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xezldwr24さんの通心ぼ ~ママにもナイショの時間割~の長文感想

ユーザー
xezldwr24
ゲーム
通心ぼ ~ママにもナイショの時間割~
ブランド
マーブルCandySoft
得点
80
参照数
3106

一言コメント

基本に忠実な良質ロリゲー。そう、ちっぱいというのはこういうことなんです!

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

 私がこのレビューを投稿する時点では、得点の中央値・平均値は共に高い水準で推移している。これは、ロリゲーが好きな人、ロリゲーも好きな人、が中心となって投稿していることが原因であろうと推測される。『隠恋ぼ』(以下「前作」という。)の時点でユーザーがふるいにかけられたことも大きいかもしれない。ということで、得点が高いからといって、このジャンルに全く興味がない人にはあまり参考にならない数値なので、その点は留意すべきであろう。
 しかし、ロリゲー「が」(or「も」)好きな人にはたまらない内容であり、私も躊躇いなく推薦することができる。また、ロリゲーに手を出してみたい、というユーザーにも、入口としてお勧めできる内容かと思う。
 なお、前作の続編という位置づけだが、内容は独立しており、前作をプレイしていなくても本作から十分に楽しめる。個人的には、本作は前作からレベルアップしているので、両方やろうと思っているなら前作からプレイしたほうが良いと思う。本作をプレイした後に前作をやると、ちょっと物足りないかもしれない。私のプレイ時間は約8時間で、前作よりやや長く感じた。

 手放しで褒めたいのは、ちっぱいの描き方が素晴らしいということである。私は元々おっぱい絡みのシーンが好きで、「無乳」~「巨乳」までストライクゾーンも広い(「爆乳」は好まない)。しかし、最近ちっぱいキャラは減少の一途を辿っており、満足できるちっぱい表現に出会うことが少なくなってきているため、こだわりが強くなっている。10年前であれば、攻略キャラの5人以上いる大手ブランドのゲームであれば、多くの場合、それが全くロリゲーでなくとも1人は胸の小さいキャラがいた(逆に、必ず胸の大きいキャラもおり、バランスがとれていたといえる)。しかし、時が経つにつれちっぱいキャラは存在自体が希少化し、また体の大きさに比してアンバランスに胸が大きいキャラが目立つようになったと感じる。私の感覚としては、今の「普乳」は10年前の「巨乳」であり、今の「貧乳」は10年前の「普乳」だ、というように、胸の描き方が1段階大きいほうにシフトしたように思える。この作品のように、誰が見てもちっぱいだというキャラを揃えているというだけでも、ちっぱい好きにはたまらないものである。
 それに加え、およそちっぱいであると、胸に関する描写は軽視されがちである。普通以上の胸の大きさのキャラであれば、必ずといって良いほどある、胸に関するお約束描写が飛ばされてしまうことも少なくない。折角ちっぱいキャラが出てきても、「触らず、舐めず、露出せず」というネガティブな「ちっぱい3原則」(?)を遵守するメーカーも少なくなく、「折角可愛い貧乳キャラがいるのに」と、ちっぱい好きとしては悔しい思いをすることも多い。
 しかし、本作はちっぱいへの強いこだわりが感じられ、ちっぱい好きのツボを刺激するところ大で、高く評価に値する。えみとことねの胸は、殆どぺったんこである。しかし、そこで終わりにしない。仄かな性徴を感じさせるぷっくりとした乳首や、つまもうと思えば確かにそこに存在する胸のふくらみを、Hシーンでしっかり表現している。物語の中で、ヒロインは自分の胸が小さいことを気にし、ときに胸の変化に戸惑い、主人公はそれをフォローする。胸がフォーカスされていないHシーンCGでも、主人公はヒロインの胸にそっと手を添えていたり、胸がないために服がはだけて乳首が露出していたりする。主人公は、ヒロインの胸に強い関心を示し、ときに胸だけで絶頂を迎えてしまう。ヒロインは、ちっぱいであっても、胸が性的な部位であることを意識し、恥じらい、性感を得る。
 これこそ基本に忠実なちっぱいゲーだ。特別なことは何もしていない。ただ、アダルトゲーム一般で、「普乳」以上のキャラで起こることを、ちっぱいキャラでしているにすぎない。しかし、それすら無いゲームの如何に多いことか。変化球など投げなくても良い。ちっぱいが希少性を増している現状では、こうして基本的なちっぱいシーンを積み重ねていくだけで、最終的にユーザーの満足度は高いものになると思われるのである。このようなゲームを作ってくれたマーブルCandysoftには、心からの敬意を表し、賛辞を送りたい。

 ちっぱいの話が長くなったが(苦笑)、他に評価できる点を述べていく。

 まず、グラフィックが素晴らしい。前作との比較で好みはユーザーにより分かれるであろうが、とろんとした目の描き方や、恥じらいの表情など評価できる部分が多く、また前作に散見されたバランスの悪い絵の割合も大きく減少した。全体として「かわいい女の子」を表現できており、元々評価していた前作よりも更に評価を引き上げた。

 また、抜きゲーでありながら、物語も私が抜きゲー評としてよく使う「足を引っ張らない程度」よりやや上の水準に到達しており、面白かった。前作は、元々ロリに興味津々の主人公がロリに向かうという、ある意味結論ありきの設定だった。しかし、本作はこれまで特にロリに傾斜していたという訳ではない(そうでなければ、物語は始まる前に都会の学校でお縄になって終わっていただろう)主人公が、「意に反する人事異動」を喰らい、環境の変化に戸惑いながらもそこでの生活を送るうち、魅力的な少女に出会う、という流れを描写できている。
 また、抜きゲーにありがちな、「この物語はキャラAとキャラBをひっくり返しても何の違和感もなく成り立つ」という評は、本作には当てはまらない。主人公と同居しており、弟がいることもあってしっかりした性格のえみ。おっとりした性格だけれど、興味をもったことになると高い能力を発揮するののか。大人しく真面目で人一倍繊細だけれど、ときに思い切った行動に出ることね。きちんと書き分けられており、テキストを丁寧に読むと、キャラごとの機微を感じることができ、特に似たようなシーンでの微妙な反応の違いはその点を効果的に表現することに成功している。また、シナリオに重きを置いた作品に匹敵するレベルには至らないものの、主人公とヒロインが関わり合いながら揺れ動き、成長していくという過程が描かれている。
当然抜きゲーならではの御都合的展開はありながらも、「セックスが完全にみえている抜きゲー」とは違う評価をしなければならない。この部分も、前作よりも評価を引き上げた。

 やや細かい点に立ち入るが、前作よりはHシーンの淡白さが薄れており、キャラごとに物語の流れの中でのHに至る、というところに、完全とはいえないが踏み入ろうとしたことがうかがわれ、レベルアップをみることができた。この点は、よりねちっこいHシーンを目指して、更なる改良を期する部分である。
 また、地方の雰囲気の描き方もレベルアップしているように感じられ、過疎化している地域の学校、それを取り巻く環境、ということがグラフィックや音響を通じてよく表現されているように思えた。
 前作でも評価に値すると感じた点であるが、キャラが身に着けている下着が毎回違う、というのは非常に印象が良かった。抜きゲーでエロシーンが大量にありながら、何故か下着が毎回同じ、という作品もあるのだが、あれは萎えてしまう。そして、その下着のデザインも、そのキャラにマッチしている。小さいところだが、キラリと光る工夫として、特筆に値する。
 その下着絡みで、非常に素晴らしいと感じたシーンがある。物語冒頭、主人公がウサギ小屋に出向くと、しゃがみこんでウサギの世話をしていることねがいる。明らかにパンツが見える構図なのだが、丁度ウサギが邪魔をして見えない。もどかしい。そして見えないままそのシーンは終わる。別の日、主人公がウサギ小屋に赴くと、同じくしゃがみこんでことねがうさぎを世話している。ガードが甘く、下着が見えるが、ほんの十数クリックでウサギが視界に乱入し、パンツは見えなくなる。何気ない描写だが、女子のパンツが見えそうで見えない。チラッと見えた。そういったことに一喜一憂したのは、多くの男性にとって性の出発点の一つではなかろうか。そこを妄想の世界でくすぐる、見事な描写であると感じた。

 逆に、主にマイナスの評価をした点は次のとおりである。

 何といっても、マシになったとはいえ、フラグ管理が前作同様ややこしかった。ここまでの難易度になってくると、どうしても攻略サイト頼みということになるが、それは商品の骨格たる「ゲーム性」を没却することを意味し、私はあまり好きではない。トゥルーエンドに到達するためにある程度の分岐はあるとしても、作品の性質上ここまで難しい必要は無い。
 また、上述のとおり「改善された」ものの、ややバランスに疑問が残る絵が散見されたことも減点の要因とした。

 総じて、ロリを(も)愛するユーザーが最大公約数として求めている基本部分を、しっかりと盛り込んだ良作であって、ブランドの今後に非常に期待がもてるものであった。また、筆者はこの感想の投稿日とその前の土日で前作、本作と連続してプレイしたため、1年間でブランドが大きく成長していることにもたいへん驚いた。7000円台の作品ということで、より満足度は高かった。このサイトで「抜きゲー」に分類されている作品の中では過去最高の評点をつけることとなり、(繰り返すがロリOKの方に!w)お勧めできる作品であると感じた。