あまり期待せずに買ってみたら、良い意味で裏切られた
雰囲気が良く、良質なロリゲーだった。作品の「ヒント」欄記載の順番に忠実に進めるのが、最も作品の情緒が味わえ、起承転結も綺麗に感じられて良いと思う。
本編もさることながら、サイドストーリーが非常に良くできている。殆ど無音(音楽・SEが無い)で、かつ白黒絵で進んでいくこの部分。読み始めたときは「何だこれ」と思ったのが正直なところ。しかし、それにより田舎のほんわかとした日常の雰囲気が醸し出され、白黒絵が次第に暖かみのあるものに見えてくる。極めて淡々としているが、テンポがいいので飽きさせず、グイグイと引き込ませる表現力がある。そして、ここでヒロイン3人のバックグラウンドが語られることにより本編に厚みを出すことに成功している。本編はそれほど長いとはいえないが、キャラへの愛着が湧くのはこのサイドストーリーがあるからであるといって差し支えない、非常に効果的な演出だった。同人ゲームとして非凡なものを感じたため、この部分は大きく加点した。
回想シーンは全部で13あるが、3つを除いて複数人が(Hするかはともかく)シーンに絡んできており、複数プレイが圧倒的に多い。シーンは非常に凝ったものが多く、
・全員でエロビデオを観ながら1対1でエッチ(他の2人に見られながら)。その途中で、見ている娘が一人エッチを始めてしまう
とか、
・夏休みの学校の教室で、(誰かが来てもどうしようもないように)服を全部隣の教室に置いてきて、ヒロイン全員がオナニー
というように、非常に背徳性が高く感じられ練られたものになっている。CGが綺麗なのも好印象。
また、1対1のシーンがヒロインごとに1つ設けられており、
初乃(髪留めをした青い髪の娘)は
・初乃が裏切って、主人公とヒロインの秘密の関係を他の人に暴露しようとした罰という設定で、お仕置き疑似レイプ(ただし、残りの2人は言葉責めで登場)
みろく(リボンをつけた黒髪の娘)は
・みんなで川遊びに行った際に、木陰に隠れてスク水H
二葉(銀髪の娘)は
・お祭りで、物陰に隠れながら着物姿でフェラチオ
という内容になっている。複数プレイだけではなく、1対1のシーンもあったこと自体は非常に良かった。
Hシーンに注文をつけるとすれば、折角かなり凝った設定をしているので、もう少し長さが欲しかった。もっと話を膨らませられるのに、勿体ないな、と感じる箇所が複数見受けられた。また、特に気に入った娘がいる場合でも、その娘との1対1シーンは1つしかないので、そのシチュエーションが個人的に好きかどうか、というのがユーザーごとに異なり、評価を分けることになろう。特に、二葉は1対1での本番が無いので、二葉が気に入ったユーザーにとっては少し残念に感じる部分もあるかもしれない。
起承転結が良く、冒頭からハラハラさせられ、その後田舎のほっこりした雰囲気に浸り、エロエロな場面があり、意外な展開を迎え…とシナリオの緩急の付け方が上手い。ラストシーンも驚きがあり、上手く作られていると思った。プレイ時間は3時間程度だったが、全く飽きることなく読み進めることができ、非常に満足度が高かった。
音楽が殆ど無いので、当該部分の点数は極めて低くせざるをえないかと思いながらプレイしていたが、終わってみれば(ほぼ)「無音」こそ、この作品にふさわしい音楽なのだと気づかされた。田舎の生活は、「静寂」こそ常態なのだ。そこに、SEとして、川のせせらぎ、鳥のさえずり、蝉の声、花火の音…。そういった入るべくして入る「音」があり、その中でチュパ音などHシーンの音が響く。Hシーンの良さは格段に増していたように思う。表現形態として、成功していると感じた。
これらの部分も、高い評価の対象とした。
1000円未満という超ロープライスに位置づけられる作品なので、やむを得ない部分もあろうかとは思うが、システム面の使いにくさは非常に気になり、プレイ中もストレスを感じた。また、上記の通り、これだけ凝ったシチュエーションを綺麗なCGで表現できるなら、もう少し高くても売れると思う。なので、他のユーザーさんもレビューで仰っているように、少し値上げしてでも1つのエロシーンの分量を増加、シーン数そのものの増加をしたものをプレイしてみたいなと思った。個人的には、各ヒロインとの初エッチを其々単体のシーンとして読みたい。それによって、後の複数プレイ開始後とのギャップがより楽しめるような気がする。