということはざらでしょう。
堅実で優しいやりかたではなく、多少あこぎでも目立つ方法をとるほうが得でしょう。
まあ、良作作っても、そういう商売下手なとことかけっこう好きだったりするので、がんばってほしいです。

総評としては、それなりの出来だが、いまひとつまとまりが弱く、作品以前の売り方やらで損をしている作品です。

それと公式で会員になっての購入だと、おまけがつき、本編ヒロインの一人水菜がひどい目にあう内容になっています。
こちらは回想8シーンで、輪姦や触手、脱糞、SM、肉体改造などのシーンがありヒロインが壊されます。