描写が丁寧かつ美しい。迫力ある戦闘シーンも見事。
この作品をプレイした時の衝撃は今でも忘れられない。「演出」という点において断トツの作品であると思う。この作品内で多く出てくる戦闘シーンは、冗長なテキストを排し、エフェクトの力を最大限活用して展開されている。その迫力、描き方の上手さは、私がプレイしてきたゲームの中では一番良い。付言すると、Hシーンですらも、エフェクトを用いた独特の演出で、高貴な雰囲気が感じられる。
「聖杯戦争」を巡る設定も面白い。冒頭はとにかく様々なゲーム内での「定義づけ」を覚えなければならないが、苦になるほどではない。作品自体は非常に長いが、この作品ほど「長いのが苦にならなかったもの」も私の中では珍しい。全く中だるみすることなく、良シナリオを読み進めることができた。全体的に重いシーンが多いので、軽い部分がくるとホッとする。緩急の使い方もなかなかだった。
主人公は死ぬ。あっさり死ぬ。この作品を一度も死なずに終われる人はいるのだろうか。
OPムービーや歌が良い。
キャラクターも(悪役も含めて)よく作りこまれている。
私はセイバーが特に良かったと思う。セイバー絶命の時には、涙を流さずにはいられなかった。凛の、「目的のためには手段を選ばず」という性格に裏打ちされた時として非情な行動の間に垣間見える、優しい一面が演出されているところも良かった。
ところで……イリヤ攻略はいつになったらできるようになるんでしょうか(苦笑)。