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xezldwr24さんの子作り練習授業 Love'sRightセックスしないと即死刑の長文感想

ユーザー
xezldwr24
ゲーム
子作り練習授業 Love'sRightセックスしないと即死刑
ブランド
私立さくらんぼ小学校
得点
75
参照数
3145

一言コメント

このブランドの作品の中でも、エロ度・背徳性が高かった!

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

 思ったより長く、私は比較的早く読み進めていくほうだけれど、ラストまで6時間くらいかかった。15個あるHシーンは、左から順に読んでいくことを強く推奨。

 私立さくらんぼ小学校は、「抜きゲー」としてのソフト販売が『鍵っ子少女』以来、実に2年ぶりだったので、雰囲気が非常に懐かしかった。感触としては、『いたずラブ』や『鍵っ子少女』など近年リリースの抜きゲーと比較して、エロに大きく比重が置かれ、日常描写のテキストでのギャグは弱まったように感じられた。

 『いたずラブ』ほど軽いノリではないものの、『鍵っ子少女』ほど予想もつかないような重い展開になるわけでは無いので、あまり心配しなくて良い。どちらかといえば、明るいロリゲーに分類しても良いと思う。小さい驚きが繰り返される真面目なシナリオが主に後半部分に配置されているが、割合としては小さい。

 Hシーンは、非常に力が入っているように感じられた。ヒロインはとても無垢で大人しく、主人公に「嫌がっていても、(エッチなこと)して下さい」みたいなことを言っちゃうMっ娘で、虐めるようなシチュエーションが多い。愛萌ちゃんはいたいけで、それはもう可愛い。また、今まではヒロインの女の子と主人公1対1のシーンが目立ったが、本作はヒロインが先生やクラスメイトにあられもない姿を見られ、羞恥と快楽に襲われる、というパートが多い。元々このサークルさんの作品自体、背徳感が強いものだが、過去の作品に比しても、背徳感がより強く感じられた。さく小に、とにかくロリエロを求めている人、自分はどちらかというとSだという人は、ハマるかもしれない。
 一つのシーン自体も長く、演出速度「普通」で読んでいると30分を優に超えるシーンもあり、読みごたえがあった。個人的には、「言わせプレイ」のあまりの多用と、小水描写の多さが若干くどく感じたが、この部分は好みだろう。

 Hシーンのグラフィックは全体的に滑らかだったが、ややキャラの肢体の描写や動きが不自然に感じられる部分もあった。3Dアニメなので文句なく自然に見せるというのも難しいとは思うが、抜きゲーとしては改善できる点か。
 また、過去作品に比してコメディー色は薄くなっており、以前は多用されていた面白い白黒のカット絵が大幅に減少していたのも残念だった。

 プレイ前は、タイトルの「セックスしないと即死刑」という部分に、ただの抜きゲーでこの副題がついているとしたら過激だなぁ、と思っていたが、シナリオでその部分に隠された意外な意味が明かされたりする。また、作中で「当然のこと」と思っていた設定が少しずつ覆されていくという工夫があり、テクニカルなストーリーもなかなか面白かった。

 最後の部分で、ぽぷり先生が語るシーンは、現代社会にそのまま通じるメッセージとして、色々考えさせられた。シナリオゲーではないのでシリアス部分のボリュームは薄く、『せかけん』シリーズほどにまで強い説得性は感じられなかったというのが正直なところ。しかし、「性教育を受けていても、子供がどうやってできるのかや性行為の意味を知らないまま育つ子が多いという現実」(実際問題、AVやエロ本が実質的な教材になっているという皮肉な現実はあるだろう)、「子供を性から遠ざけ、性表現を撲滅して『健全化』させようとすること」、「性は悪、必要な暴力は善、としてしまう風潮があること」など。賛否は人それぞれだと思うが、子供を題材とした作品や表現規制と真正面から向き合ってきたさくらんぼ小学校だからこそできる、重要な問題提起なんだろうなと思う。折角「性教育」をテーマにした作品にしたのであれば、ここをもう少し深く書いても良かったかな、と思った。

 サークルさんは値段設定を間違えてしまったようだが(本来は3000円でリリースしないといけなかった模様)、この内容で2500円というのは本当に驚き。申し訳なくなってしまうくらい。色々と気になったところも書いたが、全体としてみれば商業にも劣らない、高いクオリティを維持していると思う。懐事情がかなり苦しいようで、ファンとしては商品を買うくらいしか直接的な応援ができないけれど、今後も頑張っていただきたい。